出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

流通の占める割合

2006年05月23日 | 出版の雑談
またしても、小さいことで気づいたことをいくつか・・・

まず、トーハンの返本箱の名前がわかった。「オリコン」。わかったからってどうってことはないんだが、ちょっとスッキリした。横のパネルが折れてコンパクトになるから、元は「折りコンテナ」なのだろうか。

で、そのオリコンだが、一箱に満たないときの返品手数料について説明を受けていたが、実際は一箱に満たないと結わいて返ってくる。返本おじさんから数冊の束を受け取ったときは、「ゲッ、また紐ですか~」とガックリ来た。紐の痕がないのは、本当に改装が楽なのである。少ないから結わいて帰ってくるんだろうか。それとも書店によっては、例の新しい返本センター経由でなしに返ってくるんだろうか。

返品伝票がまちまちになるのも気に入らない。日販もA4の紙だったり昔の伝票だったりするが、早く揃えてほしい。私は意外と細かいところでキレイ好きなのである。

それから、先日あっと驚くところでこのブログの読者に遭遇した。出版なんて全然関係ない人なんだが、「興味があって悪い? あんただって関係なかったじゃんか」と言われた。私はただの読者だった頃に出版業界について知りたいなんて思いもしなかったが、そういう人が多いということか。

で、彼曰く「流通の話が多い」。もっと企画とか編集とかの話も読みたいんだそうだ。けれどもひとりでやってると、編集より品出し関連作業のほうが圧倒的に多い。おまけに、編集なんて具体的な話をしなきゃ読んでも面白くなかろう。このブログは匿名ブログなので、具体的な本の話はあまりできない。宣伝も兼ねて公開したいのは山々だが、そうすると書きづらいことも出てくる。今のところ、ストレス解消を優先することにする。

ただ彼のリクエストに応えて、今手がけている本の話を少しすると、今回初めてライターを使っている。今までは自分で直したり、頼んでもリライトだけだったんだが、原稿完成まで他人の手による文章ってのは初めてだ。本来、ライターさんの他の原稿などを先に読んで「この人に…」と発注するものなんだろうが、ちょっと一緒に仕事をしたい事情があってこうなった。

ところがどんな感じの文章にしてほしいか説明するのが、意外と大変だった。サンプルを探したんだが、こういうのは探すとないもんで、結局自分でサンプルを書いて渡した。

実用書などはあまり関係ないかもしれないが、巷の編集者はどのくらい「文章の雰囲気」にこだわるんだろう? 「もう少し、どうこうして」とか注文して何度も書き直しさせてるうちに、自分で書きたくなることはないんだろうか? ブリーフィングも編集能力のうちということか。

ところで「流通のことが多い」と言われて思い出したが、どこかの小さい出版社の社長のブログに「資金繰りがまったくわからない」と書いてあって、ビックリした。私にとって、商品の流れとか資金の流れってのは基本中の基本だ。

この前会った人たちに「経験なくて出版社始めるなんて、スゴイ無謀」と言われたが、資金繰りがわからない社長のほうがよっぽど無謀だと思う。言ってしまえば、そんな社長についていく社員も無謀な気がするが、いくらでも転職先があるから構わないのか。