MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『金メダル男』

2016-10-28 00:04:37 | goo映画レビュー

原題:『金メダル男』
監督:内村光良
脚本:内村光良
撮影:神田創
出演:内村光良/知念侑李/木村多江/ムロツヨシ/土屋太鳳/平泉成/宮崎美子
2016年/日本

「アマチュア」の限界について

 主人公の秋田泉一が小学生の時の運動会の徒競走で1等賞を獲ったことをきっかけに様々なコンテストに挑み、やがて「塩尻の金メダル男」と呼ばれるようになるのだが、中学生になり思春期を迎え、異性を意識するようになると集中力が途切れるようになり、一位から遠のき始めた。
 県立塩尻高等学校に入学し友人の竹岡啓二とバスケットボール部に入るが集団行動に向かないと判断すると「表現部」を一人で設立し、文化祭で『坂本龍馬 その生と死』という舞を演じると入部希望者が殺到し、結果的に泉一が追い出されることになる。
 高校を卒業して上京して「劇団 和洋折衷」に入団するが、やはり集団活動には馴染めず、様々なことに一人でチャレンジするのではあるが、一位には届かない。そんな時にマネージャーをしてくれていた亀谷頼子が、かつて自分が憧れて上京するきっかけになったアイドルの北条頼子だったことを知り、今度は一人ではなく、集団でもない「二人」で一位を目指すことになるのであるが、急ごしらえの芸では何をやってもダメだった。
 それでもプロにはならず何かをやり続ける泉一の信条は「アマチュアリズム」というものであろう。プロになってキャリアを積んで大御所に甘んじることに興味がわかないのであるが、正直に言うならば泉一のように誰もが「アルバイト」のまま人生が上手くいく訳ではない。50歳を過ぎた頃に偶然高校の同級生の竹岡啓二に会い、同級生だった横井みどりが亡くなったことを知る。つまり泉一は死を意識する年齢に差し掛かっていることを自覚しているはずだが、それでも「アマチュア」にこだわれるのは結果的に結婚もして子供もできて全体的には人生が上手くいっているからなのであり、悪い作品ではないが決して私たちの人生の参考にはならない。「性欲」の問題はどこへ行ってしまったのか?


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