セイナルボンジン

時代を逆行する大きなお友達ブログ。宇宙戦艦ヤマトや東映特撮ほか。

ノワール映画特集(5)男たちの挽歌Ⅱ

2013-11-24 22:23:15 | 映画

劇団ひとりじゃないよ!チョウ・ユンファだよ!

男たちの挽歌Ⅱ 

1987年 ジョン・ウー作品

元マフィアの服役囚・ホーは、警察から偽札製造組織摘発の
協力要請を受ける。最初は渋るホーだったが、
警官である弟・キットが捜査に関わっていることを知り、承諾する。

偽札組織のボス・ルンは、ホーの旧知の仲だった。
だが部下の裏切りに会い失脚、
さらに愛娘を殺されたことで精神崩壊。
ホーたちの助けを得て、ニューヨークに逃亡する。

完全に廃人と化したルンだったが、「1」で死んだ主人公グループの一人、
マークの双子の弟であるケンの助けを得て、どん底から這い上がる。

一方、ホー兄弟は互いを思うがゆえにすれ違い、キットが悪の罠にはまり…

男の友情と義理と人情をコッテリ描きつつ、
外道どもは大銃撃戦と爆発で木端ミジンコ!!

…というお話。

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ノワール映画特集では必ず見ようと思っていた
ジョン・ウーの「男たちの挽歌」シリーズ。
第一作、ポスターやジャケットのビジュアルから
てっきりチョウ・ユンファが主役だと思っていたのですが、
実際に見たら軽くハゲたおじさんが主人公で驚きました(笑)

一通り観たのですが、やはり一番好きなのは「2」です。
話の完成度では1に劣る・・・
というか、1のヒットを受けて急きょ作られた作品なので、
整合性もクソもあったもんじゃないのですが。
前作で壮絶な死を遂げた人気キャラ「マーク」を再登場させるため、
「生き別れていた双子の弟(チョウ・ユンファの2役)」を出すという
まさかの力技に度肝を抜かれましたよ、ええ…

しかし、ひたすらクドく熱過ぎる展開が、理屈など吹き飛ばす
訳の分からないパワーを生み出していて素敵です。
いんだよ、細けぇことは!(By平松伸二)

終盤のアクションは、常軌を逸したパワフルさです。
主人公サイドが血まみれのズタボロになりながらも、
悪党どもをバッタバッタとぶっ飛ばしていく様は燃えます!
昔の『宇宙戦艦ヤマト』のごとく、
どんなにやられてボロボロになっても
決して致命傷にはならず、最後は見事逆転勝利、という構図がまさに自分好みです(笑)


全てにおいて男くさく、やり過ぎな内容を、
様式美と悲壮感に溢れた「男の美学」として描ききった傑作です!



ちなみに、シリーズで次に好きなのは「ハードボイルド 新・男たちの挽歌」かなあ。
シリーズと言っても、前出の『Ⅰ』『Ⅱ』とは別のお話なんですけどね。
ユンファ演じる明朗快活なヒーロー(テキーラ刑事っていう役名は何なんだ)と、
潜入捜査官のトニー・レオンの哀愁漂うキャラクターの絡みが印象的、という真面目な感想も吹き飛ぶくらい
全編にわたって凄まじい銃撃戦と爆破が繰り広げられ、景気よく人が死にまくる大傑作。
DVDの日本語吹替えで見たら、5分に1回檜山修之の断末魔
(すごく目立つ)が聞こえてくるというカオスな展開に爆笑しました。

クローンは故郷をめざす

2013-11-10 00:01:10 | 映画

クローンは故郷をめざす
2009年 中嶋莞爾監督作品

作業中の事故で死亡した宇宙飛行士「高原耕平(演:及川光博)」は
クローン人間として復活する。
だが、そのクローンは、幼い頃のトラウマが元で記憶障害を起こした
失敗作だったため、処分されることに。
研究所を抜け出したクローンの前に、
「宇宙服を着た自分そっくりの遺体」が現れる。
「魂の共鳴」に導かれるように、
幻の宇宙服を担ぎ、彼は故郷を目指す。

…というお話。


レンタルショップでたまたま見つけ、
「及川ミッチーとSFって相性良さそうじゃね?」という
軽い気持ちで見て、なかなか気に入った次第。
上記のあらすじ自体、既にワケわからんと思いますが、
非常に観念的な、いわゆる芸術系の映画です。
静かな美しい映像で、独特な死生観や魂の行方が描かれています。

「ゲージツで客が呼べるかッ!」とは東映の偉い人の名言ですが、
たまにはこういうのもいいかな、と(笑)

途中、静止画のような映像が延々続いたり、
ボソボソした中二病っぽいセリフで眠くなったのですが、
ラストシーンでとても感動したんですよねえ。
宇宙服を担いで歩くクローンの姿は
重い十字架を背負ったようでもあり。
命や魂の「重さ」を、確かに感じるお話でした。

霧に包まれる草原や、湿度を感じさせる日本家屋などの、
郷愁を誘う美しい風景と、クローンや宇宙服といった異質なビジュアルの
コントラストが特に印象に残ります。
学生時代、睡魔と闘いながら見た『惑星ソラリス』を
無性に見たくなってきました。


中嶋莞爾監督は、劇場公開作は未だこれ一本のみなのですが、
自主製作の短編映画2本「はがね」「箱」がアメリカでDVD化されていて、
興味があったので購入してみました。
テーマ自体は、2本とも「クローン~」と同じく、
独特な死生観を描いた「レクイエム」とも呼ぶべきもの。

個人的には学生時代の作「はがね」の方が好みかな。
主人公の老画家を、丸山詠二が演じていてビックリ。
昭和の特撮マニアにはおなじみの声の方ですね!