眠れない夜に聞くラジオ。
ラジオなど久しぶりのことで、何をやっているのかさえ分からない。
氷川丸の先生がいつも聞くという、「NHKのラジオ深夜便」なるものを聞いてみた。
暗い部屋の中で、耳だけを動かせば?(眠らせなければ)いいわけだから、簡単であり楽なことだ。
それで眠れたら、この上ない。
しかし、内容やかかる音楽が面白いと、すぐさま一時間は過ぎる。だが一時の教養を得、刺激にもなる。
その深夜便の中で「パイプオルガン」の権威「望月氏」の話を聞いた。
語られる内容と「その数」をメモせずに、みんな頭の中に入れた。(認知症の予防とばかりに)
『日本のパイプオルガンで、世界最大級クラスが設置されているのが一つある。それが1973年に設置
された「NHKホールのパイプオルガン」である。その大きさが大であれ、中であり小であれ、全ての
パイプの数は7640本ある。その中で大きい物は電柱クラス、小さい物は小指くらいのものまである。
それがびっしりと並んでいる。
そのまたメンテナンスが大変であるが、一か月に一回づつ、順にやっていく。
そして10年に一度、パイプの掃除をやる。
演奏されるときに客席から見える部分は、ほんの一部、つまり300本くらいのパイプしか表に出ていな
い。あとの7340本は裏側に整然と並び、そびえたっているというわけである。
NHKホールといえど、いつもそのパイプオルガンの演奏があるわけではない。
ある時、鳴り止まないカーテンコールの拍手の後、パイプオルガンの奏者による演奏があった。
メンテナンスのためたまたま居合わせた「わたし」は、その演奏とオルガンの音を聞く幸いを得た。
そのオルガンをNHKホールに設置するまでの苦労を思い出しながら、それが日本にある事をしみじみと
味わった。世界最大級のオルガンは、部品に分け、何百何千というパーツの数を船で運びました。
その船の調達さえ難儀なことでした。今おもえば、ドイツからここまでよくも運べたものだと、皆さま
の御助力と運のよさに、心から感謝をしています。どうぞ、見るだけでもいい。いちどそのオルガンを見
てやってください』と。
そのパイプオルガン発祥の地、ドイツの「レーア」。
パイプオルガンのマイスター(音階の調整師)がいる。
その方がいまだに使っているパイプを切るための「金切りばさみ」、代々使っていまだによく切れる。
どこの物かさえ気にしなかったが、字が刻んであるという。
ドイツの人には読めない文字。それが「ろ政」。「ろまさ」と読む。
日本の製品であった。
ここが番組の売りであり、見せ場だ。
さっそく調査隊が現地へ飛ぶ。「ろ政」のはさみを求めていきつく処は~・・・。
東日本の震災地。工房は震災で壊れ、今は廃業したとか・・・。
その後を継いだ「久光工房」。「うちのじいさまの作だ!」と映像をみて「孫」が涙をうかべる。
TV番組の受け売りだが、「メイド・イン・ジャパン」は我々の知らないところで、重宝がられ、その品質の高さを誇っている。
次の「黒いガラス」。黒いカラスではない「ガラス」、あるようでない。
その開発までの苦労は、並大抵ではない。さすが日本人の真骨頂だ。
アメリカ・カリフォルニヤでおおいに人気をはくし使われている。誰も思いつかない「黒いガラス」が「ここに」だけある。使っている彼らは、その味がいまだかって無かった物への憧憬と感謝で満ちた生活を自慢する。(しかし、案外日本人は知らない)
ドバイの高級ホテルでのみ使われている「特別のコーヒーカップ」。
石川県、白山市にある小さな工房の作品である。この白さは他にはない。さらに重くない。陶磁器にはない
色とつや、光り具合、飲む時の口のあたりなどなど。どれをとっても他に類をみない代物である。
世界中のコーヒーカップを厳しく吟味した結果に選ばれた「日本の白いコーヒーカップ」。
セレブ中のセレブが泊まる「超一流高級ホテル」のスカイラウンジのコーヒーカップにのみ、それが使われているという。
そして「ふえ」。
たかが「ふえ」でも、その響きは千差万別である。
はやい話。あの映画「タイタニック」で使われた「ふえ」がそうだった。
えっ、どこの場面かって? はいはい、あの最後のところ。
海に投げ出され、流れる板につかまり「もうダメ」とあきらめたとき。助け船が生存者をさがしている場面だ。
「もう誰もいないや~」と自分を置いて船が遠のこうとしている、その時に「彼女」が渾身(こんしん)の思いで吹いた「あのふえ」。
あれでなければダメだったのです。
凍てつく氷の海。投げ出されて次々と死んで行く人々。その息をのむ静寂の中で、鳴り響く「ふえ」の音。
最後の最後に命かけて吹くふえの響き・・・。それで生きていることを知らせて、彼女は救助された。
とまあ、あの映画の見せ場でもありました。
あの「ふえ」が、日本人であり「ふえ造りの名人」といわれた職人さんの作品。
運動会、つまり昔の先生方や、今の警察官や防災関係者はみんな「あれ」を使う。
どこまでも遠く響くその音。音質。吹き心地さえいい。そんなものは他にはない。そして壊れにくい。
その方が造る「ふえ」は、もう手に入らないとも聞くが、まだ間に合いますかねぇ~。
「ふえ」とも、「ほいっする」とも「ぴっぴ」ともいわれていたのを覚えています。古いですねぇ・・・。
最後に砲丸。あのオリンピック競技の「砲丸投げ」に使われるもの。
日本が誇る「室伏選手」がそれを使う。
ある一人の職人さんのものを。それ以外は使わない。
今はもう歳をとってやめたいといっても、「彼・室伏氏」が現役の間は、彼に乞われて作るらしいが・・・。しかし他の選手のものや、オリンピック外国選手のものは、お断りらしい。
どこが違うかって? 砲丸を投げたことのある人しか分からない部分、つまり微妙に違うその部分で、結果に差が出るのだ。
職人の技は「感」が命という。
最後は「ものづくり」を今日まで続けてきた、日本の「気質」(職人気質・しょくにんかたぎ)がものをいう。つまり目に見えない「もの」が決定する。
メッカ巡礼の際使われる「アルカーバ・コンパス」。つまりメッカの方を示す「方位磁石」だ。
35年間も使っていて、少しも狂わず壊れない。世界中どこへでも持っていく。そういってアラブの人がその方位磁石をいとおしむように手でさわる。それも日本製であった。
さらに「カンドゥーラ」という男性用の民族衣装。その生地は8割が日本製を使って作られ着用されている。
他国からもたくさん輸入される生地の中で、「いつまでも白く、洗えばさらに白く柔らかくなり汗を吸う最高の生地」と、現地の人が指をさす、その先にあったものは「トーヨーボー」と書いてある生地だった。
このような話を聞くと、なぜか力が湧いてくる。日本人の造った「もの」が、世界中にそれも最高な物として喜ばれている。
そんな「もの」をつくる後継者がいなくなり、泣く泣く?外国の人に「技」を伝える職人さんが後を絶たない。中国や東南アジアだ。が、はたしてその「気質」まで受け継いでくれたのだろうか・・・。
これもともすれば、昔あって、今は無いものにいずれなっていくかもしれない。
そんななか、新しいもの造りが、今また始まろうとしている。
それも「くもの糸」を使う取り組らしい。えっ、あの「くも」?。
そうだ、お釈迦さまがたらした「くもの糸」であり、映画「スパイダーマン」のくもの糸である。
あれを利用するんですと!
