メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『理由』(2004)

2013-09-18 19:23:10 | 映画
『理由』(2004)
原作:宮部みゆき 監督:大林宣彦
出演:勝野洋、岸部一徳、伊藤歩、加瀬亮、宮崎あおい、風吹ジュン、柄本明、小林聡美 ほか

友だちが宮部みゆきさんの小説のファンで、わたしは一度も読んだことがないけど、映画で観てみようと思って借りてみた。
わざわざタイトル下に「THE MOVIE」て書いてあったのは、最初にドラマで放送されたからなのか。
陰惨なシーンが多いかと思って身構えてたら、それよりも周りの証言によって次々と人がつながり、
事件の背後にあるもっと大きな影に焦点があたっていることが分かる。

全体の色が昭和っぽくて、「ガールフレンド」などの古い言い回しや、
今どき電球みたいのをつけてたりするのもフシギ。
章の合間に、都市の風景を挟んで、ジャズを流しているのも効いてる。
今は亡き南田洋子さんが、試写会でも元気に喋っていたのが感慨深かった。



▼story
荒川区の長い歴史の紹介からはじまる。
1996年。下町の小さな旅館「片倉ハウス」に、一家4人殺しの重要参考人・石田直澄がいると、交番の警官に言う少女・片倉信子。
その後は、事件の模様をテレビが取材して、関係者が次々と証言していくという展開。

事件は、大嵐の晩、高級マンション「ヴァンダール千住北ニューシティ」のウエストタワー20階から若い男性が落ちたことが発端となる。
管理人が110番通報する。男はどうやら2025号室の小糸一家だと分かり、警官が入ると3人が惨殺されていた。
しかし、この部屋の持ち主・小糸信治の姉に死体を確認してもらうと、弟ではないと証言。
この部屋に住んでいた7人全員が他人同士の集まりだった。。。



途中、映画の撮影シーンまで入ってて、面白い試み。終始、西日のような照明も特徴的。
石田の背後の真っ赤な光が清順映画みたいだった。

「占有屋」「競売」「買受人」「執行妨害」「売家」など、家に関する専門用語がたくさん出てきて、裏のシステムが垣間見れる。
島根出身の石田が家にこだわっていたことが深い根としてある。
「足入れ婚」なんて言葉も初めて聞いた。正式に嫁にいれる前に、その家にふさわしいかどうか見定めるため、
いわば“お試し期間”として住まわせ、姑らの気に入らなかったら返すってシステム。どんだけ冷遇されてたんだ、女性は/驚
「買取屋」なんて商売も初耳。

石田は、事件後に出版社からも追われる。その編集者のセリフ。
「ウソが入っても構わない。ウソをまじえなきゃ、辻褄なんか合やしない。本当の理由なんて分かるはずありません。
 人間はね、だれでもそれぞれ物語りをつくって、それでようやく生きてるんですから」

ラストは、出演者による♪殺人事件が結ぶ絆~ っていう気味の悪い歌が流れる。




DVD特典「理由が映画になった理由」
大林監督ナレーションによるメイキング。大林さんはいつでもどこでもよく喋るんだよね

「映画ってそもそもそうゆうものですよね。この画面に映っているものが本当だと思われちゃ困るわけ。
 みんな目の前に映っているものがリアリズムだと思っては困るんだよ。
 本当を描くのが映画じゃない。ウソ、ウソ、ウソの技を重ねて、ひょいっとウソから出た誠、
 つまりヒトの目にはみえない心の中を見れたら、その時に映画になるんだよね」

映画化不可能と言われた小説を、敢えて、原作通りに撮る。
大林「インディーズ歴60年ですから。誰も観たことのない実験的な映画を僕らも観てみたかったんだよね」
登場人物が100人以上。それぞれが主観で証言する。その矛盾もとりこんだところが面白味。

監督の要求で役者全員ノーメイクで出演!
だからか?あるいは撮り方のせいか、あんな女優さん、こんな女優さんが出ていたって後になって分かるくらい、誰が誰だか分からなかった
「シワもシミもそのまま出す」
セリフがモノローグみたいで、出演者がみな棒読みっぽいのも狙いか?

