出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

初めての経理 その2

2005年03月10日 | 出版経理
出版経理の基礎のコースに申し込んで、当日、大船に乗った気で喜んで出かけた。なんか、古そうな出版社の2階、それもすっごい古そうな本が積んである棚の狭い隙間を通った、その奥の部屋。その出版社もその協会だか何だかの会員ってことか。

部屋自体は、普通の会議室だった。日本人の常で最前列が空いてたので、その真ん中に座る。講師の目の前だ。あわよくば知り合いになりたい。

始まるまで時間があったので周りを見渡すと、若い人が半分くらい。最近はクリエイティブな職業でなくてもスーツの着方がおかしい若い子が多いので、普通の若い子と区別はつかない。経理担当だからか。

あと半分はなぜか、4、50代の男性。法人会の決算説明会と同じで、毎年出てるのか。

コースが始まってからも、ほとんどの人は興味がなさそう。お仕事ってな感じで、かろうじて前を向いている。(最初の数分のあいだに、ちょっとよそ見してみた)

当時は消費税の総額表示が決まった頃で、まずその話。3%から5%に増えたときの出版社の苦労について初めて聞く。カバーにシールを貼るとか何とか。おおっ、確かに!って感じ。

それから、出版社は高額の飲み食いも交際費じゃなくて会合費や編集費で認められるという、おいしい話。

他に、「常備」の経理上の取り扱いについての詳しい説明。講師いわく、常備は売上じゃなくて預け在庫とのこと。

なんか、前に1冊そういう注文書が来た気がする。が、それっきりだ。きっと書店が勝手に、常備から委託か注文かに切り替えたに違いない。売れたかもしれないし、もう返本で戻ってきてるかもしれない。わからん。大きい出版社だと、日本中に常備とやらがあって、相当な金額に違いが出るだろうけど、うちは関係ない。

そんな感じで超専門的な話題で、コースが終わってしまった! これじゃ、出版経理の基礎じゃない!

講師が、「これで終わりです、ご質問は?」と言ったが、たずねることが多すぎるし恥ずかしいので、ここでは手は上げない。みんなが席を立った後、講師のそばまで行く。

「あの~、納品のときの伝票って○○○でいいんですか?」
当然のことながら、あんた何者?何きいてんの?ってな顔をされる。この反応にも慣れてきていた。

実は最近出版社になって…云々と説明する。そんなことも知らないでなったのかと怒られるので、なぜか取次口座が取れちゃったことも、強調しておく。

「あなた、もしかして取次からの計算書、確認してない? それ、いかんよ~。自分とこの数字と合わせなきゃ」
「計算書のとおり入金されてるから、ほってあります」

講師はあっけにとられ、それからいろいろ説明してくれた。納品、返品、清算(計算書との付き合せ)、それから入金のときの伝票の書き方を教わった。決算のときの調整は、もらった資料に書いてあるとのこと。だいたい見えてきた。

自分を税理士として雇いなさいよ、みたいなことに講師の話が変わってきたので、名刺をもらって礼を言って帰る。

税理士は要らない。
よし! 明日から伝票&計算書と格闘だ!