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生命の声を聞く者

インディアンネーム「生命の声を聞く者」のヒーリングブログ

母との思い出

2007-05-31 22:38:53 | セッション記録
彼は60歳。今年還暦を迎える。
彼は何とも言えない人を惹きつける人で一度会ったら忘れない何かを持っている

彼が私の元を訪れたのは2年前・・・。その頃の彼は仕事で成功し自信に溢れていた

でも一つだけ彼には弱点があった。それはギャンブルを止められずお金が流れてしまう。一ヶ月100万以上の収入があるのに、借金をし、遊んでしまうのだ

今回私の所に来たのは、愛する人に結婚相手が出来て、お別れを言われたのがきっかけだった

私は彼の過去に透視する必要がある事に気づいていた
そしてセッションは始まった

彼のお母さんは旦那さんである彼の父が単身赴任で殆ど家に帰って来なかった

だから彼の母親は寂しくて競艇や競輪場に行くことで寂しさを紛らわしていた
その時代では裕福な家だったにもかかわらず、そのお金を殆どギャンブルに投入していった
母親である彼女は泣いていた
愛を求めてギャンブル場を彷徨い、満たそうとしたのだ

彼は家に帰ると鍵がかかっていて、家に入れない。母の帰りを外で遊び待って
家に入るのだ

時々、彼は末っ子だから母い連れられてギャンブルをしに連れていってもらえた
彼にとってギャンブル場は、唯一母との思い出がある場所であり、母からの愛情がもらえる場所だったのだ

彼は母の寂しさを隣にいて知っていた

ギャンブルにのめり込んでいけばいくほど、彼は母を小さな体で包み込むように
母の傍で母を見つめていた

彼は母の傍が好きだった

柔らかい温もり・・・母の匂い・・・
母を本当に愛していたのだ

年を取り、彼は家庭を持った
しかし、彼は女遊びを止める事はなかった

彼は女性の中に母を捜していた

彼が唯一愛したのはこの世でたった一人、母だけだった

ギャンブルをやめないのも、死んだ母の哀しみを癒すようだった
彼の哀しみは母が哀しんでいたこと・・・そして母の傍にいられない事だった

そんな彼はいつものように付き合っていた人がいた

彼女は彼がどんなに遊んでも彼を許し彼に尽くした
すべてを捨て、借金してまで彼をとことん愛したのだ

その彼女が結婚するから・・・と別れの話

彼はその時ようやく気づいた
彼女を愛していた事に・・・

彼女は母を求めて満たされる事のなかったハートを満たしていてくれていた

彼には家庭がある。
彼女は結婚を選んで彼から身をひこうとしていた

彼はこう言った

「一緒にブランコに乗って背中を押してくれていた人が、突然お母さんが迎えに来て帰ってしまったようだ。だから一人で遊ぶよ・・・」

私はその声を聞いて胸が詰まった

彼の全人生が母で始まり母で終わろうとしていた

彼は寂しかったのだ
彼は肺を侵されていた

私は人生のなんとも言えない切なさを味わっていた
生きるって・・・

答えのない答えを見つけようとしていた

セッションが終わり、彼は帰っていった
何も見出せなかったと思っていたセッション・・・なのに彼のオーラは輝いていた

彼はセッションで、もう一度母親に会えたような気がしていたのだろう

彼の後ろ姿を見ながら、少年が立って人生を転びながら歩いている姿を見ていた
彼は少年だった

けなげに母を待ち、母を待つ事で母の哀しみを全身で受け止めた彼の強さと切なさがそこにはあった

セッションが終わった私は夕陽が部屋を染めていくのをずっと見ていた

人生はそのものが光なのだと・・・

沢山の哀しみ・・・そんなものさえも、素晴らしい神の贈り物なのだと・・・

泣きながら私はじっと生命の行く末を見ていた

「生命の声を聞く者・・・」これが私なのだと・・・
もう一度深く息をした

私は生きて、今ここに存在していた













愛される事

2007-05-09 21:18:23 | セッション記録
私の前に訪れた彼女

彼女の幼少は両親と別れ、まったくの他人の家族に預けられている
彼女は父と母を知らなかった
本当に幼少の頃だったので、顔を覚えていないのだ

彼女の人生は3度の結婚と3度の離婚をし、子供もいる

そして今彼女はある男性と付き合っていた

彼女はとても気性が激しく、感情の起伏が激しいため
喧嘩っ早い

でも彼女は人の気持ちが分かるとてつもなく優しいハートを持っていた
彼女のハートは大きくて、深すぎるため、彼女はその度に心を痛めていた

傷つきやすく、繊細で、ガラスのように尖って割れやすく、そして透き通り
ピュアーなハート
それが彼女だった

私の元に来た時は彼女はもうボロボロだった

「生きる意味が見出せない」

彼女はポツリと呟いた

彼女は繊細すぎるため、彼の言動すべての中に彼の本心を見抜いてしまう
彼女は悩んでいた

本当に私は愛されていないのではないか?・・・

彼女のパターンはいつも決まっている。
相手にも感情をぶつけてきてもらう事を要求する
感情をぶつけてきてくれる事が、さらけ出してくれる事が
愛されている証拠なのだと・・・

