原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

司法試験終了から法曹になるまで

2010-12-26 | 新司法試験制度・情報など
辰巳法律研究所HPからリンクを貼ってもらい,ここ数日で読者の方が増えてくれたようです(笑)初学者の方にもかなり見ていただけるようになったのでしょうか。

そんなこともあって(?),今日は,意外に知られていない,司法試験から先の話を。実際に,どういう過程を経て法曹になるのか。受験生の皆様は,近未来の自分をイメージして,モチベーションを高めてください。

まず,5月に司法試験です。5月の中旬の水曜(1日目),木曜(2日目),金曜(中休み),土曜(3日目),日曜(4日目)のスケジュールで行われます。1~3日目が論文式試験,4日目が短答式試験で,延べ22時間30分(論文:17時間+短答:5時間30分)の試験になります。

6月上旬,短答式の合格発表があります。これは,個別の通知(郵送)です。自己の点数,平均点などがわかります。

そして,約3か月の生殺し期間(?)を経て,9月上旬に最終合格発表があります。これは,法務省等の掲示板,ネットでの発表となります。例年,全国ニュースとして報道されます。成績は,後日,個別の通知がなされます。

発表があると,その1週間後くらいに合格通知の交付があります。法務省に取りにいくか,郵送で受け取ります。ちょうどその頃,修習応募関連資料が郵送されてきて,ここからが忙しい!健康診断書の提出,(成年被後見人などの)登記がされていないことの証明書の提出,修習地の希望申述書の提出など…。ものすごくバタバタします。

なお,修習地がどう決まるかですが,これは運というかめぐり合わせです。一応,希望は6箇所まで出せます。もっとも,人気の高い修習地の順に3つのグループに分けて,うち2つずつ,計6箇所の希望が出せます。ですから,東京・横浜(第1グループ)で勝負して敗れると,必然的に第2グループ以下の修習地になります。何らかの理由があれば希望が通りやすくなり,基本的には「子育て」「介護」などの理由があれば第一希望が通ります。修習予定者がよく書く理由に,「婚約中」(←婚約していなくても多くの人が書いてしまうと言われている。ま,そんなに多くの人が婚約中とは考えがたいですよね:笑)があるのですが,最近はあまりにもこの理由が多くなったため,これだけでは通らないようになってきたそうな。

以上の希望をもとに,10月中旬に修習地が発表されます。遠隔地になった場合は,これより家探し&引越し準備。修習地によって異なりますが,11月上旬にガイダンスがあって,一度修習地に行くことになるので,その際にだいたい家を決めます。1泊か2泊する人が多いですかね(←仕事をしている人にはキツイ!)。大変ではあるのですが,知らない街,全くゆかりのない街で修習するのもいいもんですよ(私がまさにそうです)。

…,忘れてました。10月下旬にいわゆる「白表紙」(←修習で使う教材)と事前課題が送られてきます。白表紙は段ボール1箱くらいどーんと送ってきてくれます。事前課題は,わりとしんどいです。

11月下旬,いよいよ修習開始。修習は,分野別実務修習(刑事裁判・民事裁判・検察・弁護の4分野)がそれぞれ2か月の計8か月間,選択修習(それぞれの希望進路に応じた修習)が2か月,集合修習が2か月の計1年間です。分野別実務修習と選択修習が個別の修習地で行われ(だから,修習地で過ごすのは10か月),集合修習は埼玉県和光市です。刑事裁判修習では記録読み+傍聴を経て判決起案をしたり,検察修習では実際に取り調べをしたりと,実務に足を突っ込む,それが修習です。やっぱり,本を読んで勉強する受験期間よりは面白いし楽しいです。

1年間の修習を経て,翌年の11月下旬,いわゆる「二回試験」が行われます。司法試験合格で得られるのは「修習生となる地位」であり,この二回試験に合格してはじめて「法曹となる地位」を取得することができます。二回試験の合格率は90%強ですが,司法試験に合格した人たちの中での数字ですから,単純な数字以上の難しさがあると言われます(不合格の場合は,現在のところは,翌年8月の旧司組の二回試験を受験する)。

12月中旬,二回試験の発表です。二回試験の発表があったら,修習先(裁判所・検察・法律事務所)にあいさつ回りにいくのが慣例だそうな。当然,その晩は謝恩会となり…。酔いつぶれるかどうかは知りませんが,こうした過程を経て,晴れて法曹!

こうした道のりを,一歩一歩,確実に歩んでいく。そんなイメージを持って勉強を進めてください!

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