オアシスのライヴに行ってきた。何回目だろう。初めて行ったのは1998年の武道館、次が2000年の横浜アリーナ、その次が2002年の代々木体育館だから、4回目か。
いきなり結論を言ってしまうと、4回観た中で、一番感動し、興奮したのは、1998年の武道館ライヴだ。会場に向かう道中からもうドキドキで、笑っちゃう話だけど、電車の中から足が震えてたと思う。こんなことは滅多にない。初めて観るからってのも勿論あったんだろうけど、そんなこと関係ないくらい、あのとき「何か」がきてたなぁ。あれは何だったんだろう。
あれからオアシスはメンバーが代わって、今やオリジナル・メンバーはノエルとリアムのギャラガー兄弟しか残っていない。1999年にボーンヘッド(ギター)とギグジー(ベース)が脱退して、ゲム(元ヘヴィ・ステレオ)がギタリスト、アンディ・ベル(元ライド~ハリケーン#1)がベーシストとして加入。そして、アラン・ホワイト(2代目ドラマー)が脱退。今、正式メンバーとしてのドラマーはいない。
こんな事実を挙げるまでもなく、オアシスが「あのころ」と違うのは分かっているつもりだし、「あのころ」を求めるつもりもない。だけど。
これが初めて観るオアシスのライヴだったのなら、それはそれで感動するのだろう。初めて生で聴く「リヴ・フォーエヴァー」に「シガレッツ&アルコール」に「ワンダーウォール」に「シャンペン・スーパーノヴァ」に「アクイース」に「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」に「ロックンロール・スター」に、感動するに決まっている。いま私はあの曲を生で聴いているんだ! 彼らと一緒に歌っているんだ!ってね。だけどさ、言わせてもらえば、「リヴ・フォーエヴァー」も「シガレッツ&アルコール」も「ワンダーウォール」も「シャンペン・スーパーノヴァ」も「アクイース」も「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」も「ロックンロール・スター」も、こんなもんじゃないよね? こんなもんじゃなかったよね?
そりゃ、良い曲だよ? カッコ良いよ? だけど、ど~~~うしても「ただやっているだけ」にしか聴こえなかった。演奏の上手い下手とか、歌の上手い下手とか、もうそういうことじゃないんだ。武道館でオアシスを観たときは、どの曲にも、どの演奏にも、それを鳴らす意味があった。なんだか分からないけど、あった気がしたんだよ、意味が。いや、意味だかなんだか分からないけど、「何か」があったんだよ。
この日は、最新作『ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース』からも結構演奏されたが、それ以外はファーストとセカンドの曲が中心のセットリストだった。でもそれは、例えば、ポール・マッカートニーがビートルズの曲を演奏するそれとは、明らかにモチベーションが違った。ポールは、ビートルズの曲を「ただやっているだけ」のようには演奏しない。ポールのライヴが、あれだけビートルズの曲をやりながらも、懐メロ大会っぽくならないのは、そして、ビートルズをリアルタイムで体験していないはずの若者の心まで熱くさせるのは、楽曲の良さだって勿論あるけれども、ポールがあんな風に演奏し、歌うからなんだよ。私も、生意気にも「ビートルズの曲も良いけど、ウィングスとかソロの曲ももっと聴きたいな」とか思ったりするけど、あれを前にしたら、負けましたってなっちゃうもん。なんつーかポール、ビートルズの曲に負けてないんだもん。
