S’PORE papa

シンガポールへ2005年~2010年まで単身赴任・・・ゴルフの回数は、激減・・・競馬、釣り、ガーデニングなど多趣味・・・

功名が辻

2006-03-06 14:45:33 | シンガポール
やっぱり司馬遼太郎は、面白い。この小説が40数年も前に書かれたとは、全く古さを感じさません。読むきっかけは、今、NHKの大河ドラマでやっているからですが、ここ数回ドラマの方を見損なっているのが残念です。

前半のストーリーでは、功名、功名となんか鼻持ちならない感じがしましたが、その時代背景からしたら、武士であれば、そういう生き方の時代だったのでしょう。現代であれば生きる選択肢が多い分だけ、出世、出世ばかりが人生ではないのでしょうが。

山内一豊の妻といえば、馬の購入の話が有名ですが、史実的には、確たる証拠があるわけでは、ないそうです。しかし、その話も、この小説の中では、上手く描かれています。先々週だったか一豊の顔に矢が刺さって吉兵衛が引き抜くシーンがありますが、これは史実だそうです。殿様の顔を踏んづけたワラジが後藤家の家宝として残っているそうです。

普通の男にとっては、出来すぎた上さんは、男のプライドを傷つけて、男のやる気を逆に萎えさせてしまいますが、千代は、余程、亭主操縦術が上手かったのでしょう。というより、この時代では、同じ目的を持った、戦友みたいな存在だったのでしょうか。

山内一豊が土佐24万石の大名になれたのも、史実的には、千代の裁量により、関が原の合戦前に石田三成の味方に付くようにとの勧誘状を読まずに家康に報告し、その行動が、東軍に付くか西軍に付くか迷っている武将を家康方に付かせ志気を揚げた功績が、家康に評価された事になっています。

歴史小説家の凄いところは、史実と想像を織り交ぜながら、その人物描写の素晴らしいところです。

この小説の中で一番面白かったのが、後継ぎをつくる為、千代が側女を斡旋する章が有ります。3刊目の「醍醐の花見」のシーンですが、思わず吹き出してしまうところも、有ります。時間の無い方は、ここだけでも読まれる事をお薦めします。さて、このシーン、テレビドラマでどのように描かれるかが楽しみです。

一豊は、信長、秀吉、家康と3代に仕えた世渡り上手。現代のサラリーマン社会でも、なかなか、こういう人物は、いませんね。凡庸ではあるけれど、律儀、誠実な人柄に描かれています。商売にしても、人柄にしても、信用が大事なんですね。

さて、次の司馬作品は、何を読もうかな~。でも、シンガで文庫本1冊、1000円以上は、高いな~。

今のシンガの天気は、暑いです。

コメント
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