年寄りにはガラケーで十分ですから
必要ないとなるとなると困ります。
タブレットが便利です。
ソースカラ
携帯キャリア各社から2015年夏モデルが相次いで発表されました。スマートフォンではソニーの「Xperia Z4」やサムスンの「Galaxy S6 edge」といったハイエンドモデルに注目が集めていますが、一方でこの夏モデルの大きなトピックスが、NTTドコモとKDDI(au)から新モデルが登場したことによるAndroid搭載フィーチャーフォン、いわゆる「ガラホ」の本格展開です。
従来型のフィーチャーフォン、いわゆる「ガラケー」をめぐっては、携帯電話の機種メーカーが2017年以降に生産を終了するといった報道もありましたが、「ガラホ」の登場によるフィーチャーフォンの展開継続は「携帯電話は“ガラケー派”だ」というユーザーにとっては嬉しいところなのではないでしょうか。ただ、従来型の「ガラケー」とAndroid搭載の「ガラホ」には、色々な違いがあります。この記事では「ガラホ」の特徴を紹介しながら「ガラケー」との違いを整理してみましょう。
Androidを搭載したことで何が変わったのか?
「ガラホ」の一番の特徴は、端末を動かすためのOS(基本ソフト)がスマートフォンと同じAndroidになったということです。そのため、端末の形や操作性はガラケーと同じである一方で、端末に出来ることは大きく変わっています。
特に、Androidになったことで、ガラケーで提供されてきた「iモード」「iアプリ」(NTTドコモ)、「EZweb」「EZアプリ」(au)に非対応になったという点には注意が必要です。iモードやEZwebで有料コンテンツ(公式サイト)を利用している場合にはそれをガラホで継続利用することはできないため、原則として機種変更時には月額課金などをしている公式サイトは全て一度解約する必要があります。ただ、一部の公式サイトはスマートフォン向けのサービスを提供しておりガラケーからの契約を継続して利用できる場合があるので、利用している公式サイトに確認することをお勧めします。
また、ガラケーの公式サイトからダウンロード購入した音楽(着うたなど)やデコメ素材などについては、コンテンツを販売した公式サイトによって移行できるのか否かの対応が異なるため、移行したい大事なデータがある場合には購入先の公式サイトに確認するのが良いでしょう。ちなみにKDDI広報部に聞いたところ、同社の音楽配信サービス「LISMO」については、ガラホになっても「auスマートパス」に対応サービスが用意されているため、購入した楽曲データを移行してそのまま視聴することが可能とのことです。
一方で、ガラホはスマートフォンサイト、PC向けサイトの閲覧が可能で、携帯メールはAndroidになっても引き続き利用することができます。ただし、Androidになったものの、自由にアプリを探してダウンロードすることができる「Google Play」には非対応なので、この点はスマートフォンとは大きく違う点です。
アプリについては、NTTドコモの場合は無料通話アプリ「LINE」がプリインストールされているほか、auではLINEを含む約100種類のアプリを定額でダウンロードすることができるガラホ専用の「auスマートパス」が提供されます。ただし、ドコモのdマーケットで提供される「dTV」「dマガジン」といったサービスやKDDIの「うたパス」「ビデオパス」など、キャリア提供のコンテンツサービスのほとんどは、専用アプリをダウンロードすることができないためガラホで利用することはできません。
ちなみにAndroidでは、Google Playを介さずアプリの実行ファイル(apkファイル)から強制的にアプリをインストールすることが可能で、ネット上にはそれをガラホで試してみて成功したというレビューも見受けられますが、そのような場合にはもし端末に不具合が発生してもキャリアのショップでサポート対象外になる可能性があるため、十分に注意が必要です。
赤外線は?おサイフケータイは?緊急速報は?スペック面をチェック
電話番号を交換するときに利用する赤外線通信、電車やバスを利用するときに役立つおサイフケータイ、そして緊急地震速報などを伝える緊急速報メールなど、ガラケーに搭載されていた機能はどうなるのでしょうか?