この日のオアシスは、ファーストやセカンドの曲に負けちゃってる気がした。あれじゃあ、どうしても過去に引っ張られてしまうし、こんなことは言いたくないけど、それこそ、下手したら懐メロ大会になっちゃいそうだよ。これは、私が「あのころ」を知っているからそうなってしまうだけなのだろうか。いや、やっぱり、伝わるもんは伝わると思う。そんなの本人が作った曲なんだから、いくら演奏したって、どう演奏したって、本人の自由だろ?って話かも知れないけど、そんな大切な、自分で作った曲を「ただやっているだけ」って、それで良いの? 勿論、ノエルやリアムに心境を聞いたわけじゃないから、本人としては「そんなことない」って話かも知れないけど。それに、私の席からは表情などこれっぽっちも見えなかったので、もっと見えてたら違う感想を持てたかも知れないけど。だけど、今回、ドラムにザック・スターキー、キーボードにジェイ(元クーラ・シェイカー)というサポート・メンバーだったんだけど、その2人の方が目立ってるってどういうことよ? ザック、カッコ良かったぁ。私、今日はザックを観にきたのかしら?って思っちゃったよ。ジェイも良い味出してたなぁ。私、ジェイだって知らなくて、ライヴ終わってからジェイだったって知ったんだけど(遠い席だったもので)、それ聞いて、「なるほどぉ」って思ったもん(クーラ・シェイカー大好きでした)。それに比べて、ゲムとアンディは……。控えめが良いと思って、ああやってるのかな。2人とも、フロントマン経験者だけど。最新作では作曲だってやってるじゃん。なのに、どっちがどっちだか分かってない人も結構いるみたいだったよ? それで良いの? ううーん。
いずれにせよ、どんなに良い曲であっても、「ただやっているだけ」じゃ、「1回観れば良いや」ってことになっちゃうよ?(1回は観る価値ありって言い方もできますが) 私は、武道館でのオアシスを観ているし、ライヴは観なくとも「あのころ」のオアシスにやられちゃった人は、なかなかどうして、抜けられないっていうか、どうしてもまた来たら行っちゃうってのがあるかも知れないけど、もし私が「今」オアシスに興味を持って今回のライヴに行ったのだとしたら、「もう次は良いかな」って思ってたような気がしないでもない。「また観たい!」って思えてたかどうか、自信がない。でも、それでも、やっぱりカッコ良いし、また来たら、行っちゃう気もするけど。どうしようもないなぁ(笑)。
そりゃね、分かる気もするんだ。オアシスは、「俺は絶対ロック・スターになってやる!」「俺はロック・スターなんだ!」っていう、そういうところが魅力でもあったんだもん。でも今は、何もリアムが、「今夜、俺はロックンロール・スターなんだから」って息巻いて歌わなくったって、現にロックンロール・スターなんだもん。こんな可笑しな話もないよね。もう十分有名だし、よく分からないけど、一生働かなくったって十分暮らしていけるほどの財産もあるんだろう。私はそんな立場になったことがないので分からないけど(笑)、そういう状況で、「やる気」とか「モチベーション」とか「ハングリー精神」とか何でも良いけど、そういうのを保つのって凄く難しいんだろうね。ロックンロール・スターになってしまった今、気持ちの持って行きどころが難しいというのも分かる。そう考えると、例えば、永ちゃんの借金なんかは、むしろ良かったのではないか?とさえ思えてくる。って、不謹慎ですよね、すみません。永ちゃんの場合、返せたのだから良かったんですもんね。で、話を元に戻すと、それでも、もう十分有名で、一生暮らせる分の財産を得てしまった人なんて、他にもいる。そして、それでも、「この人は一体どこからこんなやる気が出てくんの? この人を突き動かしてるものは一体何なの?」と思わせてくれる人はいる。オアシスは、そうなれないのだろうか……。
それでもね、全然良くなかったわけじゃないんだよ。アンコールの1曲目だったかな、インドっぽいジェイのキーボードにはじまって、ノエルがローリング・ストーンズの「黒く塗れ!」をちょこっと弾いてからやった最新アルバムからの曲(どの曲か忘れた。2曲が混ざってる記憶かも…汗)とか良かったし。どの曲か忘れてるくせに言っても説得力ないんだけどね(笑)。あと、初めて「ザ・マスタープラン」を聴けたのは嬉しかったし。「レット・ゼア・ビー・ラヴ」はやって欲しかったけど。まぁ、それでも、オアシスのことは好きだよ。音楽がたくさん溢れている時代に生まれた者だからこそ、ぶつかる壁、なのかねぇ? だとしたら、だからこそ、それをぶち破っても欲しいけどね。でも、そうじゃなくて、問題はもっと根本的なところにあるような気がする。
