幸せ(2024.3.2日作)
ただ夢にだけ囚われ
日々 何事も無く生きる事の幸せ
大切さを忘れるな
人は現に今ある日常の何気ない幸福 幸せを忘れ
単なる夢 幻 夢想にしか過ぎない幸せに
憧れるものだ 人は
どの世界に於いても それなりの
苦労 苦難から逃れる事は出来ない
その世界には それなりの 苦労 苦難がある
夢
自己の夢
その頂に辿り着くには
日々 日常 一歩一歩 一足一足
階段を登ってゆく
思いがけず 望外に得た幸運 僥倖は
ひと時の夢 幻
幸運に酔い痴れる事は出来ても
その喜びは束の間 地に足の着かない喜び
不安定さの故に 瞬時に
崩れ去って逝くだろう
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
希望(13)
修二は業者が置いていった野菜を調理場に運んでいた。
「おい、修二 ! 」
マスターの何時にない鋭い声が修二を呼んだ。
修二が返事をして店先に向かうとマスターは、通用口の近くに立っていた。
修二と眼が合うと小さく首を振って表に注意を促した。
店の入口には二人の男が立っていた。
すぐに刑事だと分かった。
二人の鋭い視線は共に修二に向けられていた。
「山形修二か ?」
大柄で屈強な感じの五十歳前後の男が言った。
「そうです」
修二の声はかすれていた。
咄嗟に母親の顔が浮かんだ。
火事の事で来たんだ、と判断した。
「ちょっと一緒に来て貰いたい」
警察手帳を見せて言った。
もう一人の四十歳位かと思われるやせ型の背の高い男は黙ったまま修二を見ていた。
修二は息が詰まって言葉が出なかった。
「行って来いよ」
様子を見ていたマスターが言った。
静かな声だった。
咎める気配はなかった。
励ますような響きさえが感じられた。
マスターは修二の身の上に付いては何も知らなかった。
修二が住み込みで働くようになっても、過去に付いては何も聞かなかった。
修二を信用しての事か、軽く見ての事なのかは分からなかった。
修二はただ、日頃、マスターが持つ、何処か普通の人とは異なる独特の険しい雰囲気に、射すくめられるような思いと共に、ある種の畏敬にも似た感情を抱いていた。
それが、日常見せてくれる優しい心遣いと共に、修二のマスターに対する従順さを育んでいた。
「なんですか、これ」
修二はマスターの言葉に励まされた様に、警察手帳に視線を落として反抗的に言った。
「お前の家が焼けた火事の事で聞きたいんだ」
口調は穏やかだったが、厳しさのこもった声で刑事は言った。
「知らないですよ、そんな事、俺」
修二は警察手帳に視線を落としたまま不服そうに言った。
「知ってる事だけ、話せばいいんだ」
修二は黙っていた。
「行って来いよ」
マスターがまた言った。
依然として、修二を励ますような響きがあった。
修二はマスターの言葉と共に顔を上げて刑事の顔を見た。それから、
「今、着替えて来ます」
と言った。
「そのままでいい」
刑事は言った。
「大丈夫ですよ。二階へ行くだけですから」
マスターが、警戒する刑事の心を読み取ったかのように言った。
「すぐ、降りて来いよ」
修二の背中に向かってマスターは言った。
「はい」
修二は答えた。
あいつが告げ口をしたんだ !
階段を昇りながら母親の顔を思い浮かべた。
それと共に、どんな事があっても、絶対に口を割っては駄目だ、と自分に言い聞かせた。
ライターも燃えてしまったし、証拠になる物は何もないんだから !
