MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『レンブラントは誰の手に』

2021-03-18 00:59:21 | goo映画レビュー

原題:『Miji Rembrandt』 英題:『My Rembrandt』
監督:ウケ・ホーヘンダイク
脚本:ウケ・ホーヘンダイク
撮影:サンダー・スヌープ/グレゴール・メールマン
出演:ヤン・シックス/エルンスト・ファン・デ・ウェテリンク/トーマス・カプラン
2019年/オランダ

レンブラントという「呪縛」について

 本作はドキュメンタリー映画なのだが、事後ではなく撮影中にこのようなスリリングなストーリーが展開するのは、監督が『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(2008年)や『みんなのアムステルダム国立美術館へ』(2014年)などずっとアムステルダム国立美術館へ張り付いていた賜物なのかもしれない。
 主人公はヤン・シックスという画商で、先祖はレンブラントとも親交があったパトロンのヤン・シックス一世でヤンはその末裔で、幼少の頃からレンブラントの作品に囲まれていたヤンはレンブラント作品に対する目は肥えている自信があった。
 そんな時にヤンはクリスティーズ競売目録に載っている『若い紳士の肖像画(Portrait of a Young Gentleman)』がレンブラントの作品だと直感し、153000ユーロという安値で落札したのである。自分の所有物にできれば作品の真贋を検証することができるからである。その際、レンブラントを専門とする美術史家のエルンスト・ファン・デ・ウェテリンク教授に協力を求め、教授は確証が無いまま認める形になり、その研究成果をまとめてヤンは本を出版し、44年振りのレンブラントの作品の発見ということで一躍時の人となるのであるが、共同購入しようと約束した美術作品のコレクター夫妻が、画商であるヤンが夫妻や他のディーラーと共同購入するという約束を反故にしたという噂をネットで目にする。
 同じ頃、フランスの富豪のロスチャイルド家が何世代にもわたり所有してきたレンブラントの2枚1組の絵画「マールテン・ソールマンとオープイェ・コピットの肖像(The Pendant Portraits of Marten Soolmans and Oopjen Coppit)」の購買をオランダのアムステルダム国立美術館が手を挙げたのだが、1憶6000万ユーロという高額だったためにフランスのルーブル美術館に共同購入を提案する。しかしレンブラントの作品が「金になる」ということを知った美術に関しては門外漢の政治家たちが2枚1組の作品がバラバラにならないようにと駆け引きした結果、ルーブル美術館が所有し、アムステルダム国立美術館に貸し出すという案でまとまるのである。
 このようにレンブラントの作品に関しては、どうしても「色眼鏡」から抜けられず冷静な判断ができないのであるが、そんな2つのエピソードに挟まれているのがレンブラントの『読書する女性(Old Woman Reading)』を個人で所有しているスコットランドのバックルー公爵で、バックル―公爵はレンブラントの作品というよりも「読書する女性」が好きなのだと思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-408783


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