神宮外苑がピンチ
今週の「AERA」に,同誌編集部の井上有紀子さんによる神宮外苑の再開発に関する記事が出ていた。
この再開発に関しては,わたしは本年2月11日のブログに書いているので,以下にそれを再掲する。
神宮外苑の再開発計画が進められている。
この計画は2018年11月に東京都が作成した「東京2020大会後の神宮外苑地区の街づくり指針」に基づくもので,一昨日都の都市計画審議会で承認された。
事業者は三井不動産,伊藤忠商事,明治神宮,日本スポーツ振興センターの四者で,計画によれば,神宮球場,同第二球場,秩父宮ラグビー場,を取り壊し,神宮球場とラグビー場は新設する。さらに開発区域内に,オフィスビル,ホテル,商業施設,駐車場を新設する。オフィスビルは高さ190mと185mの2棟。来年から着工して2,034年の完成を目指すという。
この開発によって,予定地にある約1400本の樹木の約7割が伐採されることになり,ユネスコの諮問機関の「イコモス」国内委員会から計画の見直しが求められ,伐採樹木の多さに危惧を示す識者もいる。
「AERA」の記事で,わたしの興味を惹いた事項を以下に列記する。
識者の指摘や世論によって,絵画館前の銀杏並木は残されることになったが,移転によって球場の外壁が銀杏並木に近接し,さらに地中に約40メートルの杭が打たれるので,将来的に衰退する木が出て,並木が維持できなくなる可能性がある。
近隣の住民には,当初老朽化した秩父宮ラグビー場と神宮球場を移築再建して,新たなスポーツクラスターを作ると説明されたが,超高層ビルの建築は説明されていなかった。
この再開発による経済効果は9兆円以上になると考えられる。
都民に説明する前に,都は森喜明元首相(当時オリンピック招致の中心人物)に根回ししている。従来,外苑は明治神宮の私有地で,風致地区に指定されて,建物の高さが規制されていた。この規制を無くすのにはよほどの理由が必要で,再開発のためにオリンピックを招致したのではとすら考えられる。
再開発によって,主要スポーツ施設は延べ床面積の30%を占めるだけで,残りはオフィスや商業施設で,スポーツクラスターとしての再開発とはとても言えない。
容積率の高いビルを建てるのは,人口減少とテレワークを考えると矛盾しているし,アメリカでは適度に低いビルと公園を一体とする計画が増えていて,世界的なトレンドは容積率が適度に低いビルになっている。100年にわたって築きあげてきた神宮外苑を時代に逆行して壊そうとしている。
2月11日のブログで,わたしは心理的にこの再開発計画が受け入れ難いと書いたが,記事を読んで,その思いを益々強くした。
芭 蕉 布
NHKの朝ドラ『ちむどんどん』が終わった。一種の中毒のようなもので,ほぼ欠かさずこの番組を見ていた。
物語は定番で,意気込みに燃える少女が,困難にめげず,周囲の助けによって成功を収める筋書きだが,劇中出てくる沖縄民謡を聴くのが楽しみだった。
印象に残っているのは,最終回前の昨日,比嘉家の三女歌子が師匠の上原照賢とともに,三線の音色に乗って歌った「芭蕉布」である。
テレビの画面を撮影
芭蕉布は糸芭蕉の繊維から作られる沖縄の民芸品である。その優しい肌触りに寄せて沖縄を歌い上げた,吉川安一作詞,普久原恒勇作曲の沖縄民謡が,歌の「芭蕉布」で,いろいろな歌手がカバーしている。
この歌は,リーダー真木ひろしさんの編曲で,コカリナサークル「ラヴピース」の持ち歌になっている。
しみじみ歌い上げる劇中歌を聴いて,早速コカリナで吹いた。
海の青さに 空の色
南の風に 緑葉の
芭蕉は情けに 手を招く
常夏の国 我した島沖縄
首里の古城の 石だたみ
昔を偲ぶ かたほとり
実れる芭蕉 熟れていた
緑葉の下 我した島沖縄
今は昔の 首里天じゃなし
唐ヲゥーつむぎ はたを織り
じょうのうささげた 芭蕉布
浅地紺地の 我した島沖縄
STOP WAR!