広さ三畳程の部屋だった。
「その椅子に座って待っていろ」
長身の刑事が言った。
刑事は入口の扉を閉めてすぐに出て行った。
小さな、ガラス二枚の窓が修二が座った椅子の後ろの高い位置にあった。
鉄製の柵で窓は守られていた。
部屋の壁は白い漆喰で塗られていた。
修二が座った椅子の前には木製の古びた四角い机があった。
傍には修二が座ったのと同じ様な椅子が二つ置かれていた。
二人の刑事が再び姿を見せた時にはは三十分以上が過ぎていた。
何も無い空虚な部屋で長い時間を待たされて修二は苛々していた。
二人の刑事は無言のままそれぞれが椅子に座った。
机に着いてからも二人は無言のままで手にした書類を動かしていた。
分厚い書類の束だった。
書類の整理が付くと年上の刑事が初めて口を開いた。
「名前は山形修二だな」
「そうです」
「十七歳」
「そうです」
「家族は母親と二人だけか ?」
「そうです」
「去年三月八日、家は火事になったな」
「はい」
「なんで火事になったんだ ?」
「分かりません」
「ここには煙草の火の不始末が原因だと書いてある。そうなのか ?」
「分かりません」
「火が出た時の様子を覚えているか ?」
「分かりません。眠ってたから」
「どうして火事に気付いたんだ ?」
「あふくろが火事だって叫んで分かったんです」
「それで飛び起きたのか ?」
「そうです」
「それからどうした ?」
「鞄を持って逃げたんです」
「なんで、鞄なんか持って逃げたんだ ?」
「婆ちゃんが死んだ時に貰った香典が入ってたんです」
「よく、その鞄がある所へ行けたな ?」
「何時も仏壇の傍に置いてあったからです」
「寝間着のまま飛び出したのか ?」
「いや、服を着てました」
「着替える時間はあっのか ?」
「服のまま寝てたんです」
「何時も服のまま寝るのか ?」
「違うけど、あの夜はおふくろと喧嘩して、そのまま寝てしまったんです」
「なるほど」
刑事は言った。それから、正面から修二の顔を見て、
「おまえはなかなか、説明が上手いな」
と、軽い笑みを浮かべて言った。
「なんで、今ごろになって呼び出したのか分かるか ?」
刑事は修二に視線を向けたままで言った。
「分かりません」
「あの夜の火事は、おまえが火を点けたんだっていう情報が入ったんだ」
刑事は言った。
修二に驚きはなかった。やっぱり、あいつだ、と思った。
「いくら、おまえが隠し立てをしたって、結局、最後には分かってしまうんだ。はっきり言わないで隠し立てをすればする程、罪は重くなるんだぞ。どうだ ?」
「俺。放火なんかしてません」
刑事の口調に対抗するように修二は強い口調で言い返した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
takeziisan様
楽しい記事 懐かしい写真 堪能しました
書けない文字 読めない文字 タケナワ
酒盛りの盛んな状態に関して表現する文字としての酣は分かるとして
何故 橋の闌干(通常 欄干と書きますがこの文字も使います)の闌が
タケナワに使われるのか ? 面白く拝見しました
野菜収穫 大根には思わず笑ってしまいました
形自体もそうですが まるで人の笑っている顔に見える模様
傑作です 苦労のあとの収穫の喜び
花粉 車が黄色くなる事はありませんが クシャミ頻発です
星取表 面白いですね わたくしは週一回の
体重測定をしています もう十年以上も続いていますが
多少 体重の減少が見られますが それなりに元気です
膝のチクチク痛みも食事と体操で克服しました
今は快調ですが 流石に体の堅くなった事だけは自覚せすばにはいられません
柔軟体操は毎朝行っているのですが
年齢による現象と諦めています
蘇州夜曲 若き日の長谷川一夫 李香蘭
昭和十五年 わたくしが生まれて二年目 なぜか懐かしく時代への郷愁を覚えます
もうすぐ彼岸 何時まで寒い事やら 今年は暖冬という事ですが
こちらも日曜には雪が一二三センチ積もりました
春の陽気が待ち遠しいです
何時も有難う御座います
桂蓮様
コメント有難う御座います
文頭の文章 年寄りの説教だとお取り戴くのはちょっと心外です
わたくし自身 他人様へ説教など出来る身では有りません
何時も此処に掲載する文章は日常の中で自身が納得した
感慨 思いを書き留めているだけのものにしか過ぎません
自身の心の呟きなのです それにわたくし自身 自分を年寄りだとは思っていません
身体的には確かに確実な衰えを実感しますが 思考的には今が最も
充実している時だと思っています
年齢を重ねた経験の中で得た知識として 揺るぎない確信の下に
書き留めています
どうぞ、これからも年寄りの説教などとは思わずに一人の人間の考えた事として
良否を御判断戴けましたら嬉しく思います
勿論 人それぞれ考え 思いは異なります こんな文章は嘘っぱちだと
思われる方もいらっしゃると思います それはそれでわたくしのどうこう言える問題では
ありません ただ わたくしはわたくし自身だという確信の下
掲載してゆく心算でいます
バレー 以前にも書いたと思いますが 良い御趣味を見付けられました
楽しみと共に心身の健康 充実にも役立ちます
明日は今日よりもっと良く・・・・日々の生活に潤いと張りが生まれます
どうぞ これからも頑張って下さい
御健闘を祈ります
有難う御座いました
和文 英文 分離 確かにこの方が文章の流れとしては自然な気がします
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます