「文明のターンテーブル」を世に出してからの40日間以上、僕は、不安の様な感情に捉われる一日、その翌日に、言葉が生まれる、そのような繰り返しだったのです。
或る章で、小沢一郎に対するマスコミの酷さにNOと言ってから…丁度、政局とシンクロした事に依る気迷いの様なものも随分影響しました。
僕の提言が市場と言う大きなもの…それは絶対的な物だと大半の者が信じて疑わないものを相手にした提言だったから…スケールが大き過ぎて具体的な施策に結び付けられない…全ての政治家が、そう思ったのではないでしょうか?本質は、その通りだと思う…ただ、どのようにして…と。
検証をし続け無限に思索する=学問をし続ける者にのみ本当の閃きは訪れる。寝ても覚めても自分の仕事=使命だけが頭に在る。解を求める眼差しだけが在る人。極端に言えば、その他の事は何もない人。
全てのノーベル賞級の学者達なら、僕の言っている事は黙って分るはずです。
一番の鍵は、エゴイズムを克服する事が人間に取って一番大事な事で有る、と言う事に尽きています。
実は、年収1,000万円以上の安穏の中にいる学者や、それに準じる者達が、国を救った、人類を救ったためしはないのですから。国を潰した、滅ぼした事は、歴史上枚挙に暇がないほどですが。
先日の朝日新聞社説中の、「成長し続ける事はできない…」、今週号アエラのM氏の論文らしきものでは、「成長至上主義は限界」僕は、彼らが異口同音に言ってる、この事に、とても違和感を持っています…同時に彼らが「サロン」の中に居るのであろうことも。
彼等は年収1,000万円を軽く超える、今のエリート層に居る訳です。
…朝日新聞の年収が30歳で1,000万円を超えているとは知りませんでしたが。
朝日は、このままでは、日航の様に没落して行くでしょう…己だけが高給で有れば良いと思っている会社は、全て没落するものです…
朝日に限らず、18年前に、愚かな正義感の大合唱をして、20年の悲劇をもたらしたのに、自分は、只の一度も、生活の苦しみを味わった事のない、今のエリート層に居る人達。この人達の中から、日本を救う解が出てくる事は、ありません。
僕が松下政経塾出身者に感じている疑問、危惧とは、そう言う事なのです。
前述の、S証券社員でもあるM氏は、悪くない事を言っているのですが、彼には解は出せません。
今の日本を、17世紀のジェノバに例えたりしている事だけでも…無理です。
それなのに、彼らは、日本政府のチーフエコノミストに就任させると言うのですから。彼は僕の世代より4つか5つ下ですが、僕の世代の最優秀選手では有りませんし、この20年の苦しみの中で、何の苦しみも、生活の苦しみ、人生の道まで塞がれそうな苦しみ、何一つ味わった事がない人間でしょう…彼には解が出せる訳が有りません。
神様が真のGiftedに与える試練とは、生易しいものではないのです。想像を絶するものです。ウディ・ハレルソンに殺人者の父親を与える様な、実に過酷なものです。
これらの方たちが、釈迦の様に、家族も地位も名誉も捨てて…例えようも無く心地の良い安穏の全てを捨てて、国を救う為の悟りを開く為に、荒野を旅し瞑想に入ったなら、解にたどり着けるかもしれませんが。今のままでは彼から解が出てくることは100%有りません。
彼らのレベルで物を言っている人間は、そこらに幾らでもいます…
彼らには「文明のターンテーブル」とは、次は多分ブラジル(南米)、最後にアフリカ、まで廻す事が義務なのだと言う観点が全くないのです。何故?己の安穏というエゴイズムの中に居るからです。真のエリートではないからです。今は貧しさの中に居る何十億人に、数百年後、私たちの様に、豊かな時代を迎えさせる、という気持ちが全くないから駄目なんです。
子供や孫達の為に、環境、緑、世界平和…彼らの口は全てがおためごかし。
彼らに僕が指し示す言葉は、随分前にサルトルが小説を書く事を止める時に宣言した言葉…10億の民が飢えている今、文学に何が出来るか?…
これを、10億の民が飢えている今、経済には何が出来るか?に、置き替えたら、貴方がたにもたどり着けるかもしれない。
…無論、これらの事の全ては、僕の予想を見事に裏切って解を出して頂く事を心底期待して言っているのです…。