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【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

第159回芥川賞・直木賞

2018年07月19日 19時50分38秒 | 読書(小説/日本)

第159回芥川賞・直木賞が発表された。

『送り火』 高橋弘希
【ネット上の紹介】
東京から山間の町に引越した中学三年生の歩。うまくやってきたはずだった。あの夏、河へ火を流す日までは。注目の俊英、渾身作!

『ファーストラヴ』 島本理生
【ネット上の紹介】
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。


「悪魔のような花婿」シリーズ再読

2018年06月14日 19時53分13秒 | 読書(小説/日本)

5月は、「嘘つきは姫君のはじまり」シリーズを再読していた。
今月は、「悪魔のような花婿」シリーズを再読した。
両者は松田志乃ぶ作品の双璧、甲乙つけがたい面白さだ。

「薔薇の横恋慕」P139
マザーフィールドの領地を治めることになった夫に若きモード・パイパーが求めたものは、領民たちへの慈悲の心、仕事への情熱、家族への愛情、妻への誠実さといったものだった。
 その全てを完璧に満たしてもらえるとは彼女自身も思っていなかっただろう。だが、ただの一つも与えられないとはさすがに考えなかったはずだ。

「魔女たちの仮面舞踏会」P194レディ・エリノアのセリフ
「それを否定するつもりはないわ。私は愛を感じたことはないけれど、愛の存在を主張する人々が全員揃って嘘を言っているとも思わないから。幽霊のようなものね。ある人は確かに見たと言い、ある人はただの幻だと言う……。(後略)」

「魔女たちの仮面舞踏会」P204ジュリエットのセリフ
「でも、あの、生意気なことを申すようですけど、わたしにとって、愛の存在を疑うことは自分を疑うことと同じように思われます、王妃さま。両手をながめて、これは本当に自分の手なのかと考えるような・・・・・・わたしは家族から惜しみない愛情を与えられて育ちましたし、それは確かにわたしの一部になっていると感じますの。愛など幻だと否定したら、それを一部としているこのわたしも幻ということになってしまう気がします」 

「たんぽぽと卵」P255
「落ちたらまた受ければいい」
 リオンは言った。
「それでもだめなら、他の場所で、あなたにふさわしい他の道を新たに探し始めればいい――エリザベス・スプリング」
 初めて彼からその名前で呼ばれ、エリザベスがかすかに目を見開いた。
(ジュリエットもいいけど、私はエリザベスのファンだ)

【参考リンク】1
「嘘つきは姫君のはじまり」再読 

【参考リンク】2

「悪魔のような花婿」松田志乃ぶ
「遅れてきた求婚者」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿 薔薇の横恋慕」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿~ダイヤモンドは淑女の親友」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿~愛と誘惑の黄金宮」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿(あなた)~魔女たちの仮面舞踏会」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿(あなた) 魔法使いの恋人」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿(あなた) 薔薇の祭典」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿(あなた) エメラルド島の花嫁」松田志乃ぶ
「悪魔のような花婿(あなた) プリンセス・フェスティバル」松田志乃ぶ


「殺気!」雫井脩介

2018年06月05日 20時41分03秒 | 読書(小説/日本)

「殺気!」雫井脩介

青春ミステリ。
女子大生のましろは、他人の「殺気」を感じ取ることができる。
子どもの時に何者かに拉致監禁されたことが原因なのか。
そんなとき、身近に女児誘拐事件が発生。
ましろたちは解決にのりだす。
青春と友情を描いたミステリ。
おもしろかった。

【おまけ】
多摩学院大学体育学部助手兼剣道部コーチの佐々木深紅が登場する。
彼女は望月篠子シリーズ「栄光一途」「白銀を踏み荒らせ」にも登場するそうだ。
今後要チェック。

【ネット上の紹介】
このざわめきは事件の予兆!?12歳で何者かに拉致監禁された経験をもつ女子大生のましろは、他人の「殺気」を感じ取る特殊能力が自分にあると最近分かってきた。しかし、その起因を探るうち、事件当時の不可解な謎に突き当たってしまう。一方、街では女児誘拐事件が発生。ましろは友人らと解決に立ち上がるが…。一気読み必至のミステリー。


ワールドカップ第5戦、予選

2018年06月03日 20時44分55秒 | 読書(小説/日本)

ワールドカップ第5戦、予選が2日、八王子で開幕した。
朝日新聞、6/3の記事。(予選結果まで載せるとは、普通のメジャーなスポーツみたいだ)


「銀色の絆」雫井脩介

2018年05月29日 20時04分39秒 | 読書(小説/日本)

「銀色の絆」雫井脩介

フィギュアスケートの話。
藤里梨津子は離婚して娘の小織とともに名古屋へと転居。
フィギュアスケートの名コーチに師事することになる。
フィギュアスケート表の世界と裏側が描かれる。

どうだろう、面白いのかな、と思って読みだしたが、杞憂であった。
本書も一気読みの面白さであった。

P13
小織がマスターしている三回転ジャンプは、トウループとサルコウである。その頭があるから、トウを突いて跳んだ三回転ジャンプはトウループ、突かずに跳んだ三回転ジャンプはサルコウだと勝手に思っていた。

P101
もちろん、いくら身体能力に優れていても、いい演技ができるとは限らないのがフィギュアスケートだ。ジャンプ一つ取っても、高く跳ぶことより、シャープな軸を作って素早く回転することのほうが重要であったりする。脚力だけでなく、全身の筋肉が統一性を持って、わずかな無駄もなく連動することが大事なのだ。

【蛇足】
娘にフィギュアスケートを習わせるのって、これほど大変とは思わなかった。
私にはとうてい無理…。(娘いないけど)
いたとしても、習わせようと思わない。
せいぜいクライミングでしょう。(安上がりだし)

【他の作品】


それにしても多彩なジャンルを描かれる作家だ。
どれも面白い。
でも、一番面白いのは「引き抜き屋」かな。
「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介
「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介
「クローズドノート」雫井脩介
「 犯人に告ぐ」雫井脩介
「犯人に告ぐ」(2) 雫井脩介

【ネット上の紹介】
夫の浮気で離婚、娘の小織とともに名古屋へと転居し、無気力な日々を送っていた藤里梨津子だったが、フィギュアスケートの名コーチに小織の才能を見出され、娘を支えることに生きがいを感じ始める。スケートクラブ内の異様な慣習、元夫の会社が倒産したため途絶えた養育費、練習方針を巡るコーチとの軋轢―人生のすべてを懸ける梨津子の思いに、小織はとまどいながらも成績を上げていき、やがて…。フィギュアスケートの世界を舞台に母と娘の絆を描く、著者渾身の長編小説。


「犯人に告ぐ」(2) 雫井脩介

2018年05月28日 19時56分08秒 | 読書(小説/日本)

「犯人に告ぐ」(2) 雫井脩介

引き続き続編を読んだ。
再び誘拐事件発生。
誘拐というと警察と犯人の攻防になるが、
本書の特色は、被害者家族も警察を欺こうとする点。
いったいどう決着がつくのか?
犯人側の心理は背景も詳細に描かれ、作品に深みを与えている。
初巻同様一気読み。

【おまけ】
「犯人に告ぐ」初巻=2004年
「犯人に告ぐ」2=2015年
初巻から10年以上空いていることが分かる。
(3)はあるのだろうか?
この終わり方は、続きを予感させる。期待したい。

【ネット上の紹介】
警察、犯人、被害者家族―前代未聞の騙し合いが始まる!巧妙に仕組まれた“誘拐ビジネス”。神奈川県警を嘲笑うかのような闇の犯行に、異色の捜査官・巻島史彦警視が再び立ち向かう。累計135万部突破の大ヒット警察小説、待望の第2弾!


「 犯人に告ぐ」雫井脩介

2018年05月27日 07時32分28秒 | 読書(小説/日本)


「 犯人に告ぐ」雫井脩介

「週刊文春ミステリーベストテン」第1位になった作品。
遅れ馳せながら、読んでみた。
さすがに面白い、一気読みであった。

連続児童殺害事が発生するが、捜査は行き詰まってしまう。
その打開のため、巻島警視がTVに出演して犯人に呼びかける。
前代未聞の劇場型捜査がこうして始まった。

P257
「人を叩き過ぎちゃあ、いかんのです……」
 振り返ると、津田が後ろ手を組んで佇んでいた。
「叩けば誰でも痛いんですよ……」
 夜空を見ながら独り言のように言う。
「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ……それは単にその人が我慢してるだけですからな」

【ネット上の紹介】
闇に身を潜め続ける犯人。川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった―史上初の劇場型捜査が幕を開ける。第7回大薮春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位に輝くなど、2004年のミステリーシーンを席巻した警察小説の傑作。


