出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

注文数どおりの出荷

2006年05月18日 | 注文納品
角川書店の新しい文庫販売戦略云々についてのニュース。新たに導入した「責任販売制」は、書店が注文した冊数を確実に出荷する代わりに、返品は一定割合のみとのこと。実質「買い切り」だという意見が多いようだが、別のところに反応してしまう。

書店が注文した数を確実に出荷する・・・

配本数が違うということは、書店員のブログなどで読んで知っていたが、以前からなんでだろうと思っていた。ほしいだけの数を配本してもらえないという話だった。

売行きを版元で把握していて各書店への配本数もコントロールするからと、誰かから聞いた。が、大きい出版社は小さいところみたいに「フリー入帳」などなくて、契約通りだと想像していたので、なぜ「希望通りに配本して、その代わり返本なし」にしないのか、不思議だったのだ。

このニュースからすると、やっぱり大手も「なあなあ」なのか。

以前、「注文への対応も、返本を頭に入れてやるべし」とどこかで読んだ。それ以降、一応気にはしている。ただ、書店からめちゃくちゃと思われるような注文が来ることはないので(うちの本は地味に売れているのである)、ほとんど注文どおりに納品している。

一度、採用品だったか採択品だったか教科書の納品で、ドサッと返ってきたことがあった。今年も同じ注文が来たので、電話をくれた日販の人にしつこく探りを入れて、その人のシミュレーションによるとOKということを確認してから入れた。

それ以外は、注文どおり。で、疑問が浮かんだ。

トーハンの注文短冊は、おみくじ棚で受け取って、その場で本に挟んで納品するんだが、ときとして持っていった本では足りないことがある。

予想より多い注文ということで喜ばしいことではあるが、ただでさえ納期が長いのに次回に回すのは非常に気が引ける。特に、4冊の注文で持っているのが3冊だったりすると、めちゃくちゃ悔しい。

そういうときは、3冊だけさっさと納品したほうがいいような気もしてたんだが、それでいいってことだろうか。

考えてみれば、納品書さえちゃんと実際の数を書けば、誰にも迷惑はかからない。どうしてももう1冊必要だとすると、再度注文する手間がかかるが、大した迷惑ではないと思う。

今まで、律儀にやりすぎて、「長い納期」という迷惑を掛けていたんだろうか?