MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『熱のあとに』

2024-02-21 00:54:59 | goo映画レビュー

原題:『熱のあとに』
監督:山本英
脚本:イ・ナウォン
撮影:渡邉寿岳
出演:橋本愛/仲野太賀/木竜麻生/坂井真紀/木野花/鳴海唯/水上恒司
2024年/日本

「熱のあとの」愛について

 作品冒頭、主人公の宇佐美早苗が階段から速足で降りてたどり着いた場所には恋人の望月隼人が上半身裸で血まみれで倒れている。そこで早苗が煙草を吸うと、煙で反応した火災検知センサーが作動して頭上から放水が始まる。そこから場面が転換して「6年後」というタイトルと共に映されるのは2022年11月に早苗が小泉健太とお見合いをしているレストランの目の前にある噴水である。隼人と健太に対する早苗の愛のあり方が水の流れの対照性で暗喩させている描写が素晴らしい。つまり意外ではあるが、隼人に対する「無理のなさ」と健太に対する「無理矢理」の感じが見て取れるのである。
 プラネタリウムにおいて早苗と隼人が再会し、早苗のモノローグの中で黒潰れギリギリまで露出を抑えた演出も素晴らしい。
 結局人は理屈の正しさよりも「熱」がなければ人を愛せないし、その「熱」のありようは人によって違ってくるのだから、「熱のあとに」私たちができることは60秒見つめ合うという「平和」の確立なのではあろうが、それは果たして「愛」なのだろうかという皮肉が込められていると思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/oricon/entertainment/oricon-2312998


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