まず、「バイオリンの絃」。まあ、考えられないこともない。
次に、飛行機の機体。車の車体。そのタイヤ。
みんな「あの柔らかさ」によって「クッション性」のある品物が出来上がるそうな・・・。
これからの産業、ものづくりでしょうが、「くもの糸」ねぇ~。
子供の時、私達も考えました。あれって、何かに使えないのかなぁ・・・と。
やっぱり、使うんですね。面白い!、これから先もっともっと自然を観たら、何か使えるものをさらに発見するかもしれません。(虫はとうに食糧になったし)
将来の日本の物づくりを楽しみにして、今日はこの辺で気持ちよく「おわり」にしましょう。
ラジオなど久しぶりのことで、何をやっているのかさえ分からない。
氷川丸の先生がいつも聞くという、「NHKのラジオ深夜便」なるものを聞いてみた。
暗い部屋の中で、耳だけを動かせば?(眠らせなければ)いいわけだから、簡単であり楽なことだ。
それで眠れたら、この上ない。
しかし、内容やかかる音楽が面白いと、すぐさま一時間は過ぎる。だが一時の教養を得、刺激にもなる。
その深夜便の中で「パイプオルガン」の権威「望月氏」の話を聞いた。
語られる内容と「その数」をメモせずに、みんな頭の中に入れた。(認知症の予防とばかりに)
『日本のパイプオルガンで、世界最大級クラスが設置されているのが一つある。それが1973年に設置
された「NHKホールのパイプオルガン」である。その大きさが大であれ、中であり小であれ、全ての
パイプの数は7640本ある。その中で大きい物は電柱クラス、小さい物は小指くらいのものまである。
それがびっしりと並んでいる。
そのまたメンテナンスが大変であるが、一か月に一回づつ、順にやっていく。
そして10年に一度、パイプの掃除をやる。
演奏されるときに客席から見える部分は、ほんの一部、つまり300本くらいのパイプしか表に出ていな
い。あとの7340本は裏側に整然と並び、そびえたっているというわけである。
NHKホールといえど、いつもそのパイプオルガンの演奏があるわけではない。
ある時、鳴り止まないカーテンコールの拍手の後、パイプオルガンの奏者による演奏があった。
メンテナンスのためたまたま居合わせた「わたし」は、その演奏とオルガンの音を聞く幸いを得た。
そのオルガンをNHKホールに設置するまでの苦労を思い出しながら、それが日本にある事をしみじみと
味わった。世界最大級のオルガンは、部品に分け、何百何千というパーツの数を船で運びました。
その船の調達さえ難儀なことでした。今おもえば、ドイツからここまでよくも運べたものだと、皆さま
の御助力と運のよさに、心から感謝をしています。どうぞ、見るだけでもいい。いちどそのオルガンを見
てやってください』と。
そのパイプオルガン発祥の地、ドイツの「レーア」。
パイプオルガンのマイスター(音階の調整師)がいる。
その方がいまだに使っているパイプを切るための「金切りばさみ」、代々使っていまだによく切れる。
どこの物かさえ気にしなかったが、字が刻んであるという。
ドイツの人には読めない文字。それが「ろ政」。「ろまさ」と読む。
日本の製品であった。
ここが番組の売りであり、見せ場だ。
さっそく調査隊が現地へ飛ぶ。「ろ政」のはさみを求めていきつく処は~・・・。
東日本の震災地。工房は震災で壊れ、今は廃業したとか・・・。
その後を継いだ「久光工房」。「うちのじいさまの作だ!」と映像をみて「孫」が涙をうかべる。
TV番組の受け売りだが、「メイド・イン・ジャパン」は我々の知らないところで、重宝がられ、その品質の高さを誇っている。
次の「黒いガラス」。黒いカラスではない「ガラス」、あるようでない。
その開発までの苦労は、並大抵ではない。さすが日本人の真骨頂だ。
アメリカ・カリフォルニヤでおおいに人気をはくし使われている。誰も思いつかない「黒いガラス」が「ここに」だけある。使っている彼らは、その味がいまだかって無かった物への憧憬と感謝で満ちた生活を自慢する。(しかし、案外日本人は知らない)
ドバイの高級ホテルでのみ使われている「特別のコーヒーカップ」。
石川県、白山市にある小さな工房の作品である。この白さは他にはない。さらに重くない。陶磁器にはない
色とつや、光り具合、飲む時の口のあたりなどなど。どれをとっても他に類をみない代物である。
