そ の ひ ぐ ら し

その日1日を良く暮らせればよし。
スカイツリーのふもとでちびと小ちびとオットと4人暮らし。

目下の恋人/辻仁成

2009-03-24 00:44:55 | book review
短編集です。
短編集って、通勤途中に読むのにとっても適しているので、
ついつい買ってしまう。
まして文庫本なんて、1冊500円そこそこ。
どんどん買ってしまう。
これも、会社帰りにふらり立ち寄った丸善で、3分で選んだ1冊です。

それはさておき、この短編集。かなり破滅的な恋愛を綴ったものばかり。
共感できたり、できなかったりするが、それは読み手の自由なので、
ひとつひとつのストーリーについて、あれこれ批評めいたことはしない。

それよりもあとがきの中のあるフレーズが印象的。

『・・・せつなく、悲しいのは「恋=愛」ではなく、
二人の間の「愛」の不在によって、「恋vs.愛」という矛盾した袋から
こぼれだした雫だからである』

「恋vs.愛」!
誰もが人生に一度はぶつかる、「恋と愛の違い」(もしくは「恋愛と結婚の違い」?)が、
こーんなに簡単な二律背反で説明できてしまうことに、
驚き、衝撃を受け、ちょっとだけ、信じたくない気持ちがあったりする。

そうかぁ、みんな簡単に「恋愛」というけど、恋と愛は実は対立するものなのかもしれない。
どちらも欲しいとみんな願うけど、実は同時にはあまり手に入らないものなのかもしれない。
だから、安定が望めない相手と付き合ったり、浮気したり不倫したり、結婚したりするのかもしれない。

そう考えると、みんなが描く理想の恋愛→理想の結婚、なんて存在しない気もしてくる。
そんなもんかもしれない。私だって、そんな理想のカップルや夫婦を見たことがあるわけじゃない。

でも、それでも「ちょうどよい距離」はあると私は思いたいしそれを模索したい。
「恋=愛」になる、絶妙なバランスポイント。
その解答のひとつが、小説の中にはでてくるのだが、それはここでは触れないでおく。
そのかたちが、今の社会に照らして現実的かどうかは「?」だけれど、
バランスを保つのにいったい何が必要なのか、そのヒントは提示されている。


あれー。
結局批評じみてしまったな。


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