戦場でワルツを
2008年/イスラエル=フランス=ドイツ
アニメーションにする理由
総合 20点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
パンフレットによればこの作品はゴールデングローブ賞やセザール賞の最優秀外国語映画賞など数々の賞を受賞している。事実を元にしていることやドキュメンタリーとアニメーションの融合という斬新な映像表現が評価されているようだが、以下に記す通りに私はこの作品を全く評価しない。
まず私が理解できなかったことはこのドキュメンタリーであるはずの作品が何故わざわざアニメーションにしなければならなかったのか、最後まで観ても分からなかった。一説によるとあやふやな記憶とアニメーションという表現方法の相性が良いということらしいが、アニメーションという表現方法はそんなにリアリティーの無いものだっただろうか? アニメーションもずいぶんとナメられたものである。原題『Waltz With Bashir(バシールとワルツを)』とあるように虐殺の誘引となったバシール・ジェマイエル(Bashir Gemayel)というレバノンの指導者を、例えばチェ・ゲバラのようにあえて‘偶像化’するための手段としてのアニメーションであるのならばまだ納得もできるが、この作品において作品の質を上げるためにアニメーションにする理由は全く見当たらなかった。
では何故このドキュメンタリーはアニメーション化されたのであろうか? はっきり言ってしまえばイスラエル出身のアリ・フォルマン監督が現実を直視できなかったからだと思う。90分も現実を直視できなかったためにラストに申し訳程度に実際のサブラ・シャティーラの虐殺のニュース映像が使われたのである。だから私はこの作品が数々の映画賞を受賞していることが‘ガス抜き’の役割を果たしてしまうのではないのかと危惧するのであるが、申し訳程度であっても実際の虐殺後のニュース映像が少しでも多くの人に観られるだけでも価値があるという苦渋の判断による評価である。
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