台本はなんと250P!(通常は150Pくらい)それを32日間で撮ったって凄い!
台本にびっしりと書き込まれた字や絵コンテも細かい/驚
昼間にわざわざ周りをシートで囲んで暗くして、照明で朝焼けを撮るなんて作業もしていた。
小説の“紙背を読む”、生活感を出すセットの工夫もハンパない。

「俳優さんは与えられた部分のみを生きる。前後の関係は分からない。生きるってそうゆうことでしょう?
 あまり分かりすぎると全てが理屈になるんです。よく分からない中で人は一生懸命生きてるんですよね。
 僕はそれがドキュメンタリータッチだと思うんです」(大林)

撮影に関わる女性が増えたということで、女性の助監督さんや、舞台製作スタッフさんなどを丁寧に紹介。

原作にたくさんの少女が出てくることにも触れる。
「少女が駆け出す。宮部さんは、その先にある日本の姿に希望を見出したかったのでは?」(大林)
ところで、なぜ信子は交番に行く時もビニ傘を持っていったのかな???

試写会でも監督はすっかり司会者になって喋る、喋る!w
日本だけじゃなくて、ベルリンでも。人が好きなんだな。
「いろんな人と会って、会って、会って・・・映画は約束だからね」(大林)

このメイキング自体がドキュメンタリーフィルム。監督の喋りは詩だな。


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「我ら人民は共和国を取り戻さなければならない」@スーパープレゼンテーション

2013-09-18 11:29:24 | テレビ・動画配信
スーパープレゼンテーション

英語教材として利用してる人も多いんだな。詳細に記している人もいた↓↓↓
TEDのすゝめ

【ローレンス・レッシグ「我ら人民は共和国を取り戻さなければならない」】

 

民主主義の危機の話。
献金の上限をなくす法律ができてから少数の富裕者(人口のたった0.05%)が政治に影響を与えるようになった。
政治家は、時間の30~70%を政治資金集めに費やしているのが現状。
これでは建国の理念を守っていない。政府とは本来、人民だけに依存するものなのに、資金提供者にも依存するようになった。
そして、政府の力を維持することが政治家の主目的になっている。

 

国民は、知らないわけではないが、現状の腐敗を無視している。
すごい時間をかけて少数から資金を集めているのを、もっと少ない時間で多くの人から集めさせればいい。
小口の個人献金システムなら、国民に頼らざるを得ない政府に変えることができる。
レッシグさんは、献金に使えるチケットを配る、1人50ドルという案を出している。
影響力を分散させ、腐敗が一掃される。これは解決できる問題。

 

この話のポイントは、ムリだと諦めて、問題に対して見て見ぬフリをしないこと。
変えられると信じて、みんなが1つになること。それが愛だから。
「愛国心」てゆってたけど、国を地球、宇宙にまで広げて使える考えだと思った。

私が思うに、こないだアマンダがゆってた「クラウド・ファンディング」を政治にも応用したらどうかな?
なにが必要か、問題を個人が投稿して、それをみんなで閲覧して、賛成した課題に定額を寄付する約束をする。
その約束がより多く集まったものから実際お金を集めて、必要な献金が集まったら打ち止めて実行に移す。
そうすれば誰も必要じゃない道路や建物はなくなるし、1番必要とされている課題に
ムダなくお金が集まって、効率的にことが進むし、金を食う政治屋やシステムも減らせるし。

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「サンゴから学ぶ美しい数学」@スーパープレゼンテーション

2013-09-18 11:29:23 | テレビ・動画配信
スーパープレゼンテーション

【マーガレット・ワートハイム「サンゴから学ぶ美しい数学」】
さんご礁を編み物で表現することは、手芸はもちろん、数学、海洋生物学、環境運動の要素も含みもつ。



さんご礁は繊細な生物で水温が上昇すると、病気になり、白化してしまい、その状態が続くと死んでしまう。
それがグレートバリアリーフをはじめ世界中で発生している。

 

