今年度の高校での授業も残すところあと3回となりました。
女子だけのクラスは女声3部合唱を。
男女クラスは混成4部合唱を、それぞれアカペラで練習しています。
とは言ってもマスクをしてせいぜい20分くらいの発声が限界です。
冬でも窓を開けて換気をしたりと細心の注意を払いながらの授業です。
残りの時間を使ってグループごとにリズム演奏に取り組んでいます。
毎年3学期にやってはみるものの、完成することなく終わっていく課題です。
今年は歌唱のテストも卒業式の歌の練習も出来ないのでリズムに重きを置いて
それぞれの演奏を発表することにしました。
ただ「聴いてください」では集中するのが難しい高校生たち。
合唱コンクールの審査方式で、簡単な採点基準を設けました。
お互いに点数を付け合いコメントも書く。
それだけで、演奏する側も聴く側もけっこう真剣になりました。
せっかく演奏するのならみんなでちゃんと聴き合いたい。
そんな気持ちがあってのことなので、もちろんその点数が学期末の
評価にダイレクトに反映されるわけではありません。
でも、結果的に演奏と鑑賞の環境が整ったので大成功でした。
「音の聞こえ方は人それぞれ。好みも感じ方も自由です。」
「流れてきた音を聴いて、あなたはどう思いましたか?」
一年間、生徒たちに言い続けてきました。
音が大きい、小さい、声が高い、低い。速度が速い。遅い。それは誰でも書けることです。
いつまでもそんな感想しか書けない生徒があまりにも多くいました。
そこからもう一歩踏みこんで、好きか嫌いか。何かを想像したか。
どんな気持ちになったか。そして、時には作曲者や演奏者の気持ちに寄り添ってみる。
そんな感想を持てる生徒が最近ようやく増えてきました。
今年はコロナの影響が本当に大きくて、一年間受け持った生徒たちの
精神年齢が例年に比べて幼いままだと感じる場面が多々あります。
音楽の授業ではなくても、これから社会で出会う人たちが
「あなたの」考えが知りたいと思う場面は出てくるはずです。
拙い言葉でも構わないので、それを伝えられる人になってほしくて
ことあるごとに感想を書かせました。
若い頃ならではの瑞々しい感性を鈍らせたくないという思いもありました。
もうあまり時間はありませんが、最後の最後まで生徒たちの
伸びしろを信じて、意味のある楽しい音楽の授業をしていきたいです。
全く新しいチャレンジの年でしたが、今年の生徒たちも大好きです。