いきなり結論を言ってしまうと、4回観た中で、一番感動し、興奮したのは、1998年の武道館ライヴだ。会場に向かう道中からもうドキドキで、笑っちゃう話だけど、電車の中から足が震えてたと思う。こんなことは滅多にない。初めて観るからってのも勿論あったんだろうけど、そんなこと関係ないくらい、あのとき「何か」がきてたなぁ。あれは何だったんだろう。
あれからオアシスはメンバーが代わって、今やオリジナル・メンバーはノエルとリアムのギャラガー兄弟しか残っていない。1999年にボーンヘッド(ギター)とギグジー(ベース)が脱退して、ゲム(元ヘヴィ・ステレオ)がギタリスト、アンディ・ベル(元ライド~ハリケーン#1)がベーシストとして加入。そして、アラン・ホワイト(2代目ドラマー)が脱退。今、正式メンバーとしてのドラマーはいない。
こんな事実を挙げるまでもなく、オアシスが「あのころ」と違うのは分かっているつもりだし、「あのころ」を求めるつもりもない。だけど。
これが初めて観るオアシスのライヴだったのなら、それはそれで感動するのだろう。初めて生で聴く「リヴ・フォーエヴァー」に「シガレッツ&アルコール」に「ワンダーウォール」に「シャンペン・スーパーノヴァ」に「アクイース」に「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」に「ロックンロール・スター」に、感動するに決まっている。いま私はあの曲を生で聴いているんだ! 彼らと一緒に歌っているんだ!ってね。だけどさ、言わせてもらえば、「リヴ・フォーエヴァー」も「シガレッツ&アルコール」も「ワンダーウォール」も「シャンペン・スーパーノヴァ」も「アクイース」も「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」も「ロックンロール・スター」も、こんなもんじゃないよね? こんなもんじゃなかったよね?
そりゃ、良い曲だよ? カッコ良いよ? だけど、ど~~~うしても「ただやっているだけ」にしか聴こえなかった。演奏の上手い下手とか、歌の上手い下手とか、もうそういうことじゃないんだ。武道館でオアシスを観たときは、どの曲にも、どの演奏にも、それを鳴らす意味があった。なんだか分からないけど、あった気がしたんだよ、意味が。いや、意味だかなんだか分からないけど、「何か」があったんだよ。
この日は、最新作『ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース』からも結構演奏されたが、それ以外はファーストとセカンドの曲が中心のセットリストだった。でもそれは、例えば、ポール・マッカートニーがビートルズの曲を演奏するそれとは、明らかにモチベーションが違った。ポールは、ビートルズの曲を「ただやっているだけ」のようには演奏しない。ポールのライヴが、あれだけビートルズの曲をやりながらも、懐メロ大会っぽくならないのは、そして、ビートルズをリアルタイムで体験していないはずの若者の心まで熱くさせるのは、楽曲の良さだって勿論あるけれども、ポールがあんな風に演奏し、歌うからなんだよ。私も、生意気にも「ビートルズの曲も良いけど、ウィングスとかソロの曲ももっと聴きたいな」とか思ったりするけど、あれを前にしたら、負けましたってなっちゃうもん。なんつーかポール、ビートルズの曲に負けてないんだもん。
