原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

我妻「民法案内1-私法の道しるべ」

2011-12-11 | 書評
今日は,本を大人買いしました。我妻「民法案内1~11」(11冊),「書式・個人破産の実務」(民事法研究会),それから,ミシュランガイドの2012年版(笑)

早速,「民法案内1‐私法の道しるべ」を読みました。「今さら『道しるべ』とは,なぜ?」という疑問を持たれそうですが(笑),読んでみると実に様々な発見があります。さすがは,言わずと知れた不朽の名作。

内容は,初学者に向けたものです。法律(私法)の勉強の仕方であるとか,私法を勉強していくために必要な背景知識・思想(自由と平等)を講義口調で説明しています。例えば…,

・教科書を暗記しようとする学生がいるが,とんでもない誤りである。どういう意味かを理解し,その次に,なぜそうなのかを理解しなくてはいけない。例えば,不法行為を例にとると,不法行為の成立には,故意又は過失が必要なことは誰でも知っているが,では,ここで言う故意とは,結果の発生を意欲することが必要なのか,結果の発生を認識することで足りるのか,こういう点を理解し,そして,なぜそのように言えるのかを考えて教科書を読まなくてはいけない。

・学生は,従来の考え方の持っていた合理性を理解することをせずに,新しい理論ばかりを覚える傾きがある。不法行為で言うならば,過失責任は痴人の誤りだというようなことを言い,無過失責任をとうとうと論じる。誤った姿勢である。

「なるほど」「そうだよなぁ」と,読めば読むほど思う本です。今だからこそ,そう思うのかな?

さすがに,受験生に向けて「読んでください」とは言えませんが,法律の勉強をし始めた段階の方には,是非とも読んで欲しい一冊。「法律の正しい勉強の仕方」がわかります。


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