栄養ドリンク 神奈川県茅ケ崎市・佐藤雪(無職・38歳)
私が長男を妊娠中に、父にがんが見つかった。既に手遅れで、余命1年だった。病院は東京、私が住むのは神奈川で、頑張れば何度でも会いに行けたのに、私は数回しか会いにいかなかった。弱った父を見たくないとか、育児が大変とか、言い訳はいろいろあるけれど、一番の理由は意地だった。
幼いころから貧しくて、両親はけんかばかりしていた。寂しかった子供時代の、恨みを晴らすような気持ちがどこかにあったのだ。長男が4カ月の時に父は亡くなった。意地を張ることに疲れていた私は、正直ほっとした。
葬儀の時に実家に行くと、部屋の隅でたくさんの栄養ドリンクを見つけた。古ぼけた家に似合わない高価な品だった。私はその時初めて父の苦しみを知った気がした。肉体労働者で体力には自信のあった父が、弱っていく自分を奮い立たせるように、祈るような気持ちで飲んだのだろう。父が好きだった私の手料理を運んであげていれば、栄養ドリンクなんて必要なかったかもしれない。何本も残っているのは、父がもっと生きたかったという証しだ。
ごめん! ごめんね! 初孫にあたる長男と、入れ替わるように逝った父。お父さん、「かわいい、かわいい」と言って抱いてくれた長男は、もうすぐ6歳になるよ。お父さんと同じで本が大好きな男の子に育っています。
私は上記の文を読んで、女性の優しさを感じた。私だったらドリンク剤のビンが転がっていても、何も感じなかったのではないかと思う。
新鮮で安い一度お試し下さい。
| Trackback ( 0 )
|
|
殆どの人が解っていても、それぞれの事情・感情でその時には実行できず、後になって後悔するのですね。
それが普通の人間なんでしょうね。
人間らしい、気持ちの表れですよね。