魔法の弾丸

自己に対する選択毒性

世界は「私」という奇跡で満ち溢れている

2009-10-24 09:51:17 | Weblog
ポストコロニアリズムとフェミニズムの文学がなぜおもしろいのかといえば、彼らにはほんとうに言いたいことがあるからです。その位置にいる者のみが感じる思いを伝えたいと、彼らはずっと欲してきた。つまり、強い表現欲をもっていたけれども、その手段がなかったのです。そんな状態に置かれてきた人たちが、手段と機会を与えれられれば当然何かを書こうとする。長いあいだ弱者としていじめられてきたがゆえの思いを、単なるルサンチマン(うらみつらみ)ではなく、表現を鍛えたうえで普遍性につながるように書くのが文学というものですが、それがこの時期は可能になったのです。

池澤夏樹の世界文学ワンダーランド/池澤夏樹

前作の世界文学を読み解くは、過去から現代に続く文学の解説だった。
今作は、これからの世界と文学の方向性や在り方を示唆するような作品の解説だった。紹介されている本はすべて読んでみたいけれど、その時間と忍耐を賭けるだけの情熱が、もはや僕には残っていないのかもしれません。だからこそ、読者にそのエッセンスのみを届ける著者のような存在は、今のような僕には必要不可欠であると思います。過去-現在-未来の世界を自在に見通すエビデンスに基づいた確かな視点からの俯瞰が。


 

ほんとうに言いたいこと、伝えたいことがありますか?