読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

「いい人に見られたい」症候群 代償的自己を生きる

2010年04月14日 19時30分47秒 | ■読む
根本橘夫(きつお)著、文藝春秋刊
誰しも人から「いい人に見られたい」と思っているのではないでしょうか。私の実感としては「良く思われたい」なのですが。著者の略歴は以下の通りです。
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1947年千葉県生まれ。東京教育大学心理学科卒業。同大学博士課程中退。千葉大学教授、東京家政大学教授を歴任。東京家政大学名誉教授。
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専門家だけあって、人が成長する過程で「本当の自分」と「偽りの自分」との引き裂かれて生きて行かざるを得ないことを丁寧に解説しています。類似の本を20代に多く読みましたが、本書はそうしたものと趣を異にしています。それは本書の章立てを見れば分かると思います。
  ○第1章 「本当の自分」を生きられない
  ○第2章 自我の発達と分裂
  ○第3章 なぜ、代償的自己を生きてしまうのか
  ○第4章 「本当の自分」の正体
  ○第5章 自分になるということ
  ○第6章 自分を生きる
  ○第7章 自分の人生をつくる
人が代償的自己(「偽りの自分」)を形成する理由や過程、その意義を丁寧に解説し、生きる上で程度の差はあるにしても必要であるとし、その上で、「本当の自分」と感じている自分との統合への道筋を示しています。人間が社会的動物である故に、人生の前半を「偽りの自分」とい感じて生きるにしても、後半には、自分が納得できる人生を、人からの評価ではなく自らの価値観に基づいて生きる人生を生きるための道筋を示しています。一読をお勧めしたい良書です。
評価は4です。

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