NTTドコモとauから発表・発売されているAndroid搭載フィーチャーフォン4機種を比較してみると、赤外線通信、ワンセグ、緊急速報メールは全ての機種が対応していますが、それ以外については端末によって対応・非対応が異なります。特に注意が必要なのは「おサイフケータイ」で、auの2機種は対応している一方で、ドコモの2機種は非対応となります。現在ガラケーでモバイルSuicaを利用している人は機種変更した場合に利用できないため、注意しましょう。ちなみに興味深いところでは、いまどき流行りの“自撮り”ができるインカメラはドコモ、auの4機種全てが非搭載となっています。ガラケーで自撮りをすることが多い人は、気を付けたほうがよさそうです。
通信方式はドコモの2機種がFOMAハイスピード(3G)、auの2機種が4G LTEで、auの「SHF32」はLTEを使った音声通話技術「VoLTE」にも対応しています。3Gと4G LTEという通信方式の違いは、メール、電話では大きな差はなさそうですが、PCサイトや画像の多いスマホ向けサイトを見る場合やメールやLINEで大きな画像のやり取りをする場合などには、通信速度の遅いドコモの2機種は少し動きが鈍く感じるかもしれません。ただ、スマートフォンのように大容量のゲームやアプリをダウンロードすることはガラホでは現状想定されていないため、実用面での不都合はないものと思われます。
このように対応サービスやスペックを見てみると、ガラケー向けサイトやアプリが使えない点や、自由にアプリの追加インストールができない点、キャリアがスマホ向けに提供するコンテンツサービスもほとんどが利用できない点、ドコモ端末ではおサイフケータイの移行ができない点などを踏まえると、ガラホはガラケーともスマホとも違う独特なポジションの端末であることがわかります。折り畳み式端末に愛着のあるユーザーや、携帯電話は通話とメールで十分だという人には十分ニーズに応えるものですが、具体的にやりたいことがある場合には、ガラホがそのニーズに応えてくれるかを機種変更前に十分確認する必要があると言えるでしょう。
宮内社長の大胆発言が話題のソフトバンクはどうする?
これまではガラホの新機種を発表したドコモとKDDI(au)を中心に紹介してきましたが、一方でソフトバンクはどのような動きなのでしょうか?
ソフトバンクは「COLOR LIFE 5 WATERPROOF」と「かんたん携帯8」という2機種のフィーチャーフォンを新機種として発表していますが、この2機種はAndroidを搭載したガラホではなく、従来のガラケー端末です。Android搭載フィーチャーフォンの投入については、今のところ動きはありません。それだけでなく、ソフトバンクの宮内社長は5月18日の発表会において、「スマホは要らないというユーザーを今後も大切にしていきたい」としながらも、フィーチャーフォンの将来について「(ガラケーの新機種は)出してはいくが、宣伝していきたいとは思っていない。ガラケーは最終的に必要ないと考えている」と大胆な発言しています。
確かに、総務省の情報通信白書(25年度版)によると、携帯電話・PHSの保有者に占めるスマートフォンの割合は、iPhone4が発売された2010年(平成22年)には9.7%だったものが、iPhone5が発売された2012年(平成24年)には49.5%と半数近くにまで増加しており、ユーザーのスマートフォンへの移行は順調に推移している模様です。しかし一方で、MM総研が5月14日に発表した2014年の携帯電話端末出荷台数調査では、フィーチャーフォンの出荷台数が7年ぶりに対前年比でプラスになり、今後も出荷台数見込は横ばいという予想をしています。ドコモ広報部もフィーチャーフォンの動向について、「契約者数の約半数弱はフィーチャーフォン。ユーザーのニーズがある限りは端末を提供し続けたい」とコメントしており、フィーチャーフォンが携帯電話業界から消える予感はあまり感じられません。
宮内社長の発言は、スマートフォンを中心としたビジネスモデルにサービスやネットワークなどの経営資源を集約していきたいという携帯キャリアの“ホンネ”なのかもしれません。しかし、実際のところは“スマホ派”、“ガラケー派”と2極化する顧客ニーズを見極めた戦略が求められることになるでしょう。
(執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)
必要ないとなるとなると困ります。
タブレットが便利です。
ソースカラ
携帯キャリア各社から2015年夏モデルが相次いで発表されました。スマートフォンではソニーの「Xperia Z4」やサムスンの「Galaxy S6 edge」といったハイエンドモデルに注目が集めていますが、一方でこの夏モデルの大きなトピックスが、NTTドコモとKDDI(au)から新モデルが登場したことによるAndroid搭載フィーチャーフォン、いわゆる「ガラホ」の本格展開です。
従来型のフィーチャーフォン、いわゆる「ガラケー」をめぐっては、携帯電話の機種メーカーが2017年以降に生産を終了するといった報道もありましたが、「ガラホ」の登場によるフィーチャーフォンの展開継続は「携帯電話は“ガラケー派”だ」というユーザーにとっては嬉しいところなのではないでしょうか。ただ、従来型の「ガラケー」とAndroid搭載の「ガラホ」には、色々な違いがあります。この記事では「ガラホ」の特徴を紹介しながら「ガラケー」との違いを整理してみましょう。
Androidを搭載したことで何が変わったのか?
