すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

押井守「立喰師列伝」

2006-04-15 08:52:35 | 映画評
作品の中で万博を非難するようなナレーションがあったけど、愛知万博に協力しているじゃんか


東京に行く用事があって…………と言うよりは、東京に行く用事をつくって、押井守の最新作「立喰師列伝」を見てきました。(公式サイト)

…………しかし、大変でした。
なにが大変って、上映館が渋谷なんだよね。しかも東京は渋谷しかない。
社用での外出なので、当然、スーツ姿。当方、30才。
スーツ姿で、30才で、渋谷で、平日というのは、違和感バリバリでキツイものがありました。

風采があがらない上に、それを自覚もしております。そんなわけで、渋谷のパルコでの上映というのは、
「これは羞恥プレイか?」
と勘ぐりたくなるほど。

渋谷についたものの、上映時間までけっこう時間がある。仕方なく、ドトールかスタバでもないだろうかとパルコの周りをウロウロしていると(パルコの喫茶店は、私にはちょっと敷居が高くて…………)、目に付くのが浮浪者。

街角で何をするでもなく、ボー然と座り込んでいる彼らを見ては、
「この人たちは、新宿や上野ではなく、敢えて渋谷という土地を選ぶことで、自らに苦行を科しているのだろうか?」
と思いたくなるほどの堂々とした違和感。

見習わなくては………………?


それはさておき。作品の感想。

一言で言うと、「やりたい放題」。
そういう意味で、押井守ファンは楽しめるのかもしれません。

まぁ僕もファンと言えばファンなのですが、心酔するほどではない。
そんなわけで、欠伸が止まりませんでした。

映像は「ミニパト」の延長で、前回はアニメ紙芝居だったものを今回は実写紙芝居にしております。

で、物語の展開には、ふんだんな押井節の難解な言い回しナレーションで解説、解説、また解説。

「こんな実験的な作品に、金が出るなんて、押井監督は幸せだねぇ」


肝心の物語は、戦後史を「立喰師」という架空の職業・人物を使って、振り返るというもの。
社会の正道とは決別した生き方をする浮浪者に、なんだか人生の凄味を垣間見るように、無銭飲食を生業とする半端者によって、日本の在り様を問おうとするストーリー自体は凝っており、評価すべきなんだろうなぁと思います。

が、絵の表現こそが主体となるべき映画において、ナレーション(セリフですらない)で物語を進行していこうとするのは、なんか反則くさいなぁ。

まぁそれが押井守の〝味〟なんだろうけど。


というわけで、延々と押井節を聞かされる覚悟がある方だけ、見に行くのがよろしいかと。


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