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オセロー

2007年10月18日 22時12分00秒 | 観劇

彩の国シェイクスピアシリーズ第18弾として、さいたま芸術芸上で公演されている『オセロー』を観てきました。
このシリーズではお馴染みの吉田鋼太郎さんを初めとし、蒼井 優さん、高橋 洋さん、馬淵英里俚可さん、山口馬木也さん、壌 晴彦さん等が演じられています。
舞台は複数の階段と、舞台の袖を結ぶ橋で構成された、シンプルなものです。

イアゴーとロダリーゴーの2人が、声を潜めて何やら企みを話すシーンから始まり、これから始まるオセローに向けられた企みの緊迫した展開を予測させます。
小声で早い台詞は、神経を集中していないと聞き逃してしまいそうで、後方の席で聞き取れているのだろうかと気になってしまいました。
それでも、イアゴーの内に秘めた強い意志が、その表情からの伝わって来ます。
2人の囁きの後、大声で叫び始めると、窓を開けブラバンショーが現われます。
美しい娘のデズデモーナがオセローと結婚したことを知らされ、驚きと怒りに満ちたブラバンショーはオセローを求めて街へ出て行きます。
スキンヘッドと日焼けした肌が印象的な、将軍オセロー。
元老院議員の下に呼び出されたオセローと、ブラバンショーが顔を合わせ、ブラバンショーは元老院議員に対してオセローを訴える。
しかし、オセローの口からデズデモーナと結ばれた経緯が語られ、ブラバンショーも泣く泣く2人を認める事に。
キプロスへの派遣を元老院から求められたオセローと、同行を許されたデズデモーナ。
嵐がトルコ軍を阻み、それに乗じてトルコ軍を撃破したオセローは、祝勝と結婚の祝福とに包まれ、デズデモーナと束の間の幸福なときを過ごす。
しかし、イアゴーの企みによってオセローは妻のデズデモーナに不貞の疑いを抱き、破滅への道を進むことに。
イアゴーの妻エミリアによって真実を知ったオセローは、自らの手でデズデモーナの元へ。
高潔な武将であり、愛しい妻への深い愛情を持ちながら、信頼する部下の企みにより最愛の妻を信じられず罵倒し苦悶の表情をみせるオセロー。
吉田さんの好演が、観ているものを引込みます。
いかに厚い信頼を寄せる部下の発言といえども、最愛の妻を信じる事が出来ないのか、理解し難い部分です。
オセローへの不満を晴らすために、次々と策を出して行く悪の顔と、忠実な部下を演じ分ける高橋さんの演技も良いですね。
デズデモーナへの疑惑に悶絶し、気を失っているオセローを踏みつけているイアゴーの冷徹な表情はゾクッとします。
自身の登用やデズデモーナとの結婚に対する恨みと言うよりも、信頼を寄せていたオセローの気持ちが自分から離れた事で、キャシオーやデズデモーナへの嫉妬からなのかとも思えてきます。
若く美しく、夫への純粋な愛を貫くデズデモーナ。
蒼井さんのイメージは良いのですが、滑舌が悪い場面が時々あり、それがちょっと気になったのが残念です。
柳の歌を歌う切ないシーンは、観ている方が辛くなります。
芯の強さと優しさをもった、デズデモーナに使えるエミリアを演じる馬淵さんの方が、私には印象的でした。
今回は登場シーンが少なく、少々ものなり無かったのですが、相変わらず壌さんの声は素敵ですね。
この声を聴いていると、壌さんのワークショップに参加してみたくなります。
仕事が、休みを計算できるものだったら・・・。
さいたま芸術劇場の場合、なぜか下手寄りの同じ様な席となることが多いです。
今回は脇の通路を役者さんが通るシーンが何度かあり、衣装が触れることもしばしば。
ちょっと、得をした気分です。

■オセロー
演出      蜷川幸雄
オセロー    吉田鋼太郎
デズデモーナ  蒼井 優
イアゴー    高橋 洋
エミリア    馬淵英俚可
キャシオー   山口馬木也
ブラバンショー 壌 晴彦
ロダリーゴー  鈴木 豊


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