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抗うつ剤に「自殺の恐れあり」と明記することに

2006-02-09 | 生物の話
抗うつ剤に自殺の恐れがあることを明記するように厚生労働省が支持しているようです。
抗うつ薬の注意書を改訂 「自殺の恐れ」初の明記


さて、さっと流し読みすると「ふーん」で終わってしまいそうなこの話題・・・
よく考えると「?」が浮かんできませんか?

『抗うつ剤』とは“鬱(うつ)”という心の病を抑える薬です。
抗うつ剤にはSSRI(選択的セロトニン再吸収阻害剤)という薬物をはじめ、いくつか種類があります。

うつ病の症状には
・気分が落ち込んだまま何もする気が起こらない。
・夜眠れない。
・自分が価値のない人間に思える。
・気持ちが落ち着かず、何をしていても楽しくない。
・過去の出来事をくよくよ後悔し、未来に希望が持てない。
・死にたくなる。

などがあります。

もし、あなたがこのうちの3つ以上に当てはまり、2週間以上同じ状態が続いているようなら迷わず病院へ行ってください。
現在、うつ病は発見が早ければ早いほど、薬剤で治る確率が高くなります。
この、うつ病を治すときに使われる薬が抗うつ剤です。

ここで問題となるのは最後の項目、「死にたくなる」です。
抗うつ剤は“うつ”を抑える薬のはず・・・
それなのにうつ病の症状が出るというのはどういうことでしょうか?

これには、抗うつ剤の効き方が関係しています。
うつ病というのは、脳内の情報を伝達している物質がなんらかの原因により少なくなったり、情報を受け取る側の細胞が弱ってしまうことで起こります。

代表的な情報を伝達する物質が「セロトニン」です。
「セロトニン」は心を落ち着かせ、リラックスする効果があります。
しかし、セロトニンが不足するとイライラし、何事に対しても我慢ができなくなります。
うつ病になるとセロトニンが減ってしまうことがあります

これに対して効果を発揮するのが、SSRIをはじめとする抗うつ剤の存在です。
ここで、SSRIの効果を簡単に説明します。
図が欲しい方はこちらのサイトさんへ
UTU-NET うつ病教室

セロトニンが正常状態の時には、作りすぎたセロトニンは放出したもとの細胞に取り込まれます。
これを「再吸収」といいます。
この細胞は、困ったことにうつ状態のときもセロトニンを取り込んでしまいます。
うつ状態の時にはセロトニンが減っているのに、取り込まれてしまったら余計に少なくなってしまいます。
この「再吸収」をさせなくするのがSSRIという薬剤です。
すると、放出しているセロトニンの量は同じでも、受け取る細胞に届くセロトニンの量は増えます。
これにより、症状が改善されるのです。

さて、SSRIを使うと伝達されるセロトニンの量は多くなるのですが、セロトニンの量自体が増えたわけではありません。
セロトニンの量が戻るには少し長い期間を待つしかありません。
このときに、薬をちゃんと飲んでいれば確実に改善されていきます。
しかし、一見治ったからと言って薬を急に止めてしまうセロトニンの量ももちろん減ってしまいます。
すると、もとの状態に戻ってしまったり、ひどい時にはもとより悪くなってしまいます。

ひどいうつになってしまった人は死にたくなる・・・
と言うわけです。
もちろんこれ以外にも原因はあると思いますが、「自殺する可能性があるから薬は嫌だ」なんて考えているならば間違いだと思います。

長々と書きましたが、今回言いたいことは
・うつは薬で治る病気なのですぐに病院に行くこと
・一見治ったからと言って薬を急に止めないこと

の2つです。

心の病気は科学的な病気です。
なので、恥ずかしがらずに病院へ行きましょう。


っていうか、この記事もこうやってちゃんと説明しないと誤解を招くと思うんだけど・・・?


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