
独Daimler-「S400 HYBRID」の技術詳細を発表-
(2009/06/18 ジャーナリスト・日経エレエクトロニクス)
独Daimler社は、米国カリフォルニア州で開催された自動車用蓄電池に関する世界会議「AABC(Advanced Automobile Battery Conference、6月10~12日)」において、09年6月に欧州で発売した大型ハイブリッドセダン「S400 HYBRID」の技術説明を行った。
S400 HYBRIDは、同社の大型セダン「S350」をベースに、パラレルハイブリッドシステムを採用した。S350と同じ排気量3.5LのV型6気筒「M272 KE」エンジンを搭載する。変速機とエンジンの間に配置したモータは、直径325mm、厚み32mmで、重さは20kg。最高出力は15kW、最大トルクが160N・mとした。パワートレーン全体は、S350のガソリン車のものに比べて45mm長くなっている。
Liイオン2次電池の電池パックは、エンジンルーム内の進行方向に向かって右側の後部に配置した。ここは同社の通常車両では、エンジン始動用鉛電池の搭載場所。
米国とフランスの合弁企業Johnson Controls-Saft Advanced Power Solutions(JCS)社製の35個のセルで電池パックを構成する。定格電圧は126V(最大電圧144V、最低電圧87.5V)、定格容量は6.5Ah、出力は10秒間あたり19kWで、耐用年数を10年間とした。
Liイオン2次電池の作動温度を50度C以下に管理するため、エアコン用コンプレッサーを活用した冷却方式をとり、車内冷却用配管に分岐用バブルを設けた。Liイオン2次電池とモータの間には、制御システムを一体化したインバータを配置。また、Liイオン2次電池からDC/DCコンバータ、12V電池を介して、電動パワーステアリングを駆動している。
S400 HYBRIDはS350と比べて総重量が75kg増えたものの、停止状態から100km/hまでの加速時間は7.2秒で、0.1秒速くなった。燃費は12.7km/Lで20%向上した。CO2排出量は190g/kmで大型高級セダンとしては世界最良値を記録した。ちなみにトヨタ自動車「Lexus LS600h」の場合、欧州仕様では219g/kmとなる。
技術説明をしたDaimler社Mercedes-Benz Cars Development/ Hybrid System and Componets Energy ManagementのUwe Wiedemann氏は、「今回JCS車の電池を採用したが、近い将来は、Daimler社が資本参加しているLiイオン2次電池の開発会社であるLi-Tec社に集約する方向で調整している」と述べた。09年3月にDaimler社がドイツEvonik社と合弁で設立したDeutsche Accumotive社は自動車用蓄電池全般に渡るマネージメントを手掛ける。
米Intel-「Centrino」ブランドを廃止しブランド名を整理-
(2009/06/19 PC Online・日経BP)
米Intelは17日、Coreブランドを中心とし、Centrinoブランドを廃止する計画を明らかにした。これまでの複雑なブランド構造を分かりやすくすることが目的という。
同社は今後、「Intel Core」を“ヒーロー”クライアントブランドをして戦略の中心に据える。現在のCoreブランドはCore 2 Duo、Core 2 Quadなど幾つか種類があるが、それらの派生ブランドを廃止して、「Core i3」「Core i5」「Core i7」というシンプルな構成にする。
i3はエントリーレベル、i5はミッドレンジ、i7はハイエンドのプロセッサに付けられる。これらの記号はブランドではなく、あくまでもCoreブランドに付く「修飾語」だとIntelは述べている。例えば、Lynnfieldプロセッサは「Intel Core」ブランドを冠するが、機能などによってi5またはi7が付くという。
Coreブランドの傘下に3つのサブブランドを展開する理由について同社は、「CPUのブランド名が異なると製品の評価・比較時に混乱が生じる可能性がある。そうした懸念をなくすため、当社は自社製の大半のCPUを、単一のCoreブランドの傘下に集約することにした」と説明している。
Celeron、Pentium、Atomのブランドは今後も継続する。引き続き、Celeronは低価格CPUとして、Pentiumは基本的なコンピューティング向けの製品として、Atomはモバイル向けとして提供する。
09年後半に量産出荷予定のクアッドコアCPU「Lynnfield」(開発コード名)は、モデルによりCore i7またはCore i5としてラインアップに加わる。ノートパソコン向けの「Clarksfield」(開発コード名)はCore i7のモデルとして出荷される。
プラットフォームブランドについても変更を行う。企業向けプラットフォーム「vPro」ブランドは継続し、「Intel Core i7 vPro」といったようにIntel Coreブランドと組み合わせた名称にする。この変更は来年から実施する。モバイルプラットフォームのブランドとして使用してきた「Centrino」は来年から廃止し、Intel Coreにフォーカスする。