原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

大学等の法律サークルの皆様へ

大学等で、講演・定期試験対策講義・ゼミの講師をおこなっています。
講演依頼につきましては、辰已法律研究所(kika19@tatsumi.co.jp)までお問合せください。
※メール送信の際は「@」を半角にしてください。

■2016年度講演実績
・2016年04月20日 早稲田大学生協
・2016年05月08日 アジア法学生協会ジャパン学術交流会講演
・2016年10月18日 中央大学
・2016年11月11日 一橋大学
・2017年01月12日 慶應義塾大学

【判例紹介】最決平成27年3月26日(株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)

2016-02-24 | 商法的内容
【判例紹介】最決平成27年3月26日(株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)   *受験向けにコンパクトにまとめてみました。   <事案の概要> Xは,A社(非公開会社)の株主であるが,A社はY社との間で,A社を消滅会社,Y社を存続会社とする吸収合併契約を締結し,A社・Y社の株主総会において吸収合併契約が承認された(もちろん,Xは反対)。その後,X . . . 本文を読む

【判例紹介】最判平成27年2月19日(株主総会決議取消請求事件)

2016-01-20 | 商法的内容
最判平成27年2月19日(株主総会決議取消請求事件)   <事案>  Y社は,発行済株式総数は3000株である。平成19年に2000株を有していた株主が死亡し,2000株の株式はXとAが各1/2で共同相続した(遺産分割未了で準共有状態)。  平成22年11月11日,Y社の臨時株主総会で,Aが上記共有株式全部につき議決権行使をした。  なお,本件準共有株式については,会社法106 . . . 本文を読む

大塚家具の一件から会社法を学ぶ

2015-03-28 | 商法的内容
報道されている通り、社長側に軍配があがったこの一件。高校生や大学1年生にもわかるように、簡単に説明します。 まず、この一件からわかることは、「会社は社長や会長のものではなく、株主のものだ」ということ。そもそも、株式会社とは何か。株主とは何か。例えば、私が司法試験予備校を運営する会社を設立しようと思ったとします(例であって、辰巳から独立する気などさらさらないですよー笑。箱があっての講師なので笑)。 . . . 本文を読む

【改正会社法】詐害的会社分割からの債権者保護

2015-03-03 | 商法的内容
今日は,司法修習第2クールの開始式&懇親会(通称:第1回「夜の修習」)。飲みまして,私は,三島のドーミーインに宿泊。というのは,お風呂に入りたかったんですね。ビジネスホテルなんですけど,露天風呂もあって良いんです。明日の朝は,朝風呂に入って,朝食バイキングして,それで簡裁の期日に行こうと思っています。 さて,改正会社法。改正ポイントの一つに,「詐害的会社分割からの債権者の保護」があります。ご存知 . . . 本文を読む

最決平成24年3月28日(平成24年重判・商法3)

2013-11-01 | 商法的内容
【事案の概要】 第1 当事者    申立人(抗告人):Y社の株主であるX1・X2    相手方(相手方):Y社 第2 事件の経過  1 Y社は、大証二部に上場しており、同社株式は、株式等の振替に関する法律(以下、「振替法」という)所定の振替株式であった。  2 Y社は、業績不振であったため、いわゆるスクイーズアウトの方法によって訴外A社の完全子会社となる方針を決定した。  3 平成2 . . . 本文を読む

最決平成22年12月7日(平成22年重判・商法1)

2013-11-01 | 商法的内容
【事案の概要】 第1 当事者    申立人(許可抗告相手方):Y社の株主であるX    相手方(許可抗告抗告人):Y社(被買収会社)    なお、訴外A社はY社の買収会社である。 第2 事件の経過  1 Y社は、マザーズに上場していた株式会社であり、振替株式発行会社であった。  2 Y社は、同じくマザーズに上場する訴外A社と資本業務提携のため、訴外A社の完全子会社となることを決定した . . . 本文を読む

間接損害の話の続き・補足

2011-07-24 | 商法的内容
先日の間接損害の話の中で,「会社に不祥事があって,それが株価に跳ね返って…」というのが間接損害の例であるというように説明しました。先日の記事の通り,株主個人が,取締役に対して損害賠償請求できるかどうかというのは,当該株主が受けた損害が直接損害であるか間接損害であるかがひとつ重要になるのですが(だから,その損害が直接損害か間接損害かの認定が必要になる)。会社の「不祥事」と言っても様々で,どういった場 . . . 本文を読む

間接損害ということの意味

2011-07-20 | 商法的内容
台風6号,東日本はこれからかもしれませんが(東日本にお住いの皆様,ご注意ください),広島は台風一過の晴天。晴天の時にはあんまりしたくない(?),会社法の話です。 【設例】 A会社(公開会社)の取締役Yらの不祥事のため,A会社の株価は急落した。株主Xは,Yらを被告として損害賠償(株価の下落分を損害とみる)を求めることができるか。 *素材は,東京高裁平成17年1月18日(平成17年度重判・商法2) . . . 本文を読む

違法な剰余金の配当がされた場合の責任

2011-07-03 | 商法的内容
会社法の記事が1つもないので,会社法について書きます。 違法な剰余金配当,要は,分配可能額を超えて剰余金を配当してしまった場合の話です。 まず,剰余金の配当についての規制ですが,これは,いかなる趣旨か?「会社債権者保護」です。考えてみれば明らかなのですが,剰余金の配当によって株主は直接に利益を得るわけで,その反面において,債権者にとっては,回収の拠り所である会社財産が出ていくという事態を生ずる . . . 本文を読む