「花のお江戸で粗茶一服」再読

2018年05月21日 19時42分40秒 | 読書(小説/日本)


「花のお江戸で粗茶一服」松村栄子

昨年11月に出版された作品。三部作の最終刊。
昨年再読し、今回再度読み返した。
やはりおもしろかった。

P392
「昔から雪は〈六つの花〉と言いましてね。こんな日には、もうそれ以上花はいらないってね。千利休の師である武野紹鴎というひとは、雪の茶会に花を一枝も入れず花入れだけを置いたそうですよ。有名な故事です。洒落てますわね」(「テレプシコーラ」のヒロインの名が「六花」と書いて、「ゆき」と読ませる。そういうことだったのか)


【おまけ】
「明日町こんぺいとう商店街」---架空の商店街を舞台にしたアンソロジーで、「粗茶一服」のスピンオフが掲載されている。
佐保が登場していい味を出している。
本編は終了してしまったので、このような外伝の形でも続いてほしい、と思う。




【ネット上の紹介】
弓、剣、茶の「三道」を伝える“坂東巴流”の嫡男・友衛遊馬、二十歳。家出先の京都から帰還するも、家元でさえ副業しなければ家族を養えない貧乏流派ゆえ、働き口を探してこいと言われてしまう。建造が始まったスカイツリーの警備員に収まるが、周囲からは「あそこの跡継ぎはダメだ」と後ろ指を指され、ガールフレンドとの仲も“行き止まり”。冴えない日々の中、曲者ぞろいの茶人武人にやりこめられながら、遊馬は自分の進むべき道をぐるぐると探しつづける。明日が見えないあなたに贈る笑えて泣けて元気になれる物語。


「クローズドノート」雫井脩介

2018年05月16日 21時05分03秒 | 読書(小説/日本)


「クローズドノート」雫井脩介

堀井香恵は、教育大学の2年、マンドリンのクラブに入っている。
自室のクローゼットで、前の住人のノートを見つける。
いったい何がかいてあるのだろう?

そのノートを書いたのは女性で、小学校の先生だった。
担任を持った4年2組の様子が詳細に書かれている。
堀井香恵は、自分も教育大なので、興味津々。
そこから、平凡な日常の歯車が動き出す。

あとがきを読むと、著者の姉が小学校の先生だったようで、
数年前不慮の事故で亡くなったそうだ。
押し入れから、小学校の先生時代の資料がたくさん見つかって、
それを元に今回の作品を書かれたそうだ。
不登校の子の話など、やけにリアルなはずだ。

【ネット上の】
堀井香恵は、文具店でのアルバイトと音楽サークルの活動に勤しむ、ごく普通の大学生だ。友人との関係も良好、アルバイトにもやりがいを感じてはいるが、何か物足りない思いを抱えたまま日々を過ごしている。そんななか、自室のクローゼットで、前の住人が置き忘れたと思しきノートを見つける。興味本位でそのノートを手にする香恵。閉じられたノートが開かれたとき、彼女の平凡な日常は大きく変わりはじめるのだった―。


「震える教室」近藤史恵

2018年05月14日 19時15分08秒 | 読書(小説/日本)


「震える教室」近藤史恵

久しぶりに近藤史恵作品を読んだ。
心斎橋の近くにある歴史ある女学校が舞台。
新入生の真矢は、怖がりの花音と友だちになる。
ふたりが手をつなぐと不思議なものが見える、と言う設定。
(近藤史恵さんのホラー・ミステリ、って珍しいように思う)

P26-27
「出る……って噂なん」
 そう断言されてしまうと、さすがに息が詰まる。
「そんなのなにかの見間違いでしょ」
「そうかもしれないんやけどさ。なんか怖いやん」
 絶対いると言い張られるよりも、そう力なく言われる方がこちらも怖くなる。
「怖いなら、わざわざ見にいかなくていいやん!」
(近藤史恵さんは大阪府出身なので、遠慮がちながらも大阪弁が駆使されている)

