サンシュルピス教会を訪れた
教会の前には噴水があるが、催しを行っていたため、噴水は止められていた
教会の門に近づくと、教会の鐘が響いた
ノートルダム大聖堂の時もそうだった
私が訪れると必ず、鐘が鳴りだす
まるで、私を待っていたかのようだった
そしてなんと教会で今から結婚式が行われる前だった
新郎、新婦が歩きだし、家族が集まっていた
不思議なことに、私がいくところは殆どが、結婚式が行われる瞬間だったり
ミサが始まったり、鐘が鳴ったり・・・・
まるでそれらは、もう何百年も前から、この日のこの瞬間を、
私のために準備して待っていたかのように感じさせた
すべての瞬間はパーフェクトに用意され、そのタイミングは
ものすごい奇跡なのだ
人との出会いも、人生そのものも・・・
私は一歩一歩、パリを歩きながら、パリにしばしの別れを告げていた
このフランスは、私をずっと、ずっと待っていたんだ
何百年も何千年も時を超えて・・・・
青く澄んだ空
空気
緑の葉
川の音
教会の鐘
街ゆく人々
最後の夜は勿論、ルーブル美術館のピラミッドへ
最終日は姪っ子とルーブルへ
ぐるっりと回って、建物の上に立って見下ろしている存在たちに
挨拶をして回った
ずっとここにいたかった
魂の故郷、原点がこの地にある
私はこの土地に癒された
遠い過去を思いだすように、私の意識は時空を飛び越え
今と過去の交差の場所にいた
すべてのものと呼吸し、この土地と、地球のすべての生命体の声を聞いていた
大地の鼓動が風に舞い、すべてと一つになっていく
それはまるで地球そのものの声だった
私は守られている
深いところで何の心配もいらないことを知っていた
そしてすべての人の人生が、この地上に降りて流れていくのを見ていた
すべての人が繋がっていて、守られていて
完全なるハーモニーの中でダンスをしているのを
私はずっと眺めてみていた
「生命の声を聞く者」の私の魂が、生命の喜びのダンスを感じていた
なんて美しい世界・・・・
仏陀が最期に遺した言葉
「この世界は本当に美しい・・・」その声が聞こえるようだった
生きていることが、どういうことなのか
地上で肉体を纏い、人間体験をする
それがどれほどすごいものなのか・・・・
「泰三さん、あなたの人生は素晴らしいものでしたか?
泰三さん、この美しい世界をあなたは見ることができましたか?」
私は泰三さんに語りかけていた
彼はこう答えていた
「友子、今、僕は君の目を通してみている
君の感覚、感性、君の触れるものを、僕は感じることができる
この美しい世界を、この天からでなく、地上にいる友子の感覚で感じることができるんだ
これは生きていたら出来なかったことなんだ
友子の中で生き続ける、友子の中に入るよって言った意味が分かったかい?
それが僕と友子との約束・・・友子が生きる意味だよ」
彼の息を感じながら私は、ずっと空を見ていた
空に星が出て、空の色が深く濃くなるまで
ずっと離れることができなかった
飛行機で日本の上空まで来ると
大きなもので包まれているのを感じ始めた
日本のスピリットが大きな手を広げて
受け止めてくれている
飛行機は、その手の中でフワリと着陸した
ようこそお帰り
まるで母の腕の中に帰るようだった
地球と交信し始めた私の魂は、もはや何も恐れることがない
妹が空港で待っていてくれた
最初から最後まで私を見守ってくれた
姪っ子のいづみがラインで一人になって寂しいよ~って
それから、私が帰った後、大雨で寒くなったと連絡があった
妹の旦那の秀ちゃんは、いつものように変わらず
お帰りって・・・
感謝というフィーリングでいっぱいになった
出会ったすべての人にありがとう
それは泰三さんが最期にみんなに遺した言葉と同じだった