読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

蛇を踏む

2010年05月29日 18時24分36秒 | ■聴く
川上弘美作、横浜録音図書発行
平成8年上半期の芥川賞受賞作品です。下記のURLを見ると、選考委員の間で評価が分かれたようです。私は川上さんがSFから出発しているので、この作品の基盤が一般的な他の小説とは異なると考えると、理解しやすいように感じます。
------------------------------------------------
URL => http://uraaozora.jpn.org/akuta115.html
------------------------------------------------
踏んでしまった蛇が人間に変身したり、蛇の世界へ誘うのは、SF的世界では違和感なく読み進める事が出来ます。そうした手法が、いわゆる文学作品では違った評価を得るのではないかと思えるのですが、どんなものでしょうか。私は「文学」がよく分からないので自信がありませんが・・・。
それにしても、本作品では、「・・・難儀である。」など、物語の途中で、引っかかる、というか目立つ表現が幾つかありました。普通は使わない状況説明の表現が、しかし、7,8割は妥当性を持ちながら、若干の違和感を与える言葉使い。そして何より、蛇が人間になったり、蛇に戻ったり、耳の穴から体の中に進入したりする不気味さとおぞましさが、ぎりぎりで許容できる余地を以て迫ってくる不思議なバランスの取り方が絶妙でした。
評価は4です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北京いかがですか? | トップ | 物語中国の歴史 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■聴く」カテゴリの最新記事