この日のオアシスは、ファーストやセカンドの曲に負けちゃってる気がした。あれじゃあ、どうしても過去に引っ張られてしまうし、こんなことは言いたくないけど、それこそ、下手したら懐メロ大会になっちゃいそうだよ。これは、私が「あのころ」を知っているからそうなってしまうだけなのだろうか。いや、やっぱり、伝わるもんは伝わると思う。そんなの本人が作った曲なんだから、いくら演奏したって、どう演奏したって、本人の自由だろ?って話かも知れないけど、そんな大切な、自分で作った曲を「ただやっているだけ」って、それで良いの? 勿論、ノエルやリアムに心境を聞いたわけじゃないから、本人としては「そんなことない」って話かも知れないけど。それに、私の席からは表情などこれっぽっちも見えなかったので、もっと見えてたら違う感想を持てたかも知れないけど。だけど、今回、ドラムにザック・スターキー、キーボードにジェイ(元クーラ・シェイカー)というサポート・メンバーだったんだけど、その2人の方が目立ってるってどういうことよ? ザック、カッコ良かったぁ。私、今日はザックを観にきたのかしら?って思っちゃったよ。ジェイも良い味出してたなぁ。私、ジェイだって知らなくて、ライヴ終わってからジェイだったって知ったんだけど(遠い席だったもので)、それ聞いて、「なるほどぉ」って思ったもん(クーラ・シェイカー大好きでした)。それに比べて、ゲムとアンディは……。控えめが良いと思って、ああやってるのかな。2人とも、フロントマン経験者だけど。最新作では作曲だってやってるじゃん。なのに、どっちがどっちだか分かってない人も結構いるみたいだったよ? それで良いの? ううーん。
いずれにせよ、どんなに良い曲であっても、「ただやっているだけ」じゃ、「1回観れば良いや」ってことになっちゃうよ?(1回は観る価値ありって言い方もできますが) 私は、武道館でのオアシスを観ているし、ライヴは観なくとも「あのころ」のオアシスにやられちゃった人は、なかなかどうして、抜けられないっていうか、どうしてもまた来たら行っちゃうってのがあるかも知れないけど、もし私が「今」オアシスに興味を持って今回のライヴに行ったのだとしたら、「もう次は良いかな」って思ってたような気がしないでもない。「また観たい!」って思えてたかどうか、自信がない。でも、それでも、やっぱりカッコ良いし、また来たら、行っちゃう気もするけど。どうしようもないなぁ(笑)。
そりゃね、分かる気もするんだ。オアシスは、「俺は絶対ロック・スターになってやる!」「俺はロック・スターなんだ!」っていう、そういうところが魅力でもあったんだもん。でも今は、何もリアムが、「今夜、俺はロックンロール・スターなんだから」って息巻いて歌わなくったって、現にロックンロール・スターなんだもん。こんな可笑しな話もないよね。もう十分有名だし、よく分からないけど、一生働かなくったって十分暮らしていけるほどの財産もあるんだろう。私はそんな立場になったことがないので分からないけど(笑)、そういう状況で、「やる気」とか「モチベーション」とか「ハングリー精神」とか何でも良いけど、そういうのを保つのって凄く難しいんだろうね。ロックンロール・スターになってしまった今、気持ちの持って行きどころが難しいというのも分かる。そう考えると、例えば、永ちゃんの借金なんかは、むしろ良かったのではないか?とさえ思えてくる。って、不謹慎ですよね、すみません。永ちゃんの場合、返せたのだから良かったんですもんね。で、話を元に戻すと、それでも、もう十分有名で、一生暮らせる分の財産を得てしまった人なんて、他にもいる。そして、それでも、「この人は一体どこからこんなやる気が出てくんの? この人を突き動かしてるものは一体何なの?」と思わせてくれる人はいる。オアシスは、そうなれないのだろうか……。
それでもね、全然良くなかったわけじゃないんだよ。アンコールの1曲目だったかな、インドっぽいジェイのキーボードにはじまって、ノエルがローリング・ストーンズの「黒く塗れ!」をちょこっと弾いてからやった最新アルバムからの曲(どの曲か忘れた。2曲が混ざってる記憶かも…汗)とか良かったし。どの曲か忘れてるくせに言っても説得力ないんだけどね(笑)。あと、初めて「ザ・マスタープラン」を聴けたのは嬉しかったし。「レット・ゼア・ビー・ラヴ」はやって欲しかったけど。まぁ、それでも、オアシスのことは好きだよ。音楽がたくさん溢れている時代に生まれた者だからこそ、ぶつかる壁、なのかねぇ? だとしたら、だからこそ、それをぶち破っても欲しいけどね。でも、そうじゃなくて、問題はもっと根本的なところにあるような気がする。