世界中のコーヒーカップを厳しく吟味した結果に選ばれた「日本の白いコーヒーカップ」。
セレブ中のセレブが泊まる「超一流高級ホテル」のスカイラウンジのコーヒーカップにのみ、それが使われているという。
そして「ふえ」。
たかが「ふえ」でも、その響きは千差万別である。
はやい話。あの映画「タイタニック」で使われた「ふえ」がそうだった。
えっ、どこの場面かって? はいはい、あの最後のところ。
海に投げ出され、流れる板につかまり「もうダメ」とあきらめたとき。助け船が生存者をさがしている場面だ。
「もう誰もいないや~」と自分を置いて船が遠のこうとしている、その時に「彼女」が渾身(こんしん)の思いで吹いた「あのふえ」。
あれでなければダメだったのです。
凍てつく氷の海。投げ出されて次々と死んで行く人々。その息をのむ静寂の中で、鳴り響く「ふえ」の音。
最後の最後に命かけて吹くふえの響き・・・。それで生きていることを知らせて、彼女は救助された。
とまあ、あの映画の見せ場でもありました。
あの「ふえ」が、日本人であり「ふえ造りの名人」といわれた職人さんの作品。
運動会、つまり昔の先生方や、今の警察官や防災関係者はみんな「あれ」を使う。
どこまでも遠く響くその音。音質。吹き心地さえいい。そんなものは他にはない。そして壊れにくい。
その方が造る「ふえ」は、もう手に入らないとも聞くが、まだ間に合いますかねぇ~。
「ふえ」とも、「ほいっする」とも「ぴっぴ」ともいわれていたのを覚えています。古いですねぇ・・・。
最後に砲丸。あのオリンピック競技の「砲丸投げ」に使われるもの。
日本が誇る「室伏選手」がそれを使う。
ある一人の職人さんのものを。それ以外は使わない。
今はもう歳をとってやめたいといっても、「彼・室伏氏」が現役の間は、彼に乞われて作るらしいが・・・。しかし他の選手のものや、オリンピック外国選手のものは、お断りらしい。
どこが違うかって? 砲丸を投げたことのある人しか分からない部分、つまり微妙に違うその部分で、結果に差が出るのだ。
職人の技は「感」が命という。
最後は「ものづくり」を今日まで続けてきた、日本の「気質」(職人気質・しょくにんかたぎ)がものをいう。つまり目に見えない「もの」が決定する。
メッカ巡礼の際使われる「アルカーバ・コンパス」。つまりメッカの方を示す「方位磁石」だ。
35年間も使っていて、少しも狂わず壊れない。世界中どこへでも持っていく。そういってアラブの人がその方位磁石をいとおしむように手でさわる。それも日本製であった。
さらに「カンドゥーラ」という男性用の民族衣装。その生地は8割が日本製を使って作られ着用されている。
他国からもたくさん輸入される生地の中で、「いつまでも白く、洗えばさらに白く柔らかくなり汗を吸う最高の生地」と、現地の人が指をさす、その先にあったものは「トーヨーボー」と書いてある生地だった。
このような話を聞くと、なぜか力が湧いてくる。日本人の造った「もの」が、世界中にそれも最高な物として喜ばれている。
そんな「もの」をつくる後継者がいなくなり、泣く泣く?外国の人に「技」を伝える職人さんが後を絶たない。中国や東南アジアだ。が、はたしてその「気質」まで受け継いでくれたのだろうか・・・。
これもともすれば、昔あって、今は無いものにいずれなっていくかもしれない。
そんななか、新しいもの造りが、今また始まろうとしている。
それも「くもの糸」を使う取り組らしい。えっ、あの「くも」?。
そうだ、お釈迦さまがたらした「くもの糸」であり、映画「スパイダーマン」のくもの糸である。
あれを利用するんですと!
まず、「バイオリンの絃」。まあ、考えられないこともない。
次に、飛行機の機体。車の車体。そのタイヤ。
みんな「あの柔らかさ」によって「クッション性」のある品物が出来上がるそうな・・・。
これからの産業、ものづくりでしょうが、「くもの糸」ねぇ~。
子供の時、私達も考えました。あれって、何かに使えないのかなぁ・・・と。
やっぱり、使うんですね。面白い!、これから先もっともっと自然を観たら、何か使えるものをさらに発見するかもしれません。(虫はとうに食糧になったし)
将来の日本の物づくりを楽しみにして、今日はこの辺で気持ちよく「おわり」にしましょう。