助ぶ六゛

楽しかったこと、おいしかったもの、忘れられないこと

珊瑚の夜

2006年03月29日 | 助六の創作
彼女は言った。もし親知らずを抜いてしまっても、今までと変わらず愛してくれる?
僕は答える。もちろん。それに必要とあれば、代わりにとびっきり頑丈な義歯をプレゼントするよ。もしその時に材料の原油が枯渇していたら、近くのビーチにサンゴを埋めて、いちから作り出してあげる。
彼女はふんっと小気味よく鼻音をたてて、胸元を隠していた毛布を鼻のところまで上げた。

その頃、鴨川シーワールドに住むバンドウイルカのオバンドー君は、昼間に輪くぐりを失敗したことを思い出して、プールの水面を尾びれでぴしゃりと叩いた。