08年の携帯電話出荷台数-12億台超の予測-
(2008/01/26 日経エレクトロニクス)
大手調査会社2社が,07年の携帯電話機世界市場の調査結果と今後の予測を発表した。米StrategyAnalyticsの発表によれば,07年第4四半期の携帯電話機の出荷台数は対前年同期比13%増の3億3200万台で,07年通年の出荷台数は対前年比12%増の11億2550万台だった。08年は経済環境が現在より悪化するとみられるため,携帯電話機市場の成長も鈍化し,08年の出荷台数は対前年比10%増の12億4000万台とみる。
一方,米ABI Researchは07年の携帯電話機の世界出荷台数を,対前年比15.8%増の11億5000万台と発表した。ABI Researchは,「米国の経済の不況に伴って市場が鈍化する恐れはあるが,米Motorolaを除く携帯電話機メーカーは,07年第4四半期に好調な業績を上げた」と説明する。ただし,世界経済の見通しに対する不透明感を考慮して,08年の出荷台数の前年比成長率は,従来予測していた13.5%から12.0%に下方修正した。
Strategy Analyticsの発表した07年のメーカー別出荷台数を見ると,フィンランドNokiaが首位を維持した。
出荷台数は対前年比25%増の4億3710万台で,同4.1ポイント増の38.8%のシェアを占めた。同社のシェアは07年第4四半期に初めて40%を上回り,過去最高の40.2%を記録したという。
2位の韓国Samsung Electronicsは,07年に対前年比42%増の1億6120万台を出荷した。シェアは同3.0ポイント増の14.3%である。3位のMotorolaの出荷台数は同27%減の1億5900万台で,シェアは同7.6ポイント減の14.1ポイントだった。Motorolaは,上位5社の中で唯一前年より出荷台数を減らした。人気機種「Razr」に替わる新機種の投入に失敗したことが,出荷台数減少の要因とStrategy Analyticsは分析する。4位は英Sony Ericsson Mobile Communications ABで,出荷台数は同38%増の1億340万台,シェアは同1.7ポイント増の9.2%だった。5位韓国LG Electronicsの出荷台数は同25%増の8050万台,シェアは0.8ポイント増の7.2%だった。また,07年に携帯電話機市場に参入した米Appleは,07年第4四半期に0.6%のシェアを占めた。「Appleは08年に上位10社入りする」とStrategy Analyticsは予想する。
ABI Researchは,07年のMotorolaのシェアを対前年比10.9ポイント減の12.4%としている。Motorolaがシェアを縮めたことによって,Nokia,Samsung Electronics,Sony Ericsson Mobile Communications,LG Electronicsがシェアを拡大したと分析する。さらに,超低価格携帯電話機市場では,Nokia,Samsung Electronics,LG Electronicsに加え,ZTEやHuawei Technologiesといった中国メーカーが参入し始めているとした。
Nokia-07年Q4決算は前年比34%増・世界シェアは40%に-
(2008/01/25 日経エレクトロニクス)
フィンランドNokiaの07年10月~12月期決算は2ケタの増収増益になった。売上高は前年同期比34%増の157億1700万ユーロ,営業利益は同64%増の24億9200万ユーロ,純利益は同44%増の18億3500万ユーロ。
携帯電話機の出荷台数は前年同期比27%増の1億3350万台だった。北米を除く全地域で出荷を伸ばした。特に中東アフリカ地域への出荷は前年同期の約1.5倍まで成長している。Nokiaの推定では,世界市場シェアは前年同期の36%に対して40%まで拡大した。
携帯電話機の平均販売単価は前年同期の89ユーロに対し,82ユーロに下落した。低価格機の販売台数比が拡大したこと,為替が米ドル安に振れたことが原因という。ただし,利益率の高い中級機の販売台数比が増したため,携帯電話機事業の粗利益率は上昇し,営業利益は前年同期比48%増となった。
Nokiaは,07年通期の携帯電話機の世界市場規模を11億4000万台と見積もっている。08年は10%の増加を予測し,市場シェアのさらなる拡大を狙う。08年1月~3月期は季節傾向に沿って,同社の携帯電話機の出荷も07年10月~12月期に比べるとやや減少する見通し。市場シェアは10月~12月期と同水準を維持する見込み。
米HP-SSD搭載の企業向け小型デスクトップPC-
(2008/01/25 Itmedia)
米Hewlett-Packard(HP)は23日、ソリッドステートドライブ(SSD)搭載の企業向けデスクトップPCを発表した。SSD搭載の「HP Compaq dc7800」は、HDD搭載の従来モデルよりも46%小型で、消費電力もHPモデルの中では最も少なく、電力効率は85%高い。IntelのCore 2 DuoプロセッサとvPROを搭載し、Verdiemのネットワーク電源管理技術「SURVEYOR」が組み込まれている。この技術をvPROのリモート管理技術と併用すると、1台当たりの電気代を年間10ドルにまで抑えられるとHPは述べている。価格は1258ドルからで、2月半ばから提供開始する。
