愛する人
2009年/アメリカ=スペイン
男が介入する余地はない
総合 100点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
14歳で出産した娘を養子に出し、それから37年間母親と一緒に暮らして、他人との関係を閉ざしている主人公のカレンと、37歳になり優秀な弁護士として、同様に独身で他人に心を開かないエリザベスはさすがに親子というべきなのか、性格がそっくりである。物語はこの親子を軸として‘母と子’の話を膨らませている。
出産する子供をルーシーに養子として提供しようとする20歳のレイが異常に聡明で、どうしてこのような女の子が避妊をしなかったのか不思議であったが、17歳の時にメキシコへ行って歳を偽って避妊手術をしていたエリザベスが妊娠してしまったということで上手く伏線を張っている。エリザベスは妊娠した時点で母性に目覚めたようであるが、レイは出産してから母性に目覚めてしまい、ルーシーは養子を得ることができなかった。
エリザベスの子供の父親がどちらなのか観客に気を揉ませ、盲目の少女であるヴァイオレットと遭遇させることで、生まれてくる子供の先天性異常を暗示させながら、母体の方が失われてしまうという展開も上手い。
夫と離婚してまでようやく養子を得たルーシーであったが、実際に育ててみると理想と違って全く自分の言うことを聞いてくれない赤ん坊に腹を立ててしまうのだが、ルーシーの母親が「母親になりなさい」と娘をたしなめる。
なかなか親子であっても、あるいは親子であるからこそ気持ちを理解し合うことは難しいのかもしれない。カレンが母親が亡くなった後に、家政婦のソフィアから自分の母親の本心を聞くように、エリザベスがカレン宛に施設に託した手紙はエリザベスの死後、カレンに届けられることになる。
カレンはルーシーが引き取ったエリザベスの娘であるエラと交流するために、ルーシーが住んでいる家の側に引っ越してくる。カレンの母親のペンダントは紆余曲折しながらエラの首にかけられることになる。
母親と子供(正確には娘)の間で起こりえるあらゆる問題が隈なく描写されており、その巧みな‘話術’に驚かされる。
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