【参考図書】

近藤史恵さんと言えば、キリコ・シリーズとサクリファイス・シリーズが有名。

【ネット上の紹介】
歴史ある女子校・凰西学園に入学した真矢は、怖がりの花音と友達になる。ひょんなことから、ふたりは「出る」と噂のピアノ練習室で、虚空から伸びる血まみれの白い手を目撃してしまう。その日を境に、ふたりが手をつなぐと、不思議なものが見えるようになった。保健室のベッドに横たわる首がないびしょ濡れの身体、少女の肩に止まる白いなにか、プールの底に沈むもの…。いったいなぜ、ここに出現するのか?少女たちが学園にまつわる謎と怪異を解き明かす、6篇の青春ミステリ・ホラー。


「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介

2018年05月11日 22時40分45秒 | 読書(小説/日本)

「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介

引き続き(2)を読んだ。
若きヘッドハンター・鹿子小穂の活躍を描く作品。

P60-61
「いやあ、ただ壁を登るだけなのに、ボルダリングって、やってみると奥が深いですね」(中略)
「一つ手を間違えたり、簡単なほうに逃げたりしてると、結局、あとになって、にっちもさっちもいかなくなっちゃうんですよね。大局観と戦略が必要だし、ある意味、経営の極意にも通じますよね」

渓流釣りのために遡行していて大きな岩を登る小穂
P371
不意に、頭上に影が差した気がした。その影がもぞもぞと動いている。
「熊がいます~!」小穂は岩壁にしがみついたまま、畔田に助けを求めた。「熊スプレーくださ~い!」
「ははは、誰が熊だよ?」
 頭上で男の快活な笑い声が立った。
「ク、クマゴロー……?」
「クマゴローじゃねえよ」男はまた笑う。
「ダイゴロー、引き上げてやってくれ」畔田が下から声を上げる。
「ほら、もうちょっとだ。がんばれ」

【感想】
(1)と(2)は同時刊行。
どちらも、とてもおもしろかった。
ヒロインは、情に篤く、どこかとぼけた感じがいい。
今年はまだ始まったばかりだけど、小説部門では本書が2018年ベストかも。
続編が待ち遠しい。
(ちなみに、ノンフィクション部門では「子どもたちの階級闘争」、マンガ部門では「夕暮れへ」がベスト、かな…こんなに早く2018年ベストを発表していいの?!)


【ネット上の紹介】
ヘッドハンターとして実績を積む小穂の下に、かつて自分を追い出した父の会社が経営危機との情報が入る。小穂が打った起死回生の一手とは!?

「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介

2018年05月10日 21時52分05秒 | 読書(小説/日本)

「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介

私の好みの作品だ。
仕事と人間模様を描いている。
業界の内幕も描かれ興味深い。

P126
 ヘッドハンティングは、その業界ではエグゼクティブサーチとも言われ、ヘッドハンティング会社はサーチファームという名で呼ばれている。ヘッドハンターはコンサルタントという肩書きが付くのが一般的だ。
 サーチファームは数人のヘッドハンターと、それを支えるリサーチャーなどのスタッフで構成されている。大手と言われるサーチファームでも、在籍するヘッドハンターはせいぜい十人そこそこというところである。一匹狼で業界を渡っているヘッドハンターもいる。必要な資格はなく、参入障壁もないから、ビジネススタイルもそれぞれだ。ただし、人脈がなければ何もできないし、能力がなければ信頼は勝ち取れず、依頼は回ってこない。誰でもできるようでいて、誰もができるわけではない仕事である。(昔、ラジオ番組で杉田敏先生が「名刺に『ヘッドハンター』と記載されていません(笑)」と言われていたので、ずっと気になっていた。ヘッドハンターの名刺ってどうなってるんだろう、と)

P256
「へえ、山登りですか……私もここんとこは全然登ってないですね」(中略)
「何か、昔はよく登ってたみたいな言い方だね」(中略)
「登ってましたよ」
「へえ」小穂が真顔で応じたので、畔田は見直したように感嘆の声を発した。「山ガールってやつか。人は見かけによらないね」
「見かけによらないも何も、以前は私、アウトドアメーカーの[フォーン]で働いていたんですから」(中略)
「そりゃ失礼。だったら、山登りなんかお手のものだね。今まで、どんな山に登ってきたの?」
「高尾山です」
(このやりとりはまだ続く…本書の中でも私の好きなシーンだ)

【おまけ】
読んでいて、垣根涼介さんの「君たちに明日はない」を思い出した。
片や、リストラ請負人なので、職種は異なるが、
『仕事と人間模様』を描いている点が同じ。


「君たちに明日はない」垣根良介
「借金取りの王子」垣根涼介
「張り込み姫」垣根涼介
「勝ち逃げの女王~君たちに明日はない」(4)垣根涼介
「迷子の王様~君たちに明日はない」(5)垣根涼介

