読書の感想です。
「かわいそうなアレクセイエフ」
「みじめなニジンスキー」
抱擁、あるいはライスには塩を/江国香織
久しぶりの江国作品でした。期待以上に良かったです。
なかなかきらきらひかるを超えられないと思っていたのですが、この作品は
ある意味でよい期待の裏切り方だったように思います。
きらきらひかるは、これまでにない恋愛の形を提示した作品。
抱擁、あるいはライスには塩をは、従来の日本の家族とは異なる家族のあり方を提示した作品。
けれども、新しい家族のあり方を提示したものではなかった。
僕には、忘却の河のほうが家族における孤独というものを教えてくれたように感じます。
少し距離のある関係のある方が、comfortableで素敵だ、というふうにしか考えられなかったのに、いいえ結婚をするのだ、わずらわしいことをひきうけるのだ、ともに現実に塗れて戦うのだ、と無謀にも思えてしまったあの不思議な歪を、私はいまでも美しいものだったと思っている。美しくてばかげていて幸福ななにかだった、と。
いくつもの週末/江国香織
結婚した人からの電話だったのです。大ケンカしたのだと。
この本を読んでみるように薦めました。
僕にしてみれば、日常のささいなこと(当事者には世界の終わりであっても)で、
感情を爆発できる相手がいること、必ず戻ってくるという確信がある相手がいること
は贅沢な悩みだと思うのです。
もう連絡はしないようにします。
電話中に、自分がとても惨めで、取り残されたように感じたから。
(きっと相手には理解できないだろうけど)
江国作品を読むと、純粋に自己の要求に素直になれる気がします。
社会から、世間から、常識から開放されるような、心が透き通るような気がします。
そして、僕は何も変わらない。
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