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若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ (1)」

2006-07-14 16:16:55 | 書評
くだらなくてヨイです


今年、上半期にもっともブレイクした漫画といって過言ではない「デトロイト・メタル・シティ」。

評判なんで、読んでみました(ミーハーだね)。


単純に面白かったです。

でも、これって「エリートヤンキー三郎」のパクリ…………とまで言わないでも、換骨奪胎のような。

普段は大人しい青年(少年)が、切れると、「自分の想像もしない(しかも望まない)力を発揮する」という設定は、モロのような。

まぁ「エリートヤンキー三郎」自体だって、モトネタというか、影響を受けた作品はあるだろうけど。


それは、ともかく。
「エリートヤンキー三郎」も「ヤンキー」を馬鹿にしながらも、三郎のオタク趣味に肩入れするわけでもなく。
「デトロイト・メタル・シティ」も「デスメタル」を馬鹿にしながらも、根岸のオシャレ趣味に肩入れするわけでもなく。

ありがと キミも
スゲー似合ってるよ
若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ (1)」178頁 白泉社

と、まるで根岸の味方(理解者)のように登場した「東京オシャレ四天王の一人」(すごい冠だ)。
でも、根岸の目指している「おしゃれ」な歌が、どぉーしよぉーもない自己満足の作品に過ぎないと分かった瞬間、歌っている根岸に対して、
お遊戯的な事なら
外でやってくんない?
若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ (1)」181頁 白泉社
と、まったく遠慮のない、直球の評価を下す「東京オシャレ四天王」。


なんつーか、作者の青春時代が垣間見れるよね。

クラスの後ろの席を占有する不良(デスメタル)には恐くて近づけないし、だからと言って、クラスの中心となっている陽気なオシャレグループにも相手にされない。

なんとなく毎日学校に登校して、「早く放課後にならんかな?」と思いつつも、放課後に何かイベントが待っているわけでもなく。

かっこうよくもないしもてないし、勉強もできないし、運動でヒーローになれるわけでない。

そんな青春時代のルサンチマンが、この作品に結実しているんでしょうね。

根岸の過激発言の端々にあらわれる女性に対する蔑視からも、その業の深さ(女のもてなさ)がうかがえます。

ネットにはまっているなんて、八割はもてない男女です(偏見)。
そりゃ、ネットで評判になるわけだ。


デトロイト・メタル・シティ 1 (1)

白泉社

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