「ガラホ」の一番の特徴は、端末を動かすためのOS(基本ソフト)がスマートフォンと同じAndroidになったということです。そのため、端末の形や操作性はガラケーと同じである一方で、端末に出来ることは大きく変わっています。
特に、Androidになったことで、ガラケーで提供されてきた「iモード」「iアプリ」(NTTドコモ)、「EZweb」「EZアプリ」(au)に非対応になったという点には注意が必要です。iモードやEZwebで有料コンテンツ(公式サイト)を利用している場合にはそれをガラホで継続利用することはできないため、原則として機種変更時には月額課金などをしている公式サイトは全て一度解約する必要があります。ただ、一部の公式サイトはスマートフォン向けのサービスを提供しておりガラケーからの契約を継続して利用できる場合があるので、利用している公式サイトに確認することをお勧めします。
また、ガラケーの公式サイトからダウンロード購入した音楽(着うたなど)やデコメ素材などについては、コンテンツを販売した公式サイトによって移行できるのか否かの対応が異なるため、移行したい大事なデータがある場合には購入先の公式サイトに確認するのが良いでしょう。ちなみにKDDI広報部に聞いたところ、同社の音楽配信サービス「LISMO」については、ガラホになっても「auスマートパス」に対応サービスが用意されているため、購入した楽曲データを移行してそのまま視聴することが可能とのことです。
一方で、ガラホはスマートフォンサイト、PC向けサイトの閲覧が可能で、携帯メールはAndroidになっても引き続き利用することができます。ただし、Androidになったものの、自由にアプリを探してダウンロードすることができる「Google Play」には非対応なので、この点はスマートフォンとは大きく違う点です。
アプリについては、NTTドコモの場合は無料通話アプリ「LINE」がプリインストールされているほか、auではLINEを含む約100種類のアプリを定額でダウンロードすることができるガラホ専用の「auスマートパス」が提供されます。ただし、ドコモのdマーケットで提供される「dTV」「dマガジン」といったサービスやKDDIの「うたパス」「ビデオパス」など、キャリア提供のコンテンツサービスのほとんどは、専用アプリをダウンロードすることができないためガラホで利用することはできません。
ちなみにAndroidでは、Google Playを介さずアプリの実行ファイル(apkファイル)から強制的にアプリをインストールすることが可能で、ネット上にはそれをガラホで試してみて成功したというレビューも見受けられますが、そのような場合にはもし端末に不具合が発生してもキャリアのショップでサポート対象外になる可能性があるため、十分に注意が必要です。
赤外線は?おサイフケータイは?緊急速報は?スペック面をチェック
電話番号を交換するときに利用する赤外線通信、電車やバスを利用するときに役立つおサイフケータイ、そして緊急地震速報などを伝える緊急速報メールなど、ガラケーに搭載されていた機能はどうなるのでしょうか?
