読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

私が殺した少女

2010年03月30日 19時36分34秒 | ■読む
原著、早川書房刊
1989年の第102回直木賞を受賞した作品です。下記のURLによれば、作者は非常な寡作でデビューから19年間で長篇4作、短編集1作、エッセイ1冊なのだそうです。探偵物の常道をいく作品で、矢作俊彦さんの「ロング・グッドバイ」が似ている感じがします。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/原りょう
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作中登場する本の名前を目にした時、私は非常に感激しました。それは「非Aの世界」です。高校生の頃に読んだSF小説で、SFファンでも余り読んでいないかもしれません。「非A」は「ナルエー」と読みます。それと「闇の左手」です。これは、ジブリのアニメ映画「ゲド戦記」の原作を書いた著者、アーシュラ・K・ル=グウィンの著作です。作者もディープなSFファンなのではないでしょうか。
そして、作中、私は次の2つの文章に作者のダンディズムを感じました。
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●”若い女性”というのは地球上で最も寿命の短い哺乳類で、しかも毎年生まれ代わってくるから・・・
●「人間のする事はすべて間違っていると考えるほうがいい。すべて間違っているが、せめて恕(ゆる)される間違いを選ぼうとする努力はあっていい」
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凝った構成で、登場人物の造形もしっかりしています。楽しめた一冊でした。
評価は5です。

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