西條 奈加著
「せき越えぬ」
この、せき越えぬの「ぬ」は完了の助動詞
せき越えた
ということになります
この物語のせきは
箱根の関所のこと
ここの関士となった武一が主人公
関所を通る人や、抜けたりする人々は時代小説でもよく読みますが
この関所を守る人の方から描いた小説は初めて読みました
色んな人生を抱えた人たちが通ります
関所の仕事は本当に大変です
真っ直ぐすぎる性格
直情的?
単細胞?
そこがとっても魅力的
そんな武一があることで落ち込みます
彼の弟が心配して話を聞きます
「兄上のやり方を、通せばよろしいのでは?」
「おれのやり方だと?」
「当たって砕けろが、兄上の得手でありましょう?」
「兄上なら、大丈夫ですよ。
一度や二度、砕けたところでものともしない。
たくましいお方ですから」
「あまり褒められておる気がせんのだが・・・」
「褒めておりますよ。父上も、同じように申されておりました」
「父上が?」
「本当に強いのは、負けない者ではなく、
何度でも立ち上がることのできる者だと。」
後半までは、関所の仕事のことや、通る人との関りや、若い仲間たちの話しだったのですが
最後にきて、身分の違いをこえた大親友の願いを叶えるために
危ない橋を渡る武一
ハラハラドキドキさせられます
一気読みしてしまう面白さです
やっぱり西條さんの作品はいいです
コロナことも忘れさせてくれること請け合いです