このほかHPは、HDD搭載の省エネモデル「HP Compaq dc5800」も発表した。dc7800と同じくSURVEYORを搭載し、Intelの次世代プロセッサとチップセットなどの技術でプロセッサの熱や電気代を減らし、電力やスリープの設定の管理効率を高めているという。価格は579ドルからで、2月11日に出荷開始予定。
いずれのモデルも米国のグリーン調達基準「Electronic Product Environmental Assessment Tool」(EPEAT)の3段階評価で最も高い「Gold」の基準を満たしているという。
JR東海-新幹線車内の無線LANを来春導入-
(2008/01/26 フジサンケイビジネス)
JR東海は来春から、東海道新幹線の車内で無線LANによる高速インターネット接続サービスを提供する。
従来の列車無線システムをネット接続にも活用するもので、総務省はこのシステムのために電波帯域を割り当てる方針を25日公表した。乗客は時速300キロメートル前後の超高速で移動中に、ノートPCやゲーム機などで気軽にネット接続を利用できる。新幹線の魅力を高め、航空会社との顧客獲得競争を優位に進めたい考え。
新幹線では列車無線のために、アンテナ機能を持った通信ケーブルを全線の線路脇に敷設しており、列車内外で安定的な交信が可能。現在は公衆電話や運転士・車掌と司令室の会話、文字ニュースなどに利用されている。
JR東海は、その用途を乗客のネット接続にも広げるため、通信ケーブルの各所に無線装置の接続を進めている。また総務省は、ケーブルと列車との交信用に周波数400MHz帯の電波を割り当てる方針で、25日に意見募集を始めた。3月に電波監理審議会(総務相の諮問機関)の答申を得て、4月に制度化する。
昨年7月から運行されている新型車両「N700系」の車内には、すでに無線LANシステムが標準装備され、アクセスポイントと呼ばれる無線装置が1両に2基ずつ備わっている。サービスが始まれば、1両当たり最大で毎秒2メガビット(下り)の通信が可能で、複数の乗客が同時に接続しても毎秒数百キロビット程度で利用できる計算。
JR東海によると車内のネット接続は、乗客が公衆無線LANサービス会社と契約する形となり、月額1000~2000円程度の利用料が必要となる。
新幹線では、移動中にパソコンで仕事をこなすビジネスマンが多く、ネット接続への要望は強い。しかし超高速で走行するうえ、トンネルが多いため、車外との安定した通信は困難。乗客は通常、携帯電話のネット接続機能などを利用しているが、通信が途切れやすいのが難点。
JR東海は昨年2月から車内無線LANシステムの実験を進め、実用性を高めてきた。JR東日本の東北、上越新幹線も導入を検討中で、新型車両の建造時などに設備を整備する。
日本軽金属やYKK APなどが新たに-建材の耐火性能を偽装-
(2008/01/26 朝日新聞・日経)
建材の耐火性能偽装問題を受けた国土交通省の一斉調査で、新たに5社21件の建材に、大臣認定を受けた際の内容と異なる仕様の製品を販売するなどの問題があったことがわかった。日本軽金属(東京)、「YKK AP」(同)など3社の5件は所定の性能を下回るため、使用先の住宅や工場、倉庫など建物約780棟で改修を予定している。特に意図的に耐火性能の劣る素材を使っていた日本軽金属は、一部役員には偽装の事実が報告されたが、隠ぺいし続けるなど、安全に対する意識の低さを露呈した。
一斉調査では、対象となった約1万3000件のうち約98%から報告が集まり、不適切建材は45社98件となった。
日本軽金属は工場のクリーンルームや倉庫の内壁に使われる不燃・準不燃パネルの性能を偽装。大臣認定を受けた仕様では20分間は延焼を防ぐ耐火性能が必要なのに、3、4分の性能しかない製品約4100枚を1999~2005年に販売していた。認定通りだと、パネル内部に充てんする素材の粘性が高く、うまく全体に行き渡らないことがあったため、納期に間に合わせるため工場の担当者らが独断で粘性が低く耐火性能の劣る素材に変えたのが始まりという。
パネル事業を「日軽パネルシステム」として分社化した後の04年に同社社長に偽装の事実が報告され、その後、日本軽金属の担当役員にも伝えられたが、国土交通省の一斉調査まで公表せず、納入先にも伝えていなかった。石山喬社長は「安全性への認識が著しく欠けていた」と謝罪した。
YKK APは、防火用の住宅折りたたみ戸が、本来20分あるべき耐火性能に対し16~18分しかなかった。
開発者が大臣認定の取得後に商品の改良を図り一部部材の材質を変えたところ、性能不足となっていた。一斉調査を機に行った再試験で判明した。同社は「開発者の不注意だった。悪意があったものではない」としている。
国土交通省の一斉調査が始まるまで偽装の事実を知らされていなかった日本軽金属の石山喬社長は記者会見で「安全性に対する感覚を疑われても仕方がない。だれか1人でも『まずいのでは』と声を上げていれば……」と無念そうに語った。
昨年10月にニチアス(東京)の耐火性能偽装問題が発覚し、数日後に東洋ゴム工業(大阪)の偽装も明らかになる中、中嶋専務らは何の対応も取らず、国土交通省が11月に一斉調査に乗り出した後の12月中旬、石山社長に初めて報告が上がった。
日軽パネルの室伏社長は会見で、公表しなかった理由を問われると言葉を詰まらせながら「建物の一部に使われる製品だから大きな影響はないという安易な考えがあった」と謝罪した。