【ネット上の紹介】
社長交替の背後にヘッドハンターあり。ビジネス界の「かけひき」や「裏切り」をテーマに一人の女性の奮闘と成長を描くスリリングな物語。


「ふたりみち」山本幸久

2018年05月09日 20時53分51秒 | 読書(小説/日本)


「ふたりみち」山本幸久

野原ゆかりは、売れずに引退した67歳の歌手。
詐欺にあい借金返済のため、営業の旅にでる。
津軽海峡をフェリーで本州に渡る時、12歳の家出少女と出会う。
いろいろあって二人は一緒に旅を続けることに。
巡業と共に絆が深まり、二人の背景と過去も明らかになっていく。

久しぶりに山本幸久作品を読んだけど、とてもよかった。
本作品は心に染みた。もしかして最高傑作かも。
最後のフレーズは泣かされた。
「失恋延長戦」に匹敵するエンディングだ。

「失恋延長戦」山本幸久

【他のお薦め作品】


【ネット上の紹介】
函館から津軽海峡をフェリーで渡る67歳の野原ゆかりは、元ムード歌謡の歌手。借金返済のため、営業の旅に復帰したのだ。その船内で知り合った12歳の家出少女森川縁が、なぜかゆかりの後をついて来る。旅先で起きるトラブルや55歳の歳の差を乗り越えて、いつしかふたりは固い絆で結ばれていく。そしてたどり着いた最後の会場、東京。そこにはゆかりの悲しい過去が刻まれていた…。


「わが家は祇園の拝み屋さん」望月麻衣

2018年04月25日 20時43分07秒 | 読書(小説/日本)

「わが家は祇園の拝み屋さん」望月麻衣

著者は北海道出身だけど、京都弁を駆使して作品を書いている。
それもそのはず、京都在住だから。
さらにネイティブの方にチェックもしてもらっている。

この作品のツボは、京都の中心部・祇園を舞台にしていること。
観光名所や、知ってる地名がいろいろ出て来る。
さらにミステリ仕立てで展開する軽快なストーリー。
軽く読めて楽しめる。

【ネット上の紹介】
東京に住む16歳の小春は、ある理由から中学の終わりに不登校になってしまっていた。そんな折、京都に住む祖母・吉乃の誘いで祇園の和雑貨店「さくら庵」で住み込みの手伝いをすることに。吉乃を始め、和菓子職人の叔父・宗次朗や美形京男子のはとこ・澪人など賑やかな家族に囲まれ、小春は少しずつ心を開いていく。けれどさくら庵は少し不思議な依頼が次々とやってくる店で!?京都在住の著者が描くほっこりライトミステリ!


「定年オヤジ改造計画」垣谷美雨

2018年04月23日 20時10分42秒 | 読書(小説/日本)

「定年オヤジ改造計画」垣谷美雨

垣谷美雨さんの新刊。
大手石油会社を定年退職した庄司常雄。
退職したものの、やることがない。
妻は、夫を避けようとする。


P82
「(前略)妻は夫といっしょにいることがストレスなんだ。だが男は独りでいることがストレスになる」
「となると、夫婦に接点がないじゃないか」
「もとは他人なんだから、もともと接点なんかないんだよ」
 だったらそれまでの生活は錯覚の上に成り立っていたのだろうか。

男って、勤めていた会社や役職を引きずって、新たな友人を作れない。
これは年齢もあるかも。
若い時に引っ越したら、子どもの絡みもあって、知り合いも増える。
歳をとって新しい環境に置かれても、適応できない。
本書は、定年あるある、の書である。

定年後、妻と旅行をしようとしても、妻は女友達と行ってしまう。
亭主とは行こうとしない。
世の中には、歳をとって一緒に旅をしたり仲良し夫婦、っている。
それは、寝室が同じ夫婦。
アンケートではそうなっているようだ。

【ネット上の紹介】
大手石油会社を定年退職した庄司常雄。夢にまで見た定年生活のはずが、良妻賢母だった妻は「夫源病」を患い、娘からは「アンタ」呼ばわり。気が付けば、暇と孤独だけが友達に。そんなある日、息子夫婦から孫二人の保育園のお迎えを頼まれて…。崖っぷち定年オヤジ、人生初の子守を通じて離婚回避&家族再生に挑む!