のんびり起業を目指す日々

好きなことを勉強しながら、のんびりとお惣菜屋さん開業をめざす毎日です。

ぐるぐる渋谷

2020-04-22 04:09:00 | 日記
皆様おはようございます。

今日は作り話、フィクションです。

「ぐるぐる渋谷」






ある時、憑りつかれたように渋谷に仕事を求めて戻ってきた男がいた。
数年前の渋谷での恋の思い出があったからなのか、本人が言うには起業前に公庫の融資の条件にあうように経験をつむのだという。
男はあこがれの渋谷に戻ってきたのだが、もうあの娘は街にはいなかった。
久しぶりに戻った接客業は、しばらく感覚が戻るまで苦労した。
娘位離れたバイトたちにも、馬鹿にされる始末だ。
自信を無くしてしまった。
だが、そんなポンコツをいつも見てくれる人がいた。
応援しているような、好意があるようににも感じた。
男は、いつの日か昔の事もわすれられた。
その娘と仕事が同じになる日は幸せだった。
しかしそれも長くは続かなかった。
芸能ニュースのように、職場内に噂になってしまったようだった。
5月のさわやかな風の吹く季節、彼女は急にやめてしまった。
その後も何度か接点はあったが、一年後の土用丑の日が最後を予感する日になった。
恥ずかしがり屋の彼女と一番、話をした日だったが。
その日は、渋谷の地下駅が雨漏りを起こすほどのゲリラ豪雨が降った。
まるで渋谷が泣いているようだった。
予感は当たっていた。

数年後、いつも元気だった渋谷の街は見たことがない状況になった。
新型コロナウイルスの影響で、変わり果てた寂しい景色になった。
男もその一連の影響から渋谷を離れることにした。
その成り行きの中で、自分の夢を追って、あの娘の気持ちを大切にしなかったから、結局運を無くしたのだ。
そう思うこともあった。

数年して、新型ウイルスの影響も落ち着き、渋谷も活気が戻ってきた。
その街に、かつての娘は戻ってきた。
しかし、昔のあの男はもういなかった。
娘は、すぐに新しい恋をした。
一生で一番のタイプの男性だった。
一生で一番の幸せをつかんだ。

スクランブル交差点の人の渦のように、人間模様も交錯する。
ミュージシャン、芸人、俳優、夢をみる人たちを受け入れる包容力を持つ不思議な力を持つ街。
起業を夢見た男も夢はかなわなかったが、悔いはなかった。
ありがとう、渋谷と思って去っていったのだった。




まかせました。


それでは、


最新の画像もっと見る

コメントを投稿