原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

似島と没収について

2011-09-01 | 刑法的内容
昨日の江田島・倉橋島に引き続き,今日は,似島というところに行ってきました。名前の由来は,「富士山に似た山がある島」だそうで,フェリーから写真を撮るとこんな感じです。



なるほど,確かに,富士山の形に似ています。広島の宇品港からフェリーで20分,島に降りるとこんな感じです。



人口1000人くらいの島で,コンビニも見当たらないのどかな島なのですが,なんでも,日本において最初にバームクーヘンが焼かれたところなんだそうな。ユーハイムというドイツ人が焼いたと言われています。

さて,没収について。このくらい知っておけば,試験においては十分だと思うことを。まず,条文。

第19条 次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物
2 没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、これを没収することができる。

没収は付加刑です。主計が言い渡される場合に付加できるのであって,没収のみを言い渡すことはできません。また,「没収することができる」と書かれていることから明らかなように,任意的なものです。とすると,

「没収は任意的であり,必要的に没収されることはない」

みたいな肢は○に見えてしまうのですが,必要的没収の規定も刑法には存在します。賄賂の没収に関する197の5です。確認しておいてください。

没収について押さえて欲しいのは,犯人から財産的利益をはく奪するという刑罰的側面もさることながら,保安・予防処分的側面も有しているということです。1項2号の犯罪供用物件(例えば,殺人に用いたナイフ)を没収の対象にしていることなどにそれが表れています。ナイフを没収されても,犯人にとって「刑罰」とは言い難いですよね。

刑罰であれば,犯人の者しか没収できないはずですが,保安・処分的な側面があるので,「犯人以外の者に属するもの」であっても,一定の場合に没収することができます(2項但書)。ここでややこしいのが,「犯人以外の者に属しないもの」(2項本文)です。これは,①犯人に属するもの,②誰にも属さないもの,③犯人以外の(第三者に)属するもの,に分類して考えるとわかりやすいです。「犯人以外の者に属しないものとは,①と②を指します。

なお,ここでの「犯人」には,共犯者(教唆犯や幇助犯を含む)も含まれます(大判M44.2.13,T13.2.9)。考えてみれば当たり前ですよね。2項は,第三者の利益との調整を図った規定であり,共犯者の利益は考慮するに値しないのです。

このあたりがわかったら,1項各号の解釈と,典型的にそれにあたるものを押さえておけばいいでしょう。

一 犯罪行為を組成した物(犯罪組成物件)

その物の存在が,犯罪行為の不可欠な構成要素となるもの。偽造文章行使罪における偽造文書,賭博罪において賭したもの,など。

二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物(犯罪共用物件)

犯罪行為に利用したもの。殺人罪の凶器,賭博に必要な道具,など。

三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物(犯罪生成・取得・報酬物件)

例えば,偽造通貨,有償で譲り受けた盗品,など。

四 前号に掲げる物の対価として得た物

例えば,盗品等を売却して得た代金。

没収については,このあたりでいいかなと思います。

台風が近づいているようです。気を付けつつ,勉強を継続してください!

<参考文献>

別冊法セミ「基本法コンメンタール・刑法<第3版>」(日本評論社)33頁以下
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