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「新怖い絵」中野京子

2016年08月22日 21時22分50秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「新怖い絵」中野京子

このシリーズはオワリ、と思っていた。
新刊が出て、喜んでいる。

ルイ15世の寵姫ジャンヌの話
P39
 カトリックは離婚が許されない。ジャンヌはデティオール夫人のままヴェルサイユへ入り、寵姫となった。寵姫とは、数多の王の愛妾との熾烈な闘いで唯1人選ばれる、いわば役職名だ。給料も年金ももらい、宮廷の華やかな面を代表する存在であり、王妃をも凌ぐ権力者だ。
外国の大使やさまざまな陳情者は、王妃の部屋を通りこして彼女のもとへ贈り物を携えて表敬訪問する。

P96
そもそもゴシックという言葉はゴート人(ゲルマン系部族)からきたもので、ゴート人的な様式、即ち、古代ギリシャ・ローマの高尚な古典文化を引き継いだ(と自任する)イタリアから見て野蛮で悪趣味なスタイル、というニュアンスがあった。ゴシックの特徴は建築に顕著に見られ、雲突くばかりに聳える尖塔、鋭く尖ったアーチ、縦長の広い窓がそれだ(ケルン大聖堂など)。

P149
「ギリシャの愛」とは、つまるところ「少年愛」であり、それは選ばれた者だけに許され、奴隷には禁止された。神話画の中で恋の神エロス(=クピド、アモル、キューピッド)が最初、美少年の姿をとっていたのはそのためだ。時代が下るにつれ幼児になっていったことに、社会的抑止力がうかがえる。


P29
ミレーと同時代の人の中には、この絵を「怖い」と思う人々がいた。本気で怖がり、それゆえに忌み嫌う人々が……。
「共産党宣言」は、この絵の9年前に刊行され、次第に広く影響を与えつつあった。
詩人・ボードレールのミレー嫌いは徹底していたそうだ。


『聖ヨハネの斬首』(1608年)
マルタ島の聖ヨハネ大聖堂の祭壇画として飾られているそうだ。
いつかマルタ島に行ったら、見てみたい。

【ネット上の紹介】
絵の背景にある歴史の闇や人間の暗部に注目し『名画に描かれた「怖さ」を読み解く』という新たな絵画の楽しみ方を提唱し大ヒットした、「怖い絵」シリーズの待望の新刊が満を持して登場!今回取り上げるのは、シャガール、ミレー、モネ、ゴヤ、カラヴァッジョといった有名どころからゲイシー、ブグローなどマニア向けまで多種多彩。中野節炸裂、絵画ファンから歴史ファンまで大満足の解説書。

[目次]

フリーダ・カーロ『折れた背骨』
ミレー『落穂拾い』
フラゴナール『ぶらんこ』
バルデス=レアル『世の栄光の終わり』
ジロデ『眠るエンデュミオン』
シャガール『ヴァイオリン弾き』
ブグロー『ダンテとウェルギリウス』
ドレ『ジュデッカ/ルシファー(『神曲』地獄篇“第34歌”)』
フリードリヒ『ブナの森の修道院』
ドローネー『ローマのペスト』
ゲイシー『自画像』
ティツィアーノ『パウルス三世と孫たち』
ミレイ『オフィーリア』
ダヴィッド『テルモピュライのレオニダス』
レーピン『思いがけなく』
モネ『死の床のカミーユ』