文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

中国には月収1000元(約15.000円)の人が6億人」もおり、「14億人の内需」など幻想にすぎない

2021年01月27日 16時57分14秒 | 全般
以下は昨日発売された月刊誌Hanadaに、習近平に消されたジャック・マーと題して掲載された渡邉哲也の論文からである。
月刊誌Hanadは日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。
本論文は3段組みp91~p98に渡る労作である。
本欄ではp97の終章からp98までを抜粋する。
見出し以外の文中強調は私。
刑務所か、死か
前文省略。
14億人の内需は幻想 
2015年、中国は人ロボーナス(人口に対する労働力が豊富な状態)から、人ロオーナス(働く人よりも支えられる人が多くなる状況)に人口動態が変わった。
人ロボーナスから人ロオーナスに切り替わる時期に、日本ではバブルが崩壊し、2015年の中国でも株価の暴落が発生した。
中国は今後どうなるのか。 
14億人という巨大な人口、日本より3倍も早い高齢化、未熟な社会保障制度、過剰なマネーサプライ(通貨供給量)、国有企業の社債デフオルト(債務不履行)の多発、昨年末に起きた大規模停電など、現在の中国の「ひずみ」を見れば、一気に瓦解する可能性はある。 
習近平は「14億人の内需」と世界に向けてアピールしているが、昨年5月の記者会見で李克強首相が暴露したように、「中国には月収1000元(約15.000円)の人が6億人」もおり、「14億人の内需」など幻想にすぎない。
そもそも14億人を豊かにする資源は地球にはない。 
物理的にどこかで発展限界は訪れる。
もうすでに発展限界に来ていると考えるからこそ、習近平は中国という国家を共産主義に戻そうとしている。 
文化大革命で毛沢東がやったように、ジャックーマーのような富裕層、アリババのような民間企業を階級の敵とし、国民の不満をやわらげ、人口の多くを占ぬる貧困圈から拍手喝采を浴びるというのが習近平の狙いだろう。 
自由社会の枠組みで物事を考えるから中国のことが見えてこない。
そもそも法治の概念が違う。
我々西側の法は権力者をも縛るが、中国においての法は、権力者が民を支配するためのルール。
中国は国際社会でも同じことをやっている。
つまりは、自己都合による法の解釈だ。 
日本型の民主主義は中国には根づかない。
一般的に民主主義の限界は3億人と言われている。
EUがうまくいったのは3億人までであり、米国も人口が3億人を超えてからぐちゃぐちゃになり始めた。 
中国が分割されればうまくいくだろうという人もいるが、中国の発展モデルは中央集権モデルなので、分割するとその地域ごとの分業になり、国家として成り立たない。
民を自由にすれば下剋上がおこり、共産党に代わる権力者が国を支配するだけ。 
三国志の時代から中国の歴史は変わらない。
日本がモンスターを育てた 
最後に、日中関係について触れておこう。
コロナ禍で世界経済が減速するなか、「中国一人勝ち」の様相が強まっているが、当たり前の話である。
計画経済をやり、人命を無視して経済を再開させればプラス成長するに決まっている。
それを是とするのか非とするのか。 
本来はマーケット原則に基づいてすべてが動くが、中国はマーケット原則をまったく無視している。
中国モデルは自由主義経済ではないから可能なのであり、自由主義経済だっ
たらとっくに破綻している。 
中国というモンスターを育てたのは日本だ。
1978年に始まった中国の改革開放を支え、1989年の天安門事件後の対中経済制裁を欧米に先駆けて解除し、そして日本を貧しくしてきたー。
その責任は、中国幻想を抱いている日本の政治家や経営者にある。 
中国に技術支援を行って、資本投下を行って、日本国内に利益を持って帰れないから現地で再投資を行った。
中国の資本規制は厳しく、ほとんどの利益を中国国内で再投資しないと中国共産党の嫌がらせにあう。 
利益を国内に持ち帰ることができて初めて投資と呼ぶ。
持ち帰れないものに投資し、一所懸命働く、バカバカしいと思わないのだろうか。
資金の回収ができない投資は投資ではなく、ただの寄付だろう。
結果どうなったかと言えば、中国のGDPを押し上げただけである。
三洋電機を呑み込んだハイアールは大型家電の小売り販売量で2009年から19年まで、11年連続で世界1となっている。
これが現実だ。 
中国と付き合って何か一つでもいいことはあったのか。
日本の富が食われただけではないか。
このようなことを主張すると、「日本経済は中国がないと成り立たない」という人がいる。
では、いまから30年前を思い出してほしい。
あの時、いまの中国はなかった。
では、日本は貧しかったか、日本は困っていたか。
答えはノーである。 
中国との友好関係で経済的なメリットはない。
インバウンド需要というが、中国人のインバウンドはGDP全体の0.6%程度でしかない。
日本メーカーの家電製品を中国人は買って帰るが、この多くが中国製である。中国で作ったものを逆輸入しているにすぎない。
小売店は儲かるが、その小売店も中国資本のラオックス。笑い話だ。 
日本は内需が85%であり、内需が健全化すれば簡単に景気回復できる。
一つの例が台湾だ。
中国からどんどん国内に企業回帰させて、コロナ禍でもプラスの経済成長を維持している。 
デカップリングと言われる中国と米国の分離は、今後ますます加速するだろう。
日本企業も「日本回帰」の動きを加速すべきであり、政治家も経営者も中国幻想を捨て去るべきだ。






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