彼女は彼が自分と同じように情熱的に求めてきてくれる事が
愛なのだとそう思っていた



彼は長男として生まれている
愛情深い母と、感情を出さない父の元で大きくなっている

彼女とは家庭環境がまったく違う

「二人の関係が知りたい。そして本当の彼の気持が知りたい」
彼女はまっすぐに私を見た

そしてセッションは始まっていった

二人の魂の履歴は素晴らしいものだった

過去生、彼女の隣には彼がいた
モンゴルで馬に乗っている

彼は強い戦士で、家に帰ると彼女が待っていた
彼と彼女はとても愛しあっていた夫婦だった

彼の寝息は彼女にとって最高の安らぎであり、彼は彼女に甘えていた

二人がであった理由はただ一つ。お互いを助けるため。

彼は彼女の隣で彼女をサポートしていた
彼女も彼のホームになっていった

なぜ、彼の気持が分からないのだろう?
彼女の今生の父との関係性が深い理由だと思った私は彼女と父との関わりを見る事になった

彼女はずっと父を待っている
父が彼女を見る優しい眼差し・・・
暖かい手・・・

彼女は父が会いに来るのをずっと待ちつづけた

父は子を手放した罪悪感、妻を満足させてあげれなかった無力感から
娘の目を見る事ができなかった

最初の頃は会いに行っていたのだが、段々足が遠のき、会わなくなっていった

父は人生から娘を抹消する事で、自分の無力感から解放されたかったのだ

彼女は今でもずっと待っていた

父の姿を追い求め、彼女の恋愛は父の姿を求める事で愛されなかった孤独を埋めていった

彼女が関わる男性は必ず彼女の感情の起伏の激しさにのまれていった

彼女は自分を出すたびに父への抱きしめて欲しかった孤独を出していった
生きるために・・・

彼女はひじょうに繊細でほんの少しの出来事からも本当の事を見抜いてしまうずば抜けた直感力を持っていた

だからこそ。本当に人を信頼できなかったのだ
感情に素直なくせに、人に自分を預ける事ができなかったのだ

彼女は泣いていた

愛されたい

その強い思いが彼女の感情を支配してしまっていた

私は彼女の哀しみを見ていた

そしてそれらが彼女をリーディングするたびにボロボロを落ち
光に溶けていくのを感じていた

彼や父との関係性を見ていくうちに彼女は本当の彼の気持に気づき始めた

彼が馬に乗って彼女の手を引いている
彼女はすべてをあずけて彼の手をとった

そう。彼女は彼が前世から・・・そして今生で出会う前からもうすでに彼女を深く愛していた事に気づいた

彼女はこう言った

「彼が私を昔も今も守っている姿を見ました。私は愛されていたんです」

彼の魂はこう言う

「君を守るためにここに来た」・・・と。

彼が感情を出さないのは彼の愛し方だった

愛する時、守ろうとする
だからこそ完璧な自分であろうとする
守れなかった時に見る相手の哀しみの姿を見たくないから

彼は前世で彼女を守れなくて、妻である彼女と彼らの子供を殺されている
目の前で・・・

泣き叫ぶ子供の声を耳にしながら、彼は家族を守ろうとして、家族を殺された
この矛盾が彼のハートに突き刺さり、彼は感情を押し殺し、完璧な自分になる理性的な自分を作る事でその哀しみをおさえようとした

自分が嫌い。彼は自虐行為に走るのではなく、完璧に違う正しい自分を正当化していく事で生きようとした

なぜなら、そうしなければ生きてこれなかったのだ

彼は彼女が感情を出し、自分にも出せと言われるたびに苦しかった

彼女は彼の元に帰っていった

今度は自分達の愛を疑うような事実は作らない
彼女はそう誓った

彼と彼女はお互いに成長をさせ、カルマを切っていくいい関係性だった

後日、彼女から電話があった

彼女の声はとても静かで安心感で満たされていた

「彼は隣にいてくれる。・・・ただそれだけでいい
そんなふうに思える事が今はとても嬉しいんです」

彼女は幸せそうだった

長い人生・・・苦しみの日々。父への思いがゆっくりと溶け
いつしか愛だけがそこにある事に彼女は気づく

そしていつかこう思う

哀しみも喜びも、孤独も・・・
ただ流れていき・・生きている事はなんて素晴らしいんだろう

そしてこう言うだろう

生きていて本当によかったと・・・

その魂の声が流れていくのを聞きながら私は深い瞑想に入っていった

光がすべてを包み・・・世界に広がっていった

私は今、生きている

私の生命が静かな静寂の中で光にとけていった