NTTドコモとauから発表・発売されているAndroid搭載フィーチャーフォン4機種を比較してみると、赤外線通信、ワンセグ、緊急速報メールは全ての機種が対応していますが、それ以外については端末によって対応・非対応が異なります。特に注意が必要なのは「おサイフケータイ」で、auの2機種は対応している一方で、ドコモの2機種は非対応となります。現在ガラケーでモバイルSuicaを利用している人は機種変更した場合に利用できないため、注意しましょう。ちなみに興味深いところでは、いまどき流行りの“自撮り”ができるインカメラはドコモ、auの4機種全てが非搭載となっています。ガラケーで自撮りをすることが多い人は、気を付けたほうがよさそうです。
通信方式はドコモの2機種がFOMAハイスピード(3G)、auの2機種が4G LTEで、auの「SHF32」はLTEを使った音声通話技術「VoLTE」にも対応しています。3Gと4G LTEという通信方式の違いは、メール、電話では大きな差はなさそうですが、PCサイトや画像の多いスマホ向けサイトを見る場合やメールやLINEで大きな画像のやり取りをする場合などには、通信速度の遅いドコモの2機種は少し動きが鈍く感じるかもしれません。ただ、スマートフォンのように大容量のゲームやアプリをダウンロードすることはガラホでは現状想定されていないため、実用面での不都合はないものと思われます。
このように対応サービスやスペックを見てみると、ガラケー向けサイトやアプリが使えない点や、自由にアプリの追加インストールができない点、キャリアがスマホ向けに提供するコンテンツサービスもほとんどが利用できない点、ドコモ端末ではおサイフケータイの移行ができない点などを踏まえると、ガラホはガラケーともスマホとも違う独特なポジションの端末であることがわかります。折り畳み式端末に愛着のあるユーザーや、携帯電話は通話とメールで十分だという人には十分ニーズに応えるものですが、具体的にやりたいことがある場合には、ガラホがそのニーズに応えてくれるかを機種変更前に十分確認する必要があると言えるでしょう。
宮内社長の大胆発言が話題のソフトバンクはどうする?
これまではガラホの新機種を発表したドコモとKDDI(au)を中心に紹介してきましたが、一方でソフトバンクはどのような動きなのでしょうか?
ソフトバンクは「COLOR LIFE 5 WATERPROOF」と「かんたん携帯8」という2機種のフィーチャーフォンを新機種として発表していますが、この2機種はAndroidを搭載したガラホではなく、従来のガラケー端末です。Android搭載フィーチャーフォンの投入については、今のところ動きはありません。それだけでなく、ソフトバンクの宮内社長は5月18日の発表会において、「スマホは要らないというユーザーを今後も大切にしていきたい」としながらも、フィーチャーフォンの将来について「(ガラケーの新機種は)出してはいくが、宣伝していきたいとは思っていない。ガラケーは最終的に必要ないと考えている」と大胆な発言しています。
確かに、総務省の情報通信白書(25年度版)によると、携帯電話・PHSの保有者に占めるスマートフォンの割合は、iPhone4が発売された2010年(平成22年)には9.7%だったものが、iPhone5が発売された2012年(平成24年)には49.5%と半数近くにまで増加しており、ユーザーのスマートフォンへの移行は順調に推移している模様です。しかし一方で、MM総研が5月14日に発表した2014年の携帯電話端末出荷台数調査では、フィーチャーフォンの出荷台数が7年ぶりに対前年比でプラスになり、今後も出荷台数見込は横ばいという予想をしています。ドコモ広報部もフィーチャーフォンの動向について、「契約者数の約半数弱はフィーチャーフォン。ユーザーのニーズがある限りは端末を提供し続けたい」とコメントしており、フィーチャーフォンが携帯電話業界から消える予感はあまり感じられません。
宮内社長の発言は、スマートフォンを中心としたビジネスモデルにサービスやネットワークなどの経営資源を集約していきたいという携帯キャリアの“ホンネ”なのかもしれません。しかし、実際のところは“スマホ派”、“ガラケー派”と2極化する顧客ニーズを見極めた戦略が求められることになるでしょう。
(執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)