荘内神社 巫女ブログ

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オクナイサマ

2011年10月20日 | 日記
権禰宜です。
今日は、宮司から聞いた荘内藩の酒井様の政治のことを私なりに書いてみます。



昔、殿様が変わると、竹で長さを測り田んぼの検地を行っていました。


検地のしくみはこのようなものです。
図にしてみました。わかりにくくてすみません・・・





紙を田んぼだと思って下さい。
左上から竹をあてて横を測ります。
そして縦を測ります。

この田んぼは一般的に測ると、

横が5
縦が4

で20の広さの田んぼとなり、100俵とれるとします。

年貢はとれたものの内、半分納めることになっているので、50俵納め、もう50俵は農民の分です。



これが普通の測り方なのですが、厳しい藩では、元々の竹を短くして測ったそうです。




この場合は

横が6
縦が5

で30の田んぼとなり、120俵とれることになり、半分の60俵を納めなければならなくなるのです。



しかし!庄内藩の酒井様は違いました!
逆に竹の長さを長くしたのです。



すると、

横が4
縦が3

となり、12の田んぼとなります。これは80俵とれることになり、40俵を納めるだけでよくなるのです。


同じ大きさの田んぼでも検地の仕方によってこんなに違いが出るんだそうです。

このように、酒井様はとても寛大な政治をされていたそうで、農民からも大変感謝されたそうです。


そして時代の流れで検地のやり方も変わっていきましたが、酒井様の検地を受けた方々は、その竹を短く切って分けて、豊作・家内安全の神様として大切にしていたそうです。


それを「オクナイサマ」と言い、今でも大切にしているお家があります。


これです。





紙の中心に竹があります。これが検地で使われていたのです。





白い紙は毎年増やしていくのですが、このことを「着せ替え」と言います。


先日そのお家の方が今年の「着せ替え」に持って来て下さいました。

以前は、その土地に御子さんという方がいて、お願いしていたそうです。
「オクナイサマ」を風になびかせながら、田んぼを歩いて「着せ替え」に行くそうです。


その方もご高齢になり、できなくなってしまったそうなので当社で行っています。
三川町の方なので、持って来る時は車ですが、窓を開けて風をあてながらいらしたそうです。


禰宜に教えてもらいながら、私もいっしょに「着せ替え」をしました。











できたのがこれです。





毎年増やしていくので、どんどん大きくなります。


そして、家内安全の御祈祷をしました。

風呂敷をといて風をあてます。











感謝と家内安全をお祈りします。










このお家では、茶の間の神棚にお祀りされているそうですが、昔から「オクナイサマ」の前でお肉を食べていけないと言われているそうです。
なので、家族ではなるべくお肉を食べず、お客様が来てどうしても食べなければいけない時はお座敷に移して食べたそうです。


そのくらい大切にされているんですね。


今では「オクナイサマ」が残っているお家は少ないそうですが、このような昔から伝わるものを大切にするというのはとても大事だと思います。




ちなみに、なぜ「オクナイサマ」という名前なのかというと、その時検地をされていた酒井様のお名前が、


酒 井 宮 内 大 夫 忠 勝


と言い、

その「宮内」


を取ったと言われています。


酒井忠勝公は、荘内神社の御祭神です。




御祈祷の前に、そのお家の方とお話をしたのですが、


「家が今まで続いているのはこの「オクナイサマ」のおかげだと思っているんですよ」

と言われていて、酒井様はすばらしい政治をされた方なんだなぁと感激してしまいました。


そのすばらしさを若い人たちにも伝えていかなければ!



せばの。




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