原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

いざ、平成24年司法試験!

2012-05-14 | 新司法試験制度・情報など
いよいよ水曜からですね。受験生の皆さんは、それぞれに様々な心境であろうと思います。以下、私の経験からのアドバイスです。

・前日は、各科目の気になるところをざっと見る。やることが思いつかず困ったら、条文の素読みをする。

・緊張することを前提とする。人生最大の勝負だから、緊張するのが当たり前。おかしな気分になったら、「あぁ、先輩法曹もみんなこの道を通ってきたんだな」と思う。ホント、そうなんです。

・よく眠れるに越したことはないが、眠れなくても気にしない。人生最大の勝負なのだから、前日、眠れなくてもそう不思議ではない。人間、1日くらいだったら何とかなるもの。試験が始まってしまえば、毎日、どうせ疲れて寝れる。

・試験会場へは、あまり大荷物でいかない。疲れるからである。試験会場で、そんなに多くの資料を見るものではない。本当に直前に見たいものは、前日までに決めておく。

・司法試験は、自分との闘いである。周りは気にしない。気になる人は必ずいる。妙に頭をかく、貧乏ゆすりなど。勝手にやらせておくこと。

・選択科目は、とにかく落ち着いて。8頁/3時間なので、時間切れになる危険性は、そう高くはない。選択科目は、全体的にそうレベルは高くないので、とにかく基礎的事項を正確に書いていく。そうすると、結果、跳ねる。

・論文は、わからない、未知の問題が出るものである。絶対に、パニックにならない。問題文を読みながら、「やばい…」というのが最悪。問題文が頭に入っていかない。「まぁ、そう来るわな。みんな、わからんだろうな。とりあえず、事案は正確に把握しよう」という心持ちで、とにかく事案を正確に把握する。

・本当にわからなければ、条文から出発して、わかっていることから、「ちょっと」推論する。独見に突っ走ると、自滅する。自分の思考、答案に酔いしれてはいけない。「こんなことに着眼したのは、俺だけだろう」は、悪魔のメッセージである。わからない問題は、多数に埋もれるつもりで、皆が書けることを書く。そうるすると、結果、「良好な水準」となる。

・あてはめ、事案の評価は、経験則による。ただ、「あなたの」経験則ではない。「裁判官の」経験則である。裁判官が考えそうなことを書く。

・終わった科目を振り返っても、何の得もない。2時間で完全な答案が書けるはずがない。上位合格者も、必ず自分の答案に後悔している。そういうものである。

・法曹志望者なら当然書くべき、書けることを積み重ねるイメージで書く。点数は、コツコツ積んでいくものである。皆が書けることを書かないこと、それが「失点」であり、不合格へ向かってしまう。得点を積み重ねる。

・日曜まで、別の世界にいるような感覚でいい。他のことは、一切忘れていい。それが、試験に没頭するということである。

・試験会場で、体操したって何の問題もない。筋肉が硬直するので、適度な体操でもしないとしんどい。私は、廊下でジャンプをしたり(←体全体の血行が良くなってわりと良い)、マエケン(広島カープ)体操のようなことをしていた。

・高度専門職たる法曹になる覚悟を持って試験に臨む。法曹は、社会から期待され、尊敬される。その法曹になるに値する意識で、答案を書く、短答問題を解いていく。

法曹を目指す過程は、山あり谷ありだったと思います。思い出してください。

法曹になろうと思った日、初めて六法を買った日の何とも言えない誇らしさ、基本書の最初の部分を読んで「??」の連続だった日、LSに合格した日、課題に追われたLSの日々、法曹になんかならなくてもいいと思った日、弁護士バッジを見て自分もそうなりたいと思った日、裁判傍聴に行って「内側」に堂々と立ちたいと思った日、LSを修了した日、同じく法曹を目指す友人と夢を語った日のこと…。

数年前、法曹になりたいと思い立ったあなたは、この日がくることを知っていたはずです。知っていただけではない、この日を目指していたはず。もちろん、リアリティーはなかっただろうけど。

今、数年前のあなたが漠然と思い描いた司法試験が、数年前のあなたが、「やってやる!」と挑戦を決めた司法試験が、ようやく、リアリティーを持ったのです。「法曹になりたい」という漠然とした夢が、現実化できる機会がやってきたのです。

数年前のあなたは、今のあなたに何と言うだろうか。それを聞いたあなたは、数年前のあなたに、何と返すだろうか。

それを、私から平成24年修習予定の皆様へのエールとしたいと思います。

…以上、私が合格した年の試験前日、移動中の電車の中、ホテルで考えていたことです。数年前の私は、司法試験前日の私に何と言ったか。

…恥ずかしいから言いません。でも、自分なりに何か吹っ切れて、真正面から試験に挑む気分になれた言葉を、数年前の私はかけてくれました。

祈・合格!

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown ()
2012-05-15 22:11:36
何だかとても落ち着きました。そもそも司法試験を受けて合格して法曹になることを目指してきたわけですよね。ありがとうございました!頑張ります!
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お礼(返事不要) (受験生)
2012-05-15 23:35:26
励みになります。ありがとうございます。
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受け控えの者にも勇気与えて下さいました… (HW)
2012-05-17 23:52:28
受け控えを選択しましたが
先生の今回の過去の自分からみた今の自分のお話。

自分の決断に自信が持てました。

有難うございます!
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3回目 (弁護士の卵のはずの者)
2012-05-21 14:29:03
試験終了後に読ませていただきました。
7年の苦しい受験生活を振り返り、ジーンと胸が詰まる思いがしました。

私にできることはここまで。
7年間の集大成、出し切ってきました。

辛いことだらけでしたが、最後に思うことは、
極限の世界を体験できたことだけでもすばらしい経験だった、ということです。

受かったら万々歳、落ちても悔いはない!
前を向いて歩いていきたいと思います!

素敵なメッセージ、ありがとうございました!
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Unknown (はら)
2012-05-22 14:44:21
受験された皆さん、本当にお疲れ様でした。

司法試験って、人生の縮図のようなものでもあるんですよね。振り返ると、何か不思議な感じ、自分が本当にあの試験会場にいたのか疑う瞬間すらあります。それくらい、日常から離れたものなのでしょう。

HWさん

何のために受け控えたのか、常に心の内に留めておいてください。受け控えを決めた今年のHWさん自身に、しっかりと報告できる平成25年試験にしてください。

弁護士の卵になるはずの者さん

3回目の受験を終えた時の私も、同じような心境でした。法曹を目指す道のりって、本当に辛いことばかりなんですよね。理不尽なこともある。私のように、最後の最後にこれまでの努力が結実することを、切に願っております。
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