山の上ホテル
東京駿河台にある山の上ホテルが来年2月に閉鎖されるという。
多くの高名な文人が缶詰になって執筆したとかいう話で,その佇まいに近寄りがたいものを感じていたが,ある年の高校同期会の幹事が,ここを会場として指定してから,親しみやすいホテルとなった。
わたしたちの同期会は,母校前身の松本中学から数えて74回目の卒業生からなるので,「七四会(ナナシカイ)」と称し,松本と東京で年にそれぞれ一回ずつ集まりを持っていた。山の上ホテルは,恐らく10年以上にわたって東京七四会の会場だった。
多い時は100名近くが集まり,談論風発の楽しい集いで,最後は会場にあったピアノの伴奏に合わせて懐かしい歌を斉唱し,同じ会場の二次会に移った。
歌唱のリードは,わたしもその仲間に加えてもらっていたが,音楽部出身者(希楽会)が勤め,『琵琶湖周航の歌』,『祝蜻蛉祭記念祭歌』そして校歌が定番だった。
七四会名簿より
数年前,料金の折り合いがつかなくなって,会場はよそに移ったが,あの時代が懐かしい。
山の上ホテルのような,風情・風格のあるホテルがなくなるのは寂しいことだ。
ザザムシ
10月26日付の朝日新聞デジタル版に,『見た目エグいが食感エビ? 伊那谷の高校生が守る昆虫食ザザムシの味』と題する安田琢典さんの記事が載っていた。
ザザムシはトビケラやカワゲラ、ヘビトンボの幼虫の総称で、伊那谷を流れる天竜川の川底の石などに生息するが,地元では食材として伝統的に尊重されていた。
このザザムシの養殖に,上伊那農業高校のグローカル・コースの生徒たちが。2021年から取り組んでいる。グローカルとは,グローバル∔ローカルを合わせた言葉である。昆虫食は将来的な食糧問題解決のエースとして,現在世界的に注目されている。地元食文化の伝統を守り,発展させる意味も含めて,ザザムシを取り上げるのは,グローカル・コースの課題としては最適なものだろう。
生徒たちは校庭に模擬川床を作り,トビケラとヘビトンボの幼虫を飼育し,生態を調査した。現在は羽化した成虫に卵を産ませるところまで成功しているという。そして,ザザムシを使ったレシピの開発も手掛けている。
信州人には昆虫食が馴染みで,わたしも蜂の子や蚕の蛹などは小さい時から食べなれていた。戦後まもなく松本地方を巡業された昭和天皇の夕食に蜂の子ご飯を差し上げたのは有名な話である。松本駅の売店には,イナゴ,ザザムシ,蜂の子,蚕の蛹と蛾の缶詰が高級食材としてみやげに売られている。
野生の動物を家畜化することは,自然生態系の攪乱を避け,食材を安定に提供する上で極めて重要である,上伊那農業高校の生徒たちが,卵⇒幼虫⇒蛹⇒成虫⇒卵の完全養殖に成功したことは素晴らしい成果である。
更なる研究の発展を期待したい。
STOP WAR!
子供の頃、蜂の子、蚕の蛹を食べたことはありますが、「ザザムシ」のことは知りませんでした。
こんな時に思い描くのは、必ず弟のいる風景です。
そして、我が家は伊那谷の奥の方の「出」なので、ざざ虫、もちろん知っています。でも売っているのを手に取ってみても買う気が起こりません。
蜂の子ご飯もとても食べるのは無理。でも父と近所の人たちが、真綿を持って蜂の子取りに行くときはついていきました。
寺井さん
馬場君はどうしても早すぎましたね。残念です。