ノブ君は、可愛らしいお顔の男の子でした。
でも、言葉が話せません。
可愛らしいだけに、その事が余計に不憫でした。
まず最初に、私はノブ君のお気に入りの曲「ビリーブ」を弾き、
一緒に歌いました。
ノブ君は、声にならない声を出して、歌おうとします。
何度も一緒に歌いながら、
ピアノの先生と一緒に居ると楽しいな~♪
と感じてもらいたいと思いました。
次に私は、ノブ君に丸を描く事をお願いしました。
丸を描く事は、筆圧のコントロールの訓練になりますし、
音符を書く為の、予備練習になるからです。
ノブ君は、色々な色で、丸を沢山描いてくれました。
私は、その丸に、大きな花丸を描いて、ノブ君を褒めました。
でも、ノブ君の可愛らしいお顔は無表情でした。
私は、何とかしてノブ君の笑顔を引き出したいと思いました。