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あみちゃん

もう十数年前のことだ。
バスに乗っていたら、母娘連れの声が聞こえて来た。
幼い女の子が「あみちゃんが食べたい!」と言い出した。
「あみちゃん、って?」お母さんは困って聞き返す。
「あみちゃんが食べたい! あみちゃん!」女の子は泣き出す。
しばらくなだめたが、全くダメで、困ったお母さんは小さなパンだかお菓子だかを取り出して渡した。
「ほうら、あみちゃんだよ。おいしいよ。はい。」
「あみちゃん食べたい!」と言っていたその子は、渡されたパン(?)を頬張ると
「うん。」と言って急におとなしくなった。黙々と食べる。
あみちゃんは、それだったのか?
小さい子は駄々をこねていても、その代用になるものを渡されると不思議に納得したりする。
私の孫娘も、バナナをもっと食べたいと泣いていたのに、代わりに海苔を渡されておとなしく食べている、などということがあった。
それにしても「あみちゃん」は、本当は何を指していたのだろう。
本人も母親も、そんなこともうわからないだろう。
もう永遠に分からない疑問である。
そんなことを、たまたまバスに乗り合わせただけの人間が今でも、
「ジャムパンかな、ハムサンドかな、(お)ミカンかな」などとふと考えているのは
まったくもって馬鹿げたことだ、とは我ながら思う。
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