読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

チヌの月/朗読:梶村蹊子

2009年09月05日 06時51分27秒 | ■聴く
伊集院静作、横浜カセット文庫発行
クリーニング屋を息子夫婦と営む亀次は、忙しい仕事の合間に釣りに行くのが趣味であった。親しくなった板前から、ある時、取り逃がしたチヌ(黒鯛)の話を聞く。その後その板前は故あって姿をくらまし、亀次は、そのチヌを釣ろうと毎年試みた。ある年のこと、待望のチヌをもう少しで釣り上げようとした時・・・。
-----------------------------------------------
URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/クロダイ
     http://kurodaisanpei.com/step/
-----------------------------------------------
釣りをしない私には、チヌという魚が黒鯛を指すことを知りませんでしたし、チヌを釣ることが、釣り好きにとって憧れであることを、上記のURLで知りました。主人公の亀次は、そうした釣り好きで、念願のチヌに巡り会います。しかし思わぬアクシデントに陥り、混濁した意識のうちに、戦時中の忘れていた記憶が蘇ります。そうして、長い間自分を呪縛していた、自覚のない罪悪感から解放されます。
物語は、何気ない日常の描写から、亀次が辿ってきた人生を、少しずつ遡りながら解き明かして行きます。非常に巧みな展開です。人の心には、他人には言えない様々な思いが秘められており、たとえ意識していなくとも、その人の生き方に影響を与えている。そうしたことを感じさせる佳作でした。
評価は4です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 関西旅行:その14:新都ホテル | トップ | 幸せはシャンソニア劇場から »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■聴く」カテゴリの最新記事