数学者が証明できなかった「双曲幾何」は、実は自然界にもともとあふれていた。サンゴ、海藻、ウミウシ・・・
これらは「平行線公準」を否定できる。一般相対性理論の土台であり、宇宙の形を解明するカギとなる。
数学者は、数学を記号の学問と考え、身近にあるレタスには目を向けなかった。

手編みサンゴは進化しつづけている。生物の進化に終わりがなく、遺伝子の変異によって新たな生物が生まれるように。
私たちは、情報を単に伝えるだけじゃなく、モノを使った「遊び」から学ぶことができる。
「大人の幼稚園」。幼稚園教育を確立したのは、19Cの結晶学者フレーベルで、遊びを通した教育が大事だと考えた。

このスピーチのポイントは、
1.数学者が数式で表せないから「あり得ない」とした事象を、女性が手編みで示したってところ。
2.自然界を見れば、すでに溢れているってこと。
3.教育は、情報をただ詰め込むだけじゃなくて、実際に五感を使って「楽しく」学べるということ。
4.たくさんの人が力を合わせたら、最初に想像したよりさらにたくさんのことが生まれるということ。

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「医師の手が持つ力」@スーパープレゼンテーション

2013-09-18 11:29:22 | テレビ・動画配信
スーパープレゼンテーション

 

【エイブラハム・バルギーズ「医師の手が持つ力」】



コナン・ドイルがシャーロック・ホームズのモデルにしたのは、恩師ジョゼフ・ベル。
ベルは患者を正確に観察して、見事にいろいろ言い当てたという。

 

実は、「触診」は意外と歴史が浅い。1700年代後半に「打診法」を考案したのはアウエンブルッガー。
その1~2年後にラエネクが「聴診器」を発明。

 

その前までは理容師が外科的処置をしていた。(原始的ってコワイ・・・瀉血とかあり得ない/涙

 

自分が研修を受けていた頃は、ちゃんと患者と向き合っていたが、最近はパソコンと向き合っている医者ばかり。
iPatient(PC内の医療データ)は、手厚いケアを受け、生身の患者はほったらかしにされて困っている。

患者が医者に誰にも言えないようなことを打ち明け、服を脱いで体を触ってもらう、これは極めて重要な儀式です。
ざっと診て終わり・・・それでは患者との信頼関係は築けません。



エイズの末期患者は、自分から胸を見せようとしてくれた。
もはや肺や心臓に異常がないかを調べるためではない。
医師が患者にあるメッセージを伝える儀式なのだ。

“ずっとサポートするよ。見放したりしない。最後までそばにいるよ”という。


とても感動的なスピーチだった。バルギーズさんは素晴らしいストーリーテラーでもある。
私も、パソコンばかり見て、患者と目すら合わせない医師とは信頼関係を結びづらいと思っている。
最新機器や技術も必要だけど、医学も人とのコミュニケーションであり、サービス業だ。
そして、手がもつパワー。母が子に触ったら軽い腹痛くらい治せるもんね。

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「グローバル・ビレッジの1人の女性として」@スーパープレゼンテーション

2013-09-18 11:29:21 | テレビ・動画配信
スーパープレゼンテーション

【サラ・ジョーンズ「グローバル・ビレッジの1人の女性として」】
私たちは皆、それぞれの身体的特徴や人生経験をもっている。
どこまで自分で、自分を作れるのか。自分とは何なのか?
どのくらい柔軟に自分を変えられるのか?
私はキャラクターを演じるという方法で自分を変えられます。

ユダヤ人、ドミニカ系アメリカ人(働く母)、フランス人、インド人(人権運動家)、中国人(butが多いな)、、、
など、サラさんの身近にいる女性たちを1人で演じてみせたショーは面白かった!
それぞれ自分の仕事を持って、たくましく生きている女性たちの姿が見えてくるようだった。




「TED」の観客って高額な料金を支払って見ているってことは、もろ富裕層なのでは?驚
それを無料で公開していることに意義があるのか。

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