セイナルボンジン

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怪奇大作戦⑤

2017-05-07 18:11:41 | 特撮
1968年制作のSFミステリー「怪奇大作戦」
全話レビュー最終回。


■第23話「呪いの壺」
ある古美術商の顧客が次々と謎の死を遂げる。
それは贋作づくりを強いられてきた一族の青年の
孤独な復讐だった。

実相寺昭雄監督による京都ロケ編。
不治の病に侵された青年のゆがんだ憎しみと、
彼に利用されていることを知りながらも愛し続ける
古美術商の娘(今で言う喪女っぽい)のキャラクターが好きです。

贋作づくりを諦めて受け入れていた青年の父が
最後に見せる慟哭が悲しい。

京都を舞台にした、格調高い愛憎劇。
大好き(=´∀`)


■第24話(欠番)「狂鬼人間」
「心神喪失者の行為は、罰しない」という
刑法第39条を逆手に取り、人為的に心神喪失者を
作り出し、犯罪を起こさせる「狂わせ屋」の話。

「狂わせ屋」の正体はかつて心神喪失者に
夫と子供を殺された女性科学者。
犯人が罰せられなかったことに絶望し、
社会への復讐を誓ったのだった……

この話は現在欠番で、正規のルートでは
視聴不可能となっています。
話のクオリティはとても高いのですが、
精神疾患に対する描写が現在では許されるモノではないので
公式が欠番という措置を取ったのはやむを得ないのかな。
岸田森の発狂演技が超怖かったですw

どうしても気になる人は、森田芳光監督の映画
「39 刑法第三十九条」を見たらいいと思います。
まるっきり「狂鬼人間」と同じ話なので!


■第25話「京都買います」
仏像マニアの美弥子お姉さんが、
物体転移装置で仏像をいっぱい盗む話。
…なのですが、実質的には
「リアルに居場所を見出せない孤独な男女のロマンス」なのね。

学生の頃見たときは、正直よく分からなかったのですが、
今見るとこれは凄いと思いました。
「前衛的な芸術映画」といっても過言ではないクオリティ。

当時は京都タワーが建設されるなど、
古都・京都が「現代的」に大きく変貌を遂げていました。
時代の変化が受け入れられず、仏像と共に静かに
生きたいと願うヒロインと、SRIの牧との出会いと別れを描きます。

ほとんど会話のないシーンも多いのですが、
京都の街並みを生かした美しい画づくりと、
牧を演じる、岸田森の繊細な芝居が雄弁に語ります。

ラストは胸にぽっかり穴が開いたような
とても寂しく、空恐ろしい気持ちになる幕切れでした。
今の京都の姿を、美弥子が見たらどう思うのかな…

個人的には「呪いの壺」のような
分かりやすい話の方が好みですけど
間違いなくシリーズを代表する名作だと思います(=´∀`)


■第26話「ゆきおんな」
那須のリゾートホテルでSRIメンバーが潜入捜査をする話。

最後はまさかの温泉回、しかも拝めるのがおっさんの
入浴シーンという色々カオスな回w
本編と関係ないダンスチームのシーンが
延々続くなど、シュールな映像が連発されます。
(タイアップする際のホテル側からの条件だったらしい)

「なんだこりゃ( ´_ゝ`)」な話ではあるのですが、
いつものメンバーのリラックスした表情が見られて、
嫌いになれない話でした!


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という事で、「怪奇大作戦」全26話レビューでした。
後半に行くにつれ、出来・不出来の落差が激しすぎて、
辛くなる部分があるのですが(個人の感想です)、
DVDを最終巻から順に見るという作戦で克服しました(笑)

「空想科学」の形を借りて時代と人間を鋭く切り取った
社会派SFミステリーの傑作という事で、まとめたいと思